Webサイト保守契約書とは?
Webサイト保守契約書とは、企業が自社のWebサイトを外部業者に管理・運用してもらう際に、保守業務の範囲や責任、報酬、契約期間などを取り決める文書です。
Webサイトは公開して終わりではなく、サーバー・ドメイン・プログラム・セキュリティの維持が常に必要です。とくにWordPressなどのCMSを採用している場合、更新やプラグインの脆弱性対応を怠ると、サイトの改ざん・マルウェア感染・情報漏えいといった深刻なリスクを招きます。
そのため、サイト制作後に「保守契約」を締結し、業務内容と対応条件を明文化することが重要です。契約書には、日々の監視業務、障害対応の範囲、作業の優先順位、緊急連絡体制、再委託可否などが詳細に定められます。
特に最近では、クラウド環境やセキュリティ要件の高度化により、単なる「更新代行」ではなく、包括的な「運用保守契約」が求められています。
Webサイト保守契約書が必要となるケース
Webサイト保守契約書が必要となるのは、主に以下のような場面です。
- 制作会社に対して、サイト公開後も継続的な管理・運用を依頼する場合
- 自社にIT人材がいないため、保守・監視・障害対応を外部委託する場合
- 年間契約でサーバーやSSL、バックアップを含む包括的な保守を依頼する場合
- システム改修や定期更新を行う際、責任範囲を明確化したい場合
特に、トラブルが発生しやすいのは「どこまでが保守範囲か」が曖昧なケースです。たとえば、「メールが届かない」「表示が崩れた」「サーバーが落ちた」などの問題が発生したとき、業者が即時対応する義務があるのか、別途費用がかかるのかを明確にしておかないと、双方の認識がずれてトラブルにつながります。契約書を交わすことで、対応範囲・責任分担・費用負担を文書化し、長期的な信頼関係を築くことができます。
Webサイト保守契約書に盛り込むべき主な条項
Webサイト保守契約書には、最低限以下の内容を明記しておく必要があります。
- 保守業務の範囲(監視・更新・障害対応・バックアップなど)
- 契約期間・更新条件
- 報酬額と支払条件
- 再委託の可否
- 秘密保持義務
- 知的財産権の帰属
- 瑕疵対応・損害賠償の範囲
- 契約解除条件
- 管轄裁判所・協議条項
これらは、業務委託契約書の一種としての性格を持つため、委託業務契約の要素と、保守契約特有の「運用・監視・障害対応」に関する要素を組み合わせる必要があります。
条項ごとの解説と注意点
保守業務の範囲
もっとも重要なのが、保守の対象範囲をどこまで含めるかという点です。 「テキスト差し替えや軽微な修正のみを含むのか」「WordPressやプラグインのアップデートも含むのか」「サーバー監視・SSL更新をどちらが担当するのか」などを具体的に定義します。 トラブル防止のためには、「標準保守」と「別途費用対応」を明確に区分しておくのが望ましいです。
契約期間・更新条項
一般的には1年契約とし、更新の有無を自動更新条項で定めます。 短期契約ではコスト効率が悪く、長期契約では途中解約の柔軟性が下がるため、1年ごとに見直すのが実務上適切です。 また、終了時のデータ返還やアカウント引き継ぎについても合わせて規定しておくと安心です。
報酬・支払条件
支払方法は「月額固定」が一般的です。 月額制により、予算管理が容易であり、業者も継続的なサポート体制を維持しやすくなります。 支払条件として「毎月末締め翌月末払い」などを明記します。
再委託
保守業務では、サーバー会社や監視業者への再委託が発生する場合があります。 このため、事前承諾または事後通知を要件とし、乙(業者)に責任を持たせる旨を定めます。 「再委託を禁じる」よりも「乙が責任を負うことを条件に再委託を許可する」方が実務的です。
秘密保持・情報セキュリティ
Webサイト運用では、サーバーのログイン情報や顧客データに触れることがあります。 そのため、秘密保持義務を明記し、退職者や第三者に漏えいしないよう管理義務を負わせる条項が必須です。 個人情報を扱う場合は、個人情報取扱契約(委託契約)を別途締結することもあります。
知的財産権の帰属
制作会社が構築したソースコードやテンプレートなどの著作権の帰属先を明確にしておかないと、契約終了後に「データを渡せない」「再利用できない」といった問題が起こります。 原則として「保守により追加・修正された部分の著作権は甲(依頼者)に帰属」と定めるのが安全です。
瑕疵担保・修正対応
乙が行った更新作業に不具合が生じた場合、乙は通知を受けて無償で修正する義務を負います。 ただし、サーバー障害や外部サービスの仕様変更など乙の責任でない原因については、無償修正の対象外とします。 この区分を明確にしないと、作業範囲外の無償対応を求められるトラブルが生じます。
損害賠償
保守業務はミスが発生する可能性があるため、賠償責任の範囲を「直接損害」に限定し、金額上限を「直近3か月分の報酬額」とするのが一般的です。 過大な責任を負わせないことで、双方にとって現実的な契約内容となります。
契約解除・期間満了
契約解除条項では、債務不履行や支払遅延、倒産、重大な契約違反などの事由を明記します。 また、期間満了時に自動的に終了するのか、自動更新とするのかを明確にしておくことが大切です。
管轄裁判所
契約上の紛争に備え、管轄裁判所を「甲の本店所在地を管轄する地方裁判所」とするのが実務上の定番です。
契約書を作成・利用する際の注意点
Webサイト保守契約書を運用するうえでは、次のようなポイントに注意する必要があります。
- 保守範囲・作業頻度を定量的に明記する(例:「週1回監視」「月1回バックアップ」など)
- SLA(サービス水準合意)を設け、障害発生時の対応時間を明確化する
- CMSやプラグインの更新リスクを説明し、事前承諾を得る
- 緊急時の連絡体制(電話・メール・チャット等)を取り決めておく
- 契約終了後のデータ返還方法を明記する
- 改定・更新履歴を管理し、変更契約を都度締結する
また、サイト保守業務は「制作契約」や「システム開発契約」と重なる領域があるため、既存契約との整合性にも注意が必要です。
特に、契約書に含まれる知的財産権やデータの扱いは、後の紛争リスクを左右するため、弁護士や契約管理担当者による確認が望まれます。
まとめ
Webサイト保守契約書は、企業が安心してWebサイトを運用するための「安全装置」といえます。業務範囲、報酬、責任、対応条件を明確化することで、運用トラブルを未然に防ぎ、長期的な信頼関係を築けます。
mysign(マイサイン)などの電子契約サービスを利用すれば、契約締結・更新・保管をオンラインで完結でき、法的効力も確保できます。Webサイトをビジネス資産として守るためにも、保守契約を「口約束」ではなく、正式な契約書で管理することが不可欠です。