定期建物賃貸借契約書(連帯保証人付)とは?
定期建物賃貸借契約書(連帯保証人付)とは、借地借家法第38条に基づく定期建物賃貸借契約において、借主の賃料支払義務や原状回復義務などの一切の債務を、第三者である連帯保証人が保証することを明確に定めた契約書です。最大の特徴は、契約期間の満了によって当然に契約が終了し、更新がない点にあります。通常の普通建物賃貸借契約では、借主保護の観点から更新が原則となりますが、定期建物賃貸借では、あらかじめ定めた期間で確実に契約を終了させることが可能です。これに連帯保証人を付けることで、貸主は賃料不払い、損害賠償、原状回復費用などの回収可能性を高めることができ、特に事業用物件や高額賃料の物件において重宝されます。
定期建物賃貸借契約が必要となる主なケース
定期建物賃貸借契約書は、次のような場面で特に有効です。
- 建替えや売却を予定しており、一定期間のみ貸し出したい場合
- 再開発予定地の建物を暫定的に活用したい場合
- 事業用テナントを期間限定で貸したい場合
- 社宅や転勤者向け住宅を期間限定で使用させたい場合
- 将来的に自己使用を予定している建物を一時的に貸す場合
これらのケースでは、契約終了時に確実に明渡しを受けられる点が、貸主にとって大きなメリットとなります。
連帯保証人を付ける実務上の重要性
賃料不払いリスクへの備え
賃貸借契約における最大のリスクの一つが、賃料の不払いです。借主の経済状況が悪化した場合、貸主が直接回収できなくなるケースも少なくありません。連帯保証人がいる場合、貸主は借主に請求することなく、直接連帯保証人に対して賃料の支払いを請求することが可能となります。これにより、回収スピードと確実性が大きく向上します。
原状回復・損害賠償への対応
契約終了時の原状回復費用や、借主の不注意による建物の毀損に関する損害賠償も、実務上頻繁に問題となります。連帯保証人条項を明確に定めておくことで、これらの費用についても保証対象に含めることができ、貸主の負担軽減につながります。
定期建物賃貸借契約書に必ず盛り込むべき条項
1. 定期建物賃貸借である旨の明示
本契約が借地借家法第38条に基づく定期建物賃貸借であることを、契約書内で明確に記載する必要があります。この記載が不十分な場合、普通建物賃貸借と判断されるリスクがあります。
2. 契約期間と終了時期
契約開始日と終了日を明確に定め、期間満了により当然に終了することを記載します。あわせて、貸主による期間満了通知についても定めておくことが重要です。
3. 賃料・支払方法
賃料額、支払期限、支払方法、振込手数料の負担者などを具体的に定めます。曖昧な表現は、後日の紛争原因となります。
4. 使用目的・禁止事項
居住用か事業用かを明確にし、契約目的外使用や無断転貸を禁止する条項を設けます。
5. 修繕・原状回復条項
通常損耗と借主負担となる修繕の範囲を整理し、原状回復義務の内容を明確にします。
6. 連帯保証条項
連帯保証人が、借主の一切の債務を保証すること、催告の抗弁権および検索の抗弁権を放棄すること、保証責任の範囲と存続期間を明確に定めます。
連帯保証条項を作成する際の注意点
保証範囲の明確化
賃料のみを保証対象とするのか、損害賠償、原状回復費用、遅延損害金まで含めるのかを明示する必要があります。一般的には一切の債務を対象とする表現が用いられます。
保証期間の整理
定期建物賃貸借では更新がないため、保証期間は契約期間中に発生した債務に限定されることが多いですが、その旨を明記しておくことで誤解を防げます。
保証人への説明義務
保証契約は、後に無効や取消しが争われやすい分野です。契約内容を十分に説明し、理解を得た上で署名押印を受けることが重要です。
定期建物賃貸借契約書作成時の実務ポイント
- 普通借家契約と混同されない文言構成にする
- 期間満了通知の時期を確実に管理する
- 口頭説明だけでなく、書面での説明を残す
- 保証人の資力確認を事前に行う
- 物件用途に応じて条項を調整する
これらを怠ると、せっかく定期建物賃貸借契約を締結しても、終了時にトラブルが生じる可能性があります。
よくあるトラブルとその予防策
契約終了時に明渡しを拒否される
定期建物賃貸借であっても、事前通知を怠ると、借主が終了を争うケースがあります。通知期限の管理は極めて重要です。
保証人が責任を否認する
保証範囲や期間が曖昧な場合、保証人が責任を否認する可能性があります。契約書上の明確な記載が最大の予防策です。
まとめ
定期建物賃貸借契約書(連帯保証人付)は、契約期間を限定して建物を貸し出したい貸主にとって、非常に有効な契約形態です。更新がなく確実に終了する点に加え、連帯保証人を付けることで、賃料回収や損害賠償のリスクを大幅に軽減できます。一方で、条項設計や通知手続を誤ると、普通借家契約と同様の扱いを受けてしまう可能性もあります。契約書の文言を丁寧に整備し、実務運用まで含めて管理することが重要です。mysignで公開するひな形を活用することで、法的リスクを抑えつつ、実務に即した契約書作成が可能となります。