SNSインフルエンサーPR契約が必要となるケース
SNSでの広告やPR投稿を行う際には、以下のようなケースで本契約が有効に機能します。
- 企業がインフルエンサーに製品紹介の投稿を依頼する場合
- 新商品のレビュー動画を制作・公開してもらう場合
- 企業アカウントとのタイアップキャンペーンを実施する場合
- イベント告知やブランドコラボ投稿を依頼する場合
- 継続的にSNSプロモーションを行う専属契約を結ぶ場合
特に2023年の「ステルスマーケティング規制」施行以降は、「広告・PRであることを明示しなかった場合」に消費者庁から指摘を受けるリスクがあります。
そのため、企業が報酬や依頼意図を明示し、インフルエンサー側もその内容を契約書で確認することが、双方のコンプライアンス確保に直結します。
SNSインフルエンサーPR契約書に盛り込むべき主な条項
この契約書では、以下の条項を中心に設計することが実務上重要です。
- 業務内容(投稿範囲・媒体・回数・表現ルール)
- 報酬・支払い条件
- 知的財産権・著作権の帰属
- 秘密保持義務
- 禁止行為(虚偽投稿・偽装フォロワーなど)
- ステマ・法令遵守条項
- 解除・損害賠償・反社会的勢力の排除条項
これらを具体的かつ明確に記載しておくことで、SNS特有の不明確な関係性を法的に整理し、万一のトラブルにも備えることができます。
条項ごとの解説と注意点
業務内容条項
業務内容は、契約の中心となる部分です。「どのSNSで」「何回」「どのような形式で」「どんなテーマを扱うか」を明確に記載します。
たとえば「Instagramで3回投稿」「YouTubeにレビュー動画1本を公開」「TikTokで15秒動画を投稿」といった具体的な指定があると、後の解釈トラブルを防止できます。
また、PR表記の有無やハッシュタグの指定(例:「#PR」「#広告」)を明記しておくことも重要です。企業のブランドイメージに関わるため、事前に投稿内容を確認できる仕組みを条項で定めておくのが望ましいです。
報酬・支払条項
報酬は投稿単価・動画単価・月額固定など、案件に応じて形式を選択します。支払い時期(例:月末締め翌月末払い)や支払い方法(銀行振込など)を明記し、個人インフルエンサーの場合は源泉徴収を行う旨も記載しておくと安全です。
また、投稿完了報告書の提出を条件に報酬支払いを行うなど、成果確認の仕組みを契約に盛り込むことで、双方の信頼性を高めることができます。
知的財産権条項
インフルエンサーが作成した写真・動画・キャプションなどの著作権の帰属は、トラブルになりやすい箇所です。原則として、企業が二次利用(広告転用・編集・カタログ掲載等)を想定している場合は「著作権は企業側に帰属する」と明示する必要があります。
一方、インフルエンサー自身の肖像権やブランド価値を保護するため、「本人の承諾なく企業が誤用しない」旨の一文を追加するケースもあります。著作権・肖像権の両立バランスをとることが重要です。
秘密保持条項
PR案件では、未公開の商品情報や社内戦略などが共有される場合があります。そのため、秘密保持条項を設け、契約終了後も一定期間情報を外部に漏らさない義務を明記します。
「契約終了後3年間」など、具体的な期間を定めておくと安心です。
禁止事項条項
SNS特有のリスクを防ぐために、禁止事項は明確に列挙します。代表的な禁止行為として以下が挙げられます。
- 偽装フォロワーの購入やエンゲージメント操作
- PR案件を第三者へ再委託
- SNS上での誹謗中傷や政治・宗教的投稿
- 契約内容や報酬条件の漏洩
これらを事前に定めておくことで、インフルエンサー活動の透明性が高まり、ブランド毀損のリスクを減らせます。
解除・損害賠償条項
契約解除は「法令違反・虚偽表示・信用失墜」などが生じた場合に即時解除できるように設定します。特にステルスマーケティングに該当する投稿があった場合、企業が速やかに契約を終了し、報酬を支払わないことを明記しておくことが大切です。
さらに、違反によって生じた損害(例:ブランドイメージの毀損、炎上対応コストなど)については、損害賠償義務を負うことを明示します。
反社会的勢力排除条項
企業・個人を問わず、反社会的勢力との関係排除は現代契約の必須要素です。SNSアカウントを通じて不適切な団体や個人と関与した場合、企業の社会的信用が失われるおそれがあるため、契約上で明確に排除条項を定めておきます。
契約書を作成・利用する際の注意点
SNSインフルエンサーPR契約は、表面的には「軽い広告依頼」に見えますが、実際には企業のブランド価値・法的責任が直結する重要契約です。
以下のポイントを必ず確認しましょう。
- 契約書は投稿内容・回数・期間を数値で明確にする
- PR表記・ステマ対策ガイドライン(消費者庁)を遵守する
- インフルエンサー側のアカウントの真偽を事前確認する
- 報酬支払い時の源泉徴収・経費処理方法を整理する
- SNS運営規約や広告ポリシーに違反しないよう内容を確認する
- 成果物の著作権・肖像権の帰属を双方で共有しておく
これらを丁寧に整理することで、双方が安心してPR活動を行える基盤を整えられます。