SNSアカウント権限移譲同意書とは?
SNSアカウント権限移譲同意書とは、企業や個人が運用しているSNSアカウント(例:Instagram、X(旧Twitter)、Facebook、TikTok、YouTubeなど)の管理権限を別の担当者・企業に正式に引き継ぐことを合意する契約書です。
この同意書では、主に次の3点を明確にします。
- アカウントのログイン情報や広告アカウントの管理責任
- 過去・今後の投稿に関する著作権や知的財産権の帰属
- 移譲後に発生するトラブル・損害の責任所在
特に、企業SNSやインフルエンサーアカウントでは、ブランド価値やフォロワーが資産として扱われるため、法的に「誰が管理者か」を明文化しておくことが重要です。
SNSアカウント権限移譲同意書が必要となるケース
SNSアカウントの引継ぎは、単なるログイン情報の共有にとどまりません。管理者が変わる際には、データ・広告・知的財産が複雑に絡み合うため、正式な同意書が求められます。代表的なケースは以下の通りです。
- 企業の担当者交代時
広報・マーケティング部門などで、担当者が退職・異動する場合。 - SNS運用を外部委託する場合
広告代理店やSNS運用代行業者にアカウントを引き継ぐとき。 - フリーランスや制作会社への移管
SNS運用を制作会社・個人クリエイターに依頼し、権限を渡す場合。 - 事業譲渡やM&A時のブランドアカウント引継ぎ
企業や店舗が譲渡され、ブランドSNSを新オーナーが運用する場合。 - インフルエンサーのマネジメント契約終了時
所属事務所から独立し、自身でアカウントを運用するケース。
これらの場面では、アカウントが「誰のものか」が不明確になると、削除・乗っ取り・無断投稿などの重大トラブルにつながる可能性があります。
SNSアカウント権限移譲同意書に盛り込むべき主な条項
SNSアカウントの権限移譲は、他の契約と異なり「無形のデータ・アカウント管理権限」が対象となるため、以下のような条項を明確に盛り込む必要があります。
- 目的(移譲の趣旨・範囲を明記)
- 対象アカウントの特定(URL・ID・登録メール等)
- 権限の内容(投稿・編集・広告・分析権限など)
- 運用責任・法令遵守義務
- 知的財産権の帰属(投稿・画像・動画など)
- データ管理・漏えい防止条項
- 再移譲禁止条項
- 秘密保持義務
- 損害賠償・紛争解決条項
これらを定めることで、管理者交代後の「責任の所在」や「アカウントの所有権」が明確になります。
条項ごとの解説と注意点
目的条項
権限移譲の目的を明記し、「運用権限の引継ぎであり、所有権や知的財産の譲渡ではない」ことを明確にすることが重要です。曖昧な記述だと、後日「アカウントの所有権も移った」と誤解されるおそれがあります。
対象アカウントの特定
「サービス名」「ユーザー名」「URL」「登録メール」「関連広告アカウント」などを具体的に記載しましょう。複数SNSを同時に移譲する場合は、一覧表で明示するのが望ましいです。
権限移譲の内容
投稿・編集・広告設定・分析ツール利用など、移譲する権限を細かく分類し、明記しておきます。特にFacebookやInstagramは「ビジネスマネージャ」内の権限設定が複雑なため、実務的な権限範囲を整理することが肝心です。
運用責任条項
移譲後の投稿や広告配信により法令違反・誹謗中傷が発生した場合、誰が責任を負うかを明確にします。原則として、移譲後は乙(新運用者)がすべての運用責任を負う旨を定めるのが一般的です。
知的財産権の帰属
過去の投稿や画像の著作権は甲(前運用者)に、移譲後の新規投稿は乙(新運用者)に帰属させる形が基本です。共同制作物がある場合は、別途著作権譲渡契約を締結することも検討しましょう。
データ管理・秘密保持
ログイン情報やフォロワーリストなどの機密情報を第三者に漏らさないことを明記します。また、引継ぎ後に甲が古いログイン情報を削除・破棄することも重要です。
再移譲の禁止
乙が甲の承諾なく、第三者にアカウントを再移譲・共有することを禁止します。特に外部運用代行業者の場合、下請け業者への無断委託が問題となるため、契約上で抑止します。
損害賠償・紛争解決
トラブル発生時の賠償責任を定め、準拠法・管轄裁判所を明示します。管轄は通常、甲(元運用者)の所在地とするのが一般的です。
契約書を作成・利用する際の注意点
- アカウントの所有者名義を確認すること
SNSによっては、登録メールアドレスの持ち主が実質的な所有者とみなされます。法人アカウントの場合は、企業公式ドメインのメールで登録しておくことが望ましいです。 - パスワード・2段階認証の変更を確実に実施
移譲完了後は、乙が新たにパスワード・認証設定を行い、甲のアクセス権を完全に削除します。これにより、不正アクセスや誤操作のリスクを防げます。 - バックアップデータ・メッセージ履歴の整理
DM(ダイレクトメッセージ)や広告データなど、機密情報を含むものは、引継ぎ前に甲が適切に処理・削除しておく必要があります。 - インフルエンサー契約や制作委託と併用する場合
SNS運用に付随するコンテンツ制作、広告出稿などが別契約として存在する場合、本同意書とは別に業務委託契約書を締結しておくと安全です。 - 電子契約での締結も有効
mysign(マイサイン)などの電子契約サービスを利用すれば、署名記録付きで法的効力を持つ形で締結可能です。SNSアカウント移譲のような非金銭契約にも対応しています。
まとめ
SNSアカウントは、企業や個人の「デジタル資産」として大きな価値を持ちます。一方で、運用者の交代や外部委託に伴うトラブルも少なくありません。「SNSアカウント権限移譲同意書」を交わすことで、管理権限・知的財産・責任範囲を法的に整理し、安心してアカウントを引き継ぐことができます。
mysign(マイサイン)なら、こうした同意書をオンライン上で安全に締結でき、署名履歴や日付も自動記録されます。SNS運用の継続性とブランド価値を守るために、正式な契約書による権限移譲をおすすめします。