スポンサーシップ契約書とは?
スポンサーシップ契約書とは、イベント主催者やプロジェクト運営者(スポンサーを受ける側)と、協賛企業(スポンサーとなる側)が、協賛金・物品・役務の提供内容と、その対価として得られる露出・権利・メリットについて取り決めるための契約書です。
スポンサーシップは、広告契約・寄付・業務委託とも異なります。寄付のような無償提供ではなく、業務委託のように成果物を依頼する契約でもなく、広告契約とも違い、必ずしも明確な広告枠販売ではありません。スポンサー提供に対して主催者が「ロゴ掲載」「商品サンプリングの実施」「会場内掲出」「SNSでの紹介」などの便益を付与する点が特徴です。
そのため、契約書では次のような点を明確にする必要があります。
- 提供内容(協賛金・物品・役務)
- 主催者が提供するスポンサー権利
- ロゴの使用方法
- 成果物(動画・写真等)の利用範囲
- 中止・延期時の扱い
- 知的財産権
- 秘密保持
- 賠償・責任範囲
これらを整理しておくことで、双方にとって透明性の高い協力関係を築くことができます。
スポンサーシップ契約書が必要となるケース
スポンサーシップ契約書は、以下のような場面で必須となります。
- イベント・大会の協賛(スポーツ・音楽フェス・地域イベント)
ロゴ掲出や物品提供の扱いを明確にする必要があります。 - 企業コラボ企画・キャンペーンの共催
SNS投稿やWeb掲載の可否、成果物の権利が曖昧になりがちです。 - YouTubeやSNS企画のスポンサー参加
動画内でのロゴ表示や説明内容を誤解なく定める必要があります。 - 展示会やセミナーでの協賛ブース提供
ブース利用範囲や禁止事項、運営責任の所在を整理する必要があります。 - スポーツチーム・クリエイターとのパートナー契約
肖像権・使用権・写真利用ルールなどの扱いが重要です。
現場では「協賛金を払ったのに露出量が少なかった」「ロゴが誤って使われた」「成果物を勝手にSNSで使われた」「イベント中止時の返金で揉めた」といったトラブルが多いため、契約書で明文化しておくことが不可欠です。
スポンサーシップ契約書に盛り込むべき主な条項
スポンサーシップ契約書には、最低限次の内容が必要です。
- スポンサー提供内容(協賛金・物品提供・役務提供)
- スポンサー権利(ロゴ掲載・露出・記事掲載など)
- ロゴや素材の使用方法
- 成果物の利用範囲(写真・動画・記事・SNS投稿など)
- 知的財産権の帰属
- 責任範囲と賠償
- 禁止事項
- 秘密保持
- 契約期間
- 中止・延期時の扱い
- 反社会的勢力の排除
- 準拠法・管轄裁判所
これらは「最低限」であり、実際にはより細かい設定が必要なケースが多くあります。
条項ごとの解説と注意点
1. スポンサー提供内容の明確化
最も重要なのは「スポンサーが何を提供し、主催者が何を返すのか」を明確にすることです。
特に協賛金については金額・支払い期限・支払い方法を一切曖昧にせず書くべきです。
提供物品がある場合、「無償提供か」「貸与か」で所有権が異なるため誤解の元になります。
よくあるトラブル
- 「貸しているつもりだった物品が返品されない」
- 「サンプルを無償提供したのに露出が少ない」
これらは事前の書面でほぼ防げます。
2. スポンサー権利(露出・ロゴ掲載)の設定
スポンサー権利は契約の中心です。 ロゴをどこに載せるか、どの大きさで表示するか、何回掲載されるかなど、できる限り具体化します。
例:
- 印刷物(パンフレット、ポスター、チケット)への掲載
- SNS投稿(回数、媒体)
- Webサイトのスポンサーページ掲載
- 会場バナー掲示
ロゴの扱いは企業ブランドイメージに直結するため、特に慎重に扱う必要があります。
3. ロゴ・商標の使用ガイドライン
スポンサー企業がロゴを提供する場合、主催者はガイドラインに従って使用する義務があります。
- ロゴ比率を崩さない
- 指定色を守る
- 変形・加工しない
- ネガティブな文脈で使用しない
SNS運用スタッフの独自判断でロゴを加工してしまう事故がしばしば起こるため、契約書で縛ることが望ましいです。
4. 成果物(写真・動画等)の利用許諾
イベントやプロジェクトでは写真・動画が大量に生成されます。 これを「どちらが、どの範囲で使えるか」は必ず明記すべき項目です。
- 誤解が生じやすいポイント
- スポンサー企業が成果物を自由に使えると思っていた
- 主催者がスポンサーのロゴ入り成果物を「無制限に利用できる」と誤解していた
- 成果物を加工してSNSに利用しトラブルになった
著作権の帰属を明確にしつつ、利用許諾範囲を制限しておくことでトラブルを予防できます。
5. 知的財産権の扱い
成果物の権利がどちらに帰属するかは非常に重要です。 一般的には、主催者(制作した側)に著作権が帰属し、スポンサー側は「許諾を受けて使用する」扱いになります。ただし、スポンサーが撮影費用を負担した場合など変則的なケースもあり、明文化が必須です。
6. 守秘義務
スポンサー企業は新商品やマーケティング戦略を持ち込むことがあります。 主催者側がうっかり漏らすことを防ぐため、NDAレベルの守秘義務条項を置きます。
特に以下の情報は保護対象になります。
- 未発表の商品情報
- 協賛条件
- 広告戦略・ターゲット情報
- 見積金額
守秘義務の期間も定める必要があります。
7. 契約期間と終了後の扱い
スポンサー権利は「イベント当日だけ」ではなく、 – Webサイトの掲載期間 – 成果物利用期間 – SNS投稿の公開期間など、時間軸が異なるため、契約期間を統一しておくことが重要です。
8. 中止・延期時の扱い(最重要)
スポーツ大会・屋外イベント・音楽フェスでは、台風や災害、感染症などで中止が起こる可能性があります。
- よくあるトラブル
- 協賛金の返金の有無
- ロゴ制作費の扱い
- SNS露出分をどう評価するか
これを事前に決めておくだけで紛争を大幅に防げます。
9. 損害賠償と責任制限
主催者・スポンサー双方に過度な責任を課さないため、責任範囲の上限設定が一般的です。
例:
- 主催者の責任は受領した協賛金額を上限とする
- スポンサーの損害賠償義務は通常損害に限る
主催者が個人事業主の場合や、スポンサーが大企業の場合は特にバランスが重要です。
10. 反社会的勢力の排除
現代の契約では必須条項です。 スポンサー側が反社との関係を疑われるとイベント自体が損なわれます。締結後に判明した場合、即時解除できる条項を必ず入れます。
スポンサーシップ契約書を作成・利用する際の注意点
スポンサーシップ契約書を運用する際、以下の点に注意してください。
- ロゴの使用許諾条件は必ず二重確認する
ブランドガイドラインに違反した使用は重大な信用問題につながります。 - 協賛金の支払い条件を曖昧にしない
「イベント後払い」「分割払い」にする場合は理由を含めて明記します。 - 成果物利用は範囲を細かく限定する
SNS、Web、印刷物など、媒体ごとに許諾条件を分けるケースも多いです。 - イベント中止や延期の扱いを事前に決める
特に返金ルールは紛争の火種になりやすいポイントです。 - 物品提供の場合、所有権と返却義務を明確にする
提供か貸与かで税務処理や保険の扱いも異なります。 - 反社会的勢力の排除条項は必須
スポンサー契約は主催者のブランドそのものにも直結します。 - 文案を他社からコピーしない
著作権侵害リスクがあるため、必ずオリジナルで作る必要があります。