ドローン飛行許可規程とは?
ドローン飛行許可規程とは、企業・施設・自治体・イベント主催者などが、管理区域内でドローン(無人航空機)を飛行させる際に、安全性・法令遵守・プライバシー保護を確保するために制定する内部規程です。特に近年は商業撮影、スポーツ・イベント空撮、インフラ点検、警備用途など、ドローンの利活用が急増している一方で、墜落事故や接触事故、個人情報・肖像権侵害などのトラブルも増加しています。そのため、単に“飛ばしてよいかどうか”を判断するだけではリスク管理として不十分であり、
・飛行許可の手続
・安全管理体制
・禁止事項
・操縦者の責任
・事故発生時の報告義務
・賠償責任と保険
など、実務上必要となる項目を包括的に規定しておくことが重要です。とくに施設やイベントにおいては、来場者・観客・周辺住民が安全に行動できる環境の確保が最優先となるため、ドローンに関する明確なルールが欠かせません。これがドローン飛行許可規程が求められる背景です。
ドローン飛行許可規程が必要となるケース
ドローン運用は、特定の業種・施設に限らず幅広い場面で行われています。次のようなケースでは、規程が必須または高い確率で求められます。
- イベント会場やスポーツ大会で空撮を行う場合 →観客の頭上飛行・接触事故リスクがあるため、主催側が安全管理責任を負います。
- 商業施設・テーマパーク・スタジアムなどで独自にドローン飛行管理を行う場合 →集客施設では第三者の安全を最優先とする必要があります。
- 工場・物流センター・研究施設などで業務用ドローンを使用する場合 →危険物設備や自動搬送機器などとの干渉リスクがあるため、内部管理が必須です。
- 学校・教育機関で教育目的の飛行を行う場合 →生徒の安全確保、周辺住民のプライバシー保護が課題になります。
- 自治体管理の公園・公共施設・観光地で飛行を許可制とする場合 →無許可飛行の増加に伴い、多くの自治体が運用ルール整備を進めています。
このように「第三者が存在する環境で飛行する場合」または「施設管理者が安全責任を負う環境」では、規程の整備が不可欠です。
ドローン飛行許可規程に盛り込むべき主な条項
ドローン飛行許可規程では、以下のような項目を定めることが一般的です。
- 目的(安全確保と法令遵守の明確化)
- 定義(ドローン、利用者、許可など用語整理)
- 適用範囲(規程が及ぶ区域・対象者)
- 飛行許可のルール(申請方法・条件)
- 禁止事項(危険飛行・迷惑行為・無許可飛行)
- 遵守事項(技能要件・法令遵守・飛行管理)
- 安全管理(保険加入・機体点検・中止判断)
- 事故発生時の措置(報告義務・賠償範囲)
- 撮影データの取扱い(肖像権・プライバシー)
- 許可取消(違反時の措置)
- 免責事項(運営側の責任限定)
- 準拠法・管轄裁判所
以下、代表的条項について詳しく解説します。
条項ごとの実務解説
1. 飛行許可のルール(申請手続)
許可制度は規程の中核となる要素です。 申請書には次のような事項を記載させると実務上のリスクを大幅に低減できます。
- 飛行目的(撮影・点検・教育・研究など)
- 機体情報(重量、メーカー、登録番号)
- 操縦者情報(技能資格、経験)
- 保険加入証明
- 飛行ルート・時間帯
- 安全対策(補助者配置、立入規制など)
また「虚偽申請が判明した場合の許可取消」を明記することで、悪質な利用者への抑止力になります。
2. 禁止事項の設定
禁止事項は、事故防止の観点から実務的に最も重要です。
- 観客・人混み上空の飛行禁止
- 危険物の吊り下げ禁止
- 飲酒時の操縦禁止
- プライバシー侵害となる撮影禁止
特に、イベント会場では「意図せぬ撮影による肖像権侵害」が頻繁に問題となるため、禁止事項として明確に示すことでトラブルを回避できます。
3. 安全管理(保険加入・機体点検)
ドローン事故では、第三者の負傷・物損が発生する可能性があり、損害賠償額が高額化するケースもあります。 そのため規程では「第三者賠償責任保険への加入」を必須とすることが実務上不可欠です。
併せて、
・飛行前点検
・問題発見時の飛行禁止
・天候不良時の飛行中止
などを規定しておくと、施設管理者の安全管理責任を果たしやすくなります。
4. 事故発生時の報告義務と損害賠償
事故対応では「速やかな報告」が極めて重要です。
報告が遅れると、
・原因究明ができない
・被害者対応が遅れ紛争化する
・保険適用に支障が出る
などの問題が生じます。
また賠償責任については「利用者が自己の責任で賠償する」「運営側は責任を負わない」という規定を設けることで、法的リスクを軽減できます。
5. 撮影データの取扱い
撮影データは、肖像権・プライバシー・施設運営情報などの問題を孕むことがあります。
- 許可なく第三者に提供しないこと
- 不適切な映像があれば削除要求可能とすること
- 施設運営上必要な場合、提供を求めることができる
特にイベントでは、SNS投稿が原因でトラブルに発展するケースも多く、データ取扱いを規程で明確化することは極めて重要です。
ドローン飛行許可規程を運用する際の注意点
1. 法令改正への対応
航空法はドローン普及に伴い頻繁に改正されています。 特に飛行申請、機体登録制度、技能証明制度などは変更されやすいため、規程も定期的に見直す必要があります。
2. 無許可飛行への対応方針
現場でトラブルを避けるため、次のような運用を事前に決めておくとよいでしょう。
- 無許可飛行を発見した場合の中止要請
- 悪質な場合の退出命令・警察通報
- 損害発生時の対応フロー
明確なルールは現場スタッフの負担軽減にも役立ちます。
3. 飛行エリアの明確化
事故の多くは「どこまで飛ばせるか」が不明確なことが原因です。 地図や図面で飛行区域と禁止区域を示しておくと、利用者の理解が進みます。
4. イベント主催者・外部業者との調整
外部の撮影業者を招く場合、規程の遵守を契約書に明記しておくと安全管理が強化されます。
- 請負契約書・撮影許可書との整合性
- 保険加入証明の提出
- 操縦者資格の確認
規程と契約が連動していることで、トラブルなく運用できます。
まとめ
ドローン飛行許可規程は、施設・イベント・業務現場でドローンを安全に運用するための「法的・運用的な基盤」といえる文書です。 特に無人航空機の利活用が一般化した現在、安全管理の不備は重大事故・高額賠償につながる可能性もあります。
適切な規程を整備することで、
・安全性の向上
・事故発生リスクの低減
・利用者による無秩序な飛行の抑制
・運営側の責任範囲の明確化
など、多くのメリットが得られます。本記事で解説した内容を参考に、自社・自施設の運営に適した規程を構築することをおすすめします。