債務承認弁済契約書とは?
債務承認弁済契約書とは、債務者が債権者に対して金銭債務の存在を正式に認め、その弁済方法や支払条件を文書で明確にするための契約書です。主に、未払い代金や貸付金などの金銭債務について、当事者間の認識を一致させ、将来的な紛争や回収トラブルを防止する目的で作成されます。単なる請求書や合意メモとは異なり、契約書として整理することで、債務の内容・金額・支払期日が明確になり、証拠力の高い文書となります。特に、支払が滞っている状況や、分割払い・支払猶予を認める場面では、実務上非常に重要な役割を果たします。
債務承認弁済契約書が必要となる主なケース
債務承認弁済契約書は、以下のような場面で活用されます。
- 売掛金や業務委託費などが未払いの状態になっている場合
- 貸付金の返済が遅延し、支払条件を再設定する場合
- 一括返済が困難なため、分割払いに切り替える場合
- 口頭合意のみで債権債務関係が曖昧な場合
- 将来の訴訟や強制執行に備え、証拠を残しておきたい場合
このようなケースでは、債務の存在を明確に認めさせること自体が重要となるため、債務承認条項を含む契約書が有効です。
債務承認弁済契約書に盛り込むべき主な条項
債務承認弁済契約書には、最低限、次の条項を盛り込む必要があります。
- 債務の承認条項
- 債務の内容・金額・発生日
- 弁済方法・支払期日
- 期限の利益に関する条項
- 遅延損害金条項
- 充当順序
- 保証・担保の有無
- 合意管轄条項
これらを体系的に整理することで、実務で通用する契約書になります。
条項ごとの解説と実務ポイント
1. 債務承認条項
債務承認弁済契約書の中核となる条項です。債務者が「債務が存在することを認める」旨を明確に記載することで、債権債務関係を確定させます。この条項があることで、後日「そんな債務は存在しない」「金額が違う」といった主張を封じる効果が期待できます。また、時効完成前であれば、債務承認により時効が中断する可能性がある点も重要です。
2. 弁済方法・支払期日
弁済方法は、一括払いか分割払いかを明確に定める必要があります。分割払いの場合は、各支払期日・金額を具体的に記載し、曖昧さを残さないことが重要です。また、振込先口座や振込手数料の負担者についても明記しておくことで、実務上のトラブルを防げます。
3. 期限の利益条項
期限の利益条項は、分割払いを認める場合に特に重要です。「支払いを1回でも怠った場合には、残額を一括請求できる」旨を定めることで、債権回収の実効性を高めることができます。この条項がない場合、支払遅延が生じても分割払いを前提とした請求しかできず、回収が長期化するおそれがあります。
4. 遅延損害金条項
遅延損害金条項は、支払期日を過ぎた場合のペナルティとして機能します。年率を明示し、いつから発生するのかを具体的に記載することが重要です。実務上は、年14.6%や年3%など、合理的な範囲で設定されることが一般的です。
5. 充当順序
一部弁済が行われた場合、どの債務から充当するかを定める条項です。債権者に有利な順序で充当できるよう、「乙の指定による」と定めるケースが多く見られます。
6. 保証・担保条項
債務の履行確保のため、保証人や担保を設定する場合には、その内容を明確に記載します。特に個人保証の場合は、保証の範囲や責任の重さを慎重に検討する必要があります。
7. 合意管轄条項
紛争が生じた場合に、どの裁判所で争うかを定める条項です。債権者の本店所在地を管轄とすることで、訴訟対応の負担を軽減できます。
債務承認弁済契約書を作成する際の注意点
- 口頭合意のまま放置しないこと
- 金額・期日を曖昧に記載しないこと
- 分割払いの場合は期限の利益条項を必ず入れること
- 他社契約書の流用やコピペをしないこと
- 必要に応じて専門家の確認を受けること
特に、契約書のコピー利用は著作権侵害のリスクがあるため、必ず自社用に作成されたひな形を用いる必要があります。
債務承認弁済契約書と債務確認書との違い
債務確認書は、債務の存在を確認する点では似ていますが、弁済条件まで詳細に定めないケースが多く見られます。一方、債務承認弁済契約書は、支払方法や期限の利益などを含めた包括的な契約であり、実務上の拘束力がより強い点が特徴です。未払いが深刻化している場合や、支払条件を整理したい場合には、債務承認弁済契約書の利用が適しています。
まとめ
債務承認弁済契約書は、債務の存在を明確にし、弁済条件を文書で固定するための重要な契約書です。未払い金や貸付金の整理、分割払いへの切り替え、将来の紛争防止といった場面で、大きな効果を発揮します。契約書を適切に作成しておくことで、債権回収の実効性が高まり、無用なトラブルを回避することができます。実際に使用する際は、ひな形をベースにしつつ、自社の事情に合わせて調整し、必要に応じて専門家の確認を受けることが望まれます。