チームドクター業務委託契約書とは?
チームドクター業務委託契約書とは、スポーツチームが医師に対して、選手の健康管理、応急処置、医学的助言、競技復帰判断などの医学的サポートを委託する際に必要となる契約書です。医療行為を含むため、責任範囲や業務内容を明確化しなければ、トラブルや法的リスクが生じる可能性があります。
- 選手の安全確保を目的とした医学的サポートの委託契約
- 業務内容・責任範囲を明確にし、医療事故リスクを最小化
- 情報管理・秘密保持の強化に不可欠
スポーツ事故や既往歴を扱うため、プライバシー保護の観点からも正式な契約書が求められます。
チームドクター契約書が必要となるケース
スポーツ現場では突発的な怪我や体調変化が頻発するため、医学的支援の体制は必須です。以下のようなケースでは契約書が必ず必要です。
- チームが医師と継続的なサポート契約を締結する場合
- クラブチーム・部活動・プロチームで医学管理体制を構築する場合
- 試合や遠征に医師が帯同する必要がある場合
- 診断情報・既往歴などの個人情報を共有する場合
- 競技団体や保護者から医学体制整備が求められる場合
チームドクター契約書に盛り込むべき主な条項
契約書には最低限以下の条項を盛り込む必要があります。
- 目的
- 業務内容
- 業務提供方法(場所・範囲・帯同の有無)
- 独立性(業務委託であり労働契約ではないこと)
- 秘密保持
- 個人情報の取扱い
- 報酬および費用負担
- 医療行為の責任範囲
- 再委託の禁止
- 成果物の権利帰属
- 損害賠償・免責
- 契約期間・更新
- 契約解除
- 準拠法・管轄裁判所
これらを体系的に記載することで、チームと医師双方の責任範囲が明確となり、トラブルを未然に防ぎます。
条項ごとの解説と実務ポイント
1. 目的条項
契約の目的を明確にすることで、契約範囲が限定され、トラブル時の判断基準となります。
- 医学的支援を提供することを目的に限定
- 業務外の利用や濫用を防止
- 責任範囲を整理し、誤解を防ぐ
2. 業務内容
チームドクターの役割は広範囲に及ぶため、詳細な記載が不可欠です。
- 応急処置、緊急時対応
- 健康管理指導、コンディショニング助言
- 競技復帰可否判断
- リハビリ計画への医学的意見
- 医療機関との連携
- 試合・遠征帯同の有無
- レポート提出の有無
抜け漏れがあると「それは業務に含まれるのか」が争点になります。
3. 報酬・費用
医師の専門性が高いため、報酬周りの明確化は必須です。
- 月額報酬か日当か
- 練習帯同・試合帯同の追加報酬
- 旅費・宿泊費の扱い
- 支払時期・支払方法
報酬が不明確だと、最もトラブルになりやすい領域です。
4. 独立性条項(業務委託であることの明確化)
- 医師は独立した事業者である
- 甲(チーム)は指揮命令をしない
- 労働者性を排除し、労働法リスクを防止
医療従事者の契約では、業務委託と雇用の境界が曖昧になるため、明確に定めておく必要があります。
5. 医療行為に関する責任
スポーツでは突発事故が多いため、医師の責任範囲を正確に定める必要があります。
- 医師法に基づく適正な医療行為であること
- 不可抗力による事故(競技特性など)の免責
- 故意・重大な過失がある場合の責任
特に「復帰判断」は非常にデリケートな業務であり、記載必須です。
6. 秘密保持・個人情報
選手の医療情報は高度な機密情報であり、厳格な取り扱いが求められます。
- 診療情報・既往歴などの漏洩禁止
- 契約終了時の返還・削除義務
- 法令に基づく個人情報保護の遵守
漏洩した場合、チームの信用が失墜する重大インシデントになります。
7. 契約期間・更新・解除
- 1年契約+自動更新が一般的
- 免許停止など資格喪失時は即時解除可能
- 重大な契約違反は契約解除の対象
期間設定が曖昧だと、いつまで業務を提供すべきか紛争の要因になります。
チームドクター契約におけるリスクと注意点
1. 医療行為の責任問題
- 競技復帰判断が誤りとされるリスク
- 応急処置に対する責任追及
- 競技特性による予見困難な事故
医師の責任を「通常の医学的注意義務の範囲内」に限定する条項が必須です。
2. 情報管理リスク
- 診断書や既往歴が外部に漏洩する危険
- SNSやメディアでの誤情報拡散
- 保護者・スポンサーからのクレーム
秘密保持条項の強化がリスク防止につながります。
3. 報酬トラブル
- 帯同回数・時間による負荷の変動
- 追加報酬が明文化されていないケース
- 「聞いていない業務」による不払い問題
報酬体系は必ず事前に文書化する必要があります。
チームドクター契約書作成時のよくある質問
Q1. 口頭契約でも問題ない?
→ 医療行為が伴うため、必ず契約書が必要です。
Q2. 医療ミスが起きた場合の責任は?
→ 通常の注意義務範囲で行っていれば免責されることが多いですが、重大な過失がある場合は賠償責任が発生します。
Q3. 診断結果をコーチに共有して良い?
→ 必要最小限かつ契約書に基づいた共有でなければ、個人情報保護法違反となる可能性があります。
Q4. 試合帯同は契約に含めるべき?
→ 必ず明記する必要があります。追加報酬の有無や帯同条件もセットで記載します。
まとめ
チームドクター業務委託契約書は、
- 選手の安全確保
- 医学的サポート体制の強化
- 医師とチーム双方の責任の明確化
- 情報漏洩・報酬トラブルの防止
に不可欠な契約書です。
特にスポーツ現場では、医療判断に基づく重大な意思決定が多く、契約書の整備はリスク管理の中心的役割を果たします。チーム運営の基盤として、必ず正式な契約を締結することが求められます。