ライター業務委託契約書とは?
ライター業務委託契約書とは、企業や個人事業主が外部ライターに記事作成・構成案作成・リサーチ・編集などの業務を依頼する際に、その条件や責任範囲を明確にするための契約書です。企業が外部ライターに依頼するケースは増加しており、オウンドメディア運営、ブログ記事制作、レビュー記事作成、SNS運用など、多種多様な領域で外注が一般化しています。しかし、外注ライティングは次のようなトラブルがたびたび発生します。
- 納品物の品質が著しく低い、情報が虚偽・盗用である
- 著作権の帰属が曖昧で、後からライターが権利主張する
- 納期遅延や連絡断絶による運営トラブル
- 媒体内部情報の漏えい、守秘義務の不履行
- AI生成文章の無断使用による権利侵害
これらは「契約書不備」によって生じやすい典型例です。そこで重要なのが「ライター業務委託契約書」です。契約書を整備することで、
- 業務範囲
- 品質基準
- 著作権の帰属
- 秘密保持義務
- 報酬と支払条件
- トラブル時の対応
を双方が明確に理解し、トラブルの大半を未然に防ぐことができます。
ライター業務委託契約書が必要となるケース
ライターと企業の関係では、以下のようなケースで契約書が必須になります。
- オウンドメディア・企業ブログの立ち上げ時に複数ライターへ依頼する場合
- 取材記事・レビュー記事など、情報の正確性が求められる記事を外注する場合
- SEO記事制作を外部に依頼する場合
- 企業秘密や未公開情報を共有する必要がある場合
- SNS運用・note・メルマガ配信など継続的な外注を行う場合
- ライターに委託した成果物を自社に帰属させたい場合(著作権の確保)
特に、記事を「自社の資産」として扱う企業にとって、著作権の扱いを曖昧にしたまま外注することは極めて危険です。
ライター業務委託契約書に盛り込むべき主な条項
ここでは契約書に必ず記載すべき基本項目を解説します。
- 業務内容の明確化
- 納品物の仕様と品質基準
- 著作権の帰属と利用許諾
- 秘密保持義務
- 再委託の禁止
- 検収(チェック)と修正対応
- 報酬と支払条件
- 禁止事項
- 契約期間と更新
- 契約解除と損害賠償
- 反社会的勢力排除条項
- 紛争解決方法
以下、各項目ごとに詳しく解説します。
条項ごとの解説と実務ポイント
1. 業務内容を明確に定義する
ライターの業務は幅広いため、契約書では以下の点を明確にする必要があります。
- 記事作成(文字数、テーマ、構成案)
- リサーチ・情報収集
- SEOのキーワード調査
- 画像選定や簡易編集
- インタビュー対応
- 編集・校正作業
特に、「どこまでが報酬に含まれるのか?」「どの作業が追加料金になるのか?」これを曖昧にしたままだと、追加請求トラブルになりやすく注意が必要です。
2. 納品物の仕様・品質基準
外注トラブルの多くは「品質問題」です。契約書には次のような基準を定めます。
- 納品形式(Googleドキュメント、Word、テキスト等)
- 文字数の下限・上限
- 引用ルール
- 情報ソースの信頼性基準
- コピペ禁止・盗用禁止
- AI生成文章の事前申告義務
特にAI生成文章は著作権トラブルを招きやすいため、「無断利用禁止」の文言を契約に入れる企業が増えています。
3. 著作権の帰属は最重要ポイント
成果物を誰が所有するかは絶対に明記する必要があります。一般的には以下のどちらかです。
- (A)著作権をすべて企業に譲渡する(推奨)
- (B)ライターが著作権を保持し、企業が使用許諾を受ける
企業運営のオウンドメディアやブログでは、ほぼ全て「A:著作権譲渡型」が採用されます。著作権を譲渡しないと、
- 二次利用ができない
- SNSや別媒体への転載ができない
- ライターが後から削除を求める可能性がある
などの重大な問題が生じます。
4. 秘密保持義務
ライターは企業内部の情報に触れることがあります。
- 企画内容
- 構成案
- アクセスデータ
- 顧客情報
- マーケティング資料
これらは外部に漏れれば企業の競争力に大きな影響を与える情報です。秘密保持契約(NDA)を含んだ条項は必須と言えます。
5. 再委託の禁止
クラウドソーシングでは、「ライターがさらに別のライターに作業を丸投げする」という問題がしばしば発生します。これを防ぐために、「甲の承諾なく第三者へ再委託してはならない」と明記します。
6. 検収と修正対応
企業側が必ず確認すべきポイントです。
- 納品後の検収期間(例:3日〜7日)
- 修正対応の有無と範囲
- 追加修正の基準
一般的には「初回修正は追加料金なし」で対応します。
7. 報酬・支払条件
トラブルが発生しやすい部分です。
- 文字単価/記事単価/時給などの種類
- 支払日(例:翌月末払い)
- 振込手数料の負担者
- 不適格納品時の減額条件
支払条件は個別契約(メール指示等)と合わせて明確化します。
8. 禁止事項
ライターとの契約では必須の条項です。
- 著作権侵害・コピペ行為
- AI生成文章の無断利用
- 虚偽情報・誤情報の掲載
- 差別的、誹謗中傷的な表現
- 企業の信用を毀損する行為
禁止事項を明文化しておくことで、契約解除・損害賠償の根拠になります。
9. 契約期間と更新
継続的な業務委託では、「自動更新」の有無が重要です。1年契約+1か月前までに拒絶がなければ自動更新という形が一般的です。
10. 契約解除と損害賠償
ライターが次のような重大違反をした場合、即時解除できるようにします。
- 著作権侵害
- 虚偽情報の納品
- 再委託の発覚
- 秘密保持義務違反
また、損害賠償として「弁護士費用を含む」を明記することが重要です。
11. 反社会的勢力排除条項
現代ではほぼ全契約に必須です。契約書に記載することで企業のコンプライアンス対応になります。
12. 準拠法・管轄裁判所
契約書の最後に、紛争時の裁判所を指定します。
- 「甲の本店所在地を管轄する地方裁判所」
これにより、遠方のライターからの不当な訴訟リスクを抑えられます。
ライター業務委託契約書を作成する際の注意点
- 契約内容とメールやチャットでの指示内容に矛盾がないか確認する
- 著作権の帰属を必ず明確にしておく
- AI生成文章の扱いを定義しておく
- 修正対応の上限回数や基準を決めておく
- 機密情報の取り扱い範囲をできるだけ広く設定する
- クラウドソーシングを介する場合、その規約との齟齬に注意する
- ライターの実績紹介を許可するかどうかを決めておく
契約書は「一度作れば終わり」ではありません。媒体の運営方針やSEO方針が変わるたびに随時アップデートが必要です。
まとめ
ライター業務委託契約書は、企業が外部ライターへ記事作成を依頼する際に、最重要となる契約書です。納品基準、著作権、秘密保持、禁止事項、損害賠償などを明確化することで、トラブルの大半が未然に防げます。特にオウンドメディアやSEO記事制作では、「著作権の譲渡」「AI生成文章の制限」「品質基準」の3点が重要です。企業にとって記事は資産であり、適切な契約書はその資産を守るための法的インフラです。安全で継続的なメディア運営のためにも、ライター業務委託契約書の整備は欠かせません。