医療エステ契約書とは?
医療エステ契約書とは、医療機器の使用や医師監督のもとで行われる美容施術に関し、施術者(サロン・クリニック)と利用者との間の条件や責任範囲を定める契約書です。一般的なエステ契約書とは異なり、肌への影響が大きい施術や医療的要素を含むサービスでは、健康状態の申告、リスク説明、施術効果の非保証、免責事項などをより明確に定める必要があります。近年、美容医療機器を導入するサロンや医師監修型エステが増えたことで、トラブル防止のために契約書を整備する重要性が高まっています。
医療エステ契約書を整備する目的は、主に以下の3点です。
・施術内容・料金・リスクを明確にし、利用者の誤解を防ぐ
・施術後の肌トラブル・クレームに備え、施術者の責任範囲を明示する
・利用者の健康状態を把握し、安全に施術を実施できるようにする
本記事では、医療エステに特化した契約書が必要となる理由、盛り込むべき必須条項、各条項の解説、注意点まで詳しく解説します。
医療エステ契約書が必要となるケース
医療エステ契約書は、単に「安心のため」ではなく、法的トラブルを予防するための重要な文書です。とくに以下のようなサービスでは、契約書の整備が必須といえます。
- 医療機器(レーザー、光脱毛、高周波、HIFUなど)を用いる場合
- 医師または看護師が関与する施術を提供する場合
- 肌に一定の刺激やリスクを伴う施術を行う場合
- 施術結果に個人差があり、効果を保証できない場合
- 健康状態によって施術可否が大きく変わる場合
医療機器や刺激を伴う施術では、利用者の体質・既往症・アレルギー等によって副反応の発生確率が変わります。そのため、事前の申告義務や健康状態の確認が非常に重要となります。契約書にこれらを明記しておくことで、双方の認識にズレが生じるのを防ぎ、安全なサービス提供が可能になります。
医療エステ契約書に盛り込むべき主な条項
医療エステ契約書では、一般のエステ契約書よりも踏み込んだ条項が必要です。とくに以下の項目は必須といえます。
- 施術内容の明確化
- 申告義務(既往症・体調・アレルギー等)
- 健康状態の確認と施術拒否条件
- 料金・支払方法
- キャンセル・遅刻のルール
- 施術効果の非保証
- リスクの承諾
- 禁止事項
- 個人情報の取扱い
- 損害賠償
- 契約期間・解除
- 免責事項
- 紛争解決と管轄裁判所
これらを体系的に記載することで、施術者と利用者双方が安心して契約・施術に臨むことができ、法的リスクも大きく軽減できます。
条項ごとの詳細解説
1. 施術内容の明確化
施術内容は医療エステ契約書の根幹部分です。 施術名称、使用機器、施術部位、回数、所要時間、使用する薬剤やジェル、痛みの有無など、できる限り詳細に記載する必要があります。
曖昧な記載では「そんな説明は受けていない」「期待した施術と違った」というクレームが発生する可能性があります。
また、別紙の施術説明書を作成し、契約書とセットで管理する方法も有効です。
2. 申告義務
医療的要素を含む施術では、利用者の健康状態が施術の可否や安全性に直結します。 特に以下の項目は必ず申告してもらう必要があります。
・既往症(心疾患、皮膚疾患、慢性疾患など)
・妊娠の可能性
・アレルギー
・服薬状況
・金属やシリコンの埋め込みの有無
・直前の施術歴(美容医療を含む)
これらの申告がない状態で施術を行うと、重大なトラブルにつながりかねません。契約書には「虚偽申告の場合の免責」も必ず含めます。
3. 健康状態の確認と施術拒否条件
施術者は、利用者の体調が優れない場合や施術が危険と判断される場合、施術を中止または拒否できる旨を定める必要があります。
具体例:
・施術前に発熱や体調不良が見られる場合
・肌が炎症している場合
・薬剤との相性が悪い可能性がある場合
・医師または施術者が安全に行えないと判断した場合
この条項がなければ、利用者からの要求で危険な状況下でも施術を強いられる可能性があります。
4. 料金・支払方法
料金・支払い条件も明確に定めます。
・施術料金
・コース料金
・分割払いやローンの可否
・支払期限
・返金条件の有無
特にエステの返金に関するトラブルは多いため、支払方法と返金の扱いは必ず詳細に記載する必要があります。
5. キャンセル・遅刻のルール
医療エステでは予約制が一般的なため、キャンセルや遅刻に関する取り決めは重要です。
・いつまでキャンセル無料か
・キャンセル料の金額
・無断キャンセル時の扱い
・遅刻した場合の施術時間の減少
・遅刻しても料金は変わらない旨
これらを明確にしないと「聞いていない」というクレームに発展します。
6. 施術効果の非保証
医療エステ施術は体質・生活習慣により効果に差があるため、「効果を確約しない」旨を契約書に含めなければなりません。
例:
・効果の出方には個人差がある
・期待する結果が得られない場合もある
・効果が出ない場合でも返金対象外
これにより、誇大期待によるトラブルを防ぐことができます。
7. リスクの承諾
医療機器を使用する施術では必ず一定のリスクが伴います。
・赤み・腫れ
・痛み
・色素沈着
・乾燥
・腫れ・痺れ
・まれにアレルギー反応
これらについて事前に説明し、利用者が理解し承諾した旨を記載します。副反応発生時の施術者の責任範囲についても明示しておきます。
8. 禁止事項
利用者が守るべきルールを明確にします。
・スタッフへの迷惑行為
・施術妨害
・禁止されている薬剤やクリームの施術前後使用
・医療機器の無断操作
行為が改善されない場合は契約解除できる条項も入れておくと良いです。
9. 個人情報の取り扱い
美容医療は個人情報の中でもセンシティブ情報に該当します。 個人情報保護法に基づき、以下を明記します。
・利用目的
・第三者提供は原則行わない
・法令に基づく場合は例外
また、カルテ・写真を使用する場合の同意書と合わせるケースもあります。
10. 損害賠償と免責
損害賠償条項は、双方の責任範囲を明確にする重要な項目です。
・虚偽申告など利用者原因のトラブルは免責
・施術者の重過失がある場合のみ賠償する
・通常損害の範囲に限定する
・弁護士費用の扱い
これにより、過大な賠償請求リスクを軽減できます。
11. 契約期間・解除
施術期間全体を通して契約関係が続くことを明記し、解除条件も定めます。
・支払い遅延
・禁止事項違反
・虚偽申告
・医療上のリスクが高い場合
これにより、サロンは安全にサービス提供を継続できます。
12. 不可抗力
感染症拡大や災害などによる営業停止は、サロン側の責任ではありません。 予測不可能な事態による中断・延期について、責任を負わない旨を明記します。
13. 紛争解決と準拠法
トラブル発生時の対応を事前に定めます。
・協議により解決を試みる
・裁判所はサロン所在地の管轄とする
遠方からの不当な訴訟リスクを避けるためにも重要です。
医療エステ契約書を作成する際の注意点
1. サロンの実態に合わせて内容をカスタムする
医療エステといってもサービス内容は大きく異なります。 レーザー、HIFU、脱毛、ピーリング、フォトフェイシャルなど、それぞれリスクや注意点が違うため、施術内容に合わせた具体的な記載が必要です。
2. 誇大広告や誤解を招く表現を避ける
効果を保証したり、医療効果を示唆する表現は薬機法違反となる場合があります。 契約書内でも「効果に個人差がある」旨を明記し、誤解のない説明が必要です。
3. 写真記録・カルテの扱いを明確にする
施術前後の状態を記録として残す場合、写真の扱いについて別途同意書を用意することが望ましいです。
4. 契約前に口頭での説明を必ず行う
契約書が整備されていても、説明が不足していれば無効になる可能性があります。 美容医療は特に説明義務が重視されます。
5. 弁護士による最終チェックを推奨
医療関連の契約書は法的リスクが高いため、実際の運用前には専門家への確認が最優先です。
まとめ
医療エステ契約書は、安全な施術提供とトラブル防止のための最重要書類です。 施術内容・料金・リスク・免責を体系的に整理し、利用者との認識のズレを排除することで、クレームや法的トラブルを大幅に回避できます。
医療機器を扱うサロン、医師監修のエステでは、一般的なエステ契約書では不十分なことが多いため、医療的要素を踏まえた契約書を作成することが求められます。
mysignでは、医療エステ契約の締結・保管をオンラインで行うことも可能です。安全性と透明性を確保し、利用者に信頼されるサロン運営を実現するためにも、契約書の整備と適切な活用を強く推奨します。