建物譲渡特約付借地権契約書とは?
建物譲渡特約付借地権契約書とは、土地の所有者が、一定期間に限って土地を貸し、その期間満了時に借地人が所有する建物を土地所有者へ譲渡することをあらかじめ定めた借地契約書です。この契約は、借地借家法第24条に基づく特別な借地権であり、一般的な普通借地権や定期借地権とは異なる性質を持ちます。最大の特徴は、契約終了時に建物の帰属が確定している点にあります。通常の借地契約では、契約終了時に建物買取請求権が問題となりますが、建物譲渡特約付借地権では、あらかじめ建物を譲渡することを合意しているため、そのような紛争を回避できます。そのため、将来的に土地を確実に回収したい地主と、一定期間だけ土地を利用できればよい借地人との利害が一致する場合に、多く利用されています。
建物譲渡特約付借地権が利用される主なケース
この契約形態は、次のような場面で特に有効です。
- 事業用建物を一定期間のみ設置したい場合
- 将来の土地活用計画が決まっている場合
- 相続や売却を見据えて土地を確実に回収したい場合
- 建物買取請求権によるトラブルを回避したい場合
たとえば、商業施設、事務所、倉庫、工場などを一定期間運営した後、土地を更地に戻すのではなく、建物をそのまま活用する前提で貸すケースなどが典型例です。
地主側にとっては、契約終了後の土地利用を計画どおり進められる点が大きなメリットとなります。
他の借地権との違い
普通借地権との違い
普通借地権は、更新が原則であり、借地人の保護が非常に強い制度です。契約期間が満了しても、正当事由がなければ更新を拒絶できず、建物買取請求権も認められます。一方、建物譲渡特約付借地権では、契約期間満了時に借地権は終了し、建物は地主へ譲渡されます。そのため、更新や買取請求を前提としません。
定期借地権との違い
定期借地権も更新がなく期間満了で終了しますが、原則として建物は借地人が収去し、更地で返還する必要があります。これに対し、建物譲渡特約付借地権では、建物を残したまま地主に引き渡す点が大きく異なります。
建物譲渡特約付借地権契約書に盛り込むべき必須条項
契約書を作成する際には、以下の条項を必ず明確に定める必要があります。
- 借地権の種類が建物譲渡特約付借地権であること
- 借地期間および更新がないこと
- 地代および支払方法
- 建物の用途および管理責任
- 建物譲渡の条件と時期
- 建物買取請求権を行使しない旨
- 譲渡・転貸の制限
- 解除条件および損害賠償
- 準拠法および管轄裁判所
これらを曖昧にしたまま契約すると、契約終了時に大きな紛争へ発展する可能性があります。
条項ごとの実務ポイント解説
借地期間と更新条項
建物譲渡特約付借地権では、期間満了で当然に終了することが重要です。更新がない旨を明確に記載しないと、普通借地権と誤解されるおそれがあります。
建物譲渡特約条項
建物を無償で譲渡するのか、一定の対価を支払うのかは、必ず契約書上で明示すべきです。また、譲渡時期、引渡方法、登記費用の負担についても定めておくことで、実務上の混乱を防げます。
建物買取請求権の排除
借地借家法上、建物譲渡特約がある場合でも、契約書上で明示しておくことで、将来の紛争防止につながります。特に借地人側が法人の場合は、必須の条項といえます。
譲渡・転貸制限
第三者に借地権が移転すると、地主の想定しない利用がなされるおそれがあります。そのため、書面による事前承諾を要する旨を明確にすることが重要です。
建物譲渡特約付借地権契約を結ぶ際の注意点
- 借地借家法第24条に適合する内容か確認する
- 契約期間は合理的な長さに設定する
- 建物譲渡条件を曖昧にしない
- 税務上の影響も考慮する
- 必ず専門家の確認を受ける
特に、建物譲渡時の課税関係や評価額については、税理士等の確認を行うことが望まれます。
建物譲渡特約付借地権契約書をひな形で使う際のポイント
ひな形はあくまで一般的な契約を想定したものです。実際に使用する際は、以下の点を必ず調整してください。
- 土地や建物の個別事情
- 事業内容や利用目的
- 当事者の交渉力やリスク許容度
そのままコピーして使うのではなく、自社・自分用にカスタマイズすることが不可欠です。
まとめ
建物譲渡特約付借地権契約書は、契約終了後の土地と建物の帰属を明確にし、将来の紛争を防ぐための非常に重要な契約書です。普通借地権や定期借地権と異なる性質を正しく理解し、適切な条項を盛り込むことで、地主・借地人双方にとって合理的な土地利用が実現できます。実務では、契約書の内容次第で結果が大きく変わるため、ひな形をベースにしつつ、必ず専門家の確認を経て締結することが強く推奨されます。