インターンシップ契約書とは?
インターンシップ契約書とは、企業がインターン参加者を受け入れる際に、その参加条件・権利義務・守るべきルールを明文化した書類です。インターンは教育的目的で行われる活動であり、一般的な労働契約とは異なる立場で運用されます。そのため、企業側にはインターンシップの性質を誤解させないための説明責任があり、参加者側にも企業の情報や安全管理などを遵守する責任が生じます。
特に、インターンシップは「雇用契約なのか」「労働基準法が適用されるのか」という点が誤解されやすい領域であるため、契約書によって教育目的であることを明記しておくことは、企業側にとって法的リスクの軽減につながります。また、参加者も契約書によって、何が求められるのか、どこまで責任を負うのかを把握でき、安心して参加できる環境が整います。
インターンシップ契約書が必要となるケース
インターンシップ契約書が必要となるのは、インターンを受け入れる企業・団体すべてに該当しますが、とくに以下のケースでは契約書が必須といえます。
- 学生インターンを受け入れる場合
→短期・長期を問わず、参加条件、禁止事項、安全管理を明確化する必要があります。 - 報酬が出るインターンの場合(交通費のみの補助を含む)
→報酬の種類と性質を明確にし、誤って雇用関係と解釈されないようにするため契約書が求められます。 - 社内情報を扱うインターンの場合
→守秘義務条項、資料やデータの扱いに関するルールを契約書に定めておく必要があります。 - 成果物が発生するインターンの場合
→著作権や成果物の帰属を明示し、将来の権利関係のトラブルを避けます。 - SNSや外部発信のリスクがある場合
→企業情報や職場環境を不用意に投稿されないため、明確な禁止条項が欠かせません。
これらに該当する場合は、必ず契約書を事前に交わしておくことで、双方のリスクを最小限に抑えることができます。
インターンシップ契約書に盛り込むべき主な条項
インターンシップ契約書に盛り込むべき主要な条項には次のようなものがあります。
- インターンシップの目的
- インターンシップの性質(雇用契約ではない旨)
- 実施内容
- 期間
- 守秘義務
- 安全管理
- 成果物の帰属
- 設備・物品の利用ルール
- 個人情報の取扱い
- SNS・外部発信の禁止
- 遵守事項
- 費用負担
- 中断・終了条件
- 損害賠償
- 準拠法・管轄
これらを適切に記載することで、企業側はリスクを抑え、参加者側は安心して活動できる明確な枠組みが整います。
条項ごとの解説と注意点
インターンシップの性質を定める条項
この条項は契約書全体の中でも最も重要な位置づけです。インターンシップは教育的目的であり、労働力としての提供を前提とした契約ではないため、企業は雇用契約と誤解されることがないよう明示する必要があります。特に、賃金の支払いがない場合は「労働対価ではない」ことを明確に書くことで、後から「実質的には労働として扱われるのではないか」という疑念を避けることができます。また、労働基準法との線引きが曖昧なケースもあるため、教育目的である点、企業側の指揮命令が制限される点なども契約書に盛り込むのが望ましいです。
守秘義務条項
インターン生であっても企業情報に接する機会は多く、少しの油断で情報漏えいやトラブルにつながる可能性があります。守秘義務条項では、顧客情報・技術情報・内部資料・データ・計画資料など、あらゆる企業情報を対象に、第三者への開示を禁止します。また、インターン終了後も守秘義務が存続することを明確に記載する必要があります。業務中に知り得た情報をSNSで共有してしまう例も多いため、具体的に禁止する情報の種類や範囲を契約書に記載することで、ルール違反を抑制できます。
安全管理条項
インターン中の怪我や事故は企業にとって重大なリスクです。安全管理条項では、インターン生が企業の安全規程や指導担当者の指示を守る義務を明記します。また、事故・負傷が発生した際の報告義務や、企業が加入する保険の範囲で補償される旨などを記載しておくことで、万一のトラブルにも対応しやすくなります。この条項が不十分だと、事故が起きた際に責任範囲が曖昧になり、企業側が過大な責任を負うリスクが高まります。
成果物の帰属条項
インターン中に作成された資料・デザイン・プログラム・レポートなどは誰の著作物となるのか、という権利関係を明確にする条項です。特にクリエイティブ系、IT系、研究系のインターンでは成果物が将来の業務に使用されることがあり、帰属が曖昧だと大きなトラブルにつながります。企業に帰属させる旨を明記し、著作者人格権の不行使を合わせて記載することで、円滑に活用できる環境を整えられます。
SNS・外部発信禁止条項
最近のインターンにおいて最も重要度が高まっているのが、SNSトラブルの防止です。社内風景、従業員、機密資料、顧客情報などが無断で投稿されると reputational damage(評判毀損)につながり、企業にとって深刻な問題となります。契約書に、社内情報の撮影禁止、投稿禁止、許可制などを明記することで、ルール違反を未然に防ぐことができます。
費用負担条項
交通費や食事補助を企業が負担するかどうかは企業によって異なります。契約書に明記することで、参加者は事前に費用負担を理解でき、金銭面での誤解やトラブルを防止できます。また、宿泊が必要な場合の費用負担についても明確に定めておくと、地方インターンシップなどでもスムーズに運用できます。
中断・終了条項
インターン生の行動に問題がある場合、企業としては中断や終了の判断が必要になることがあります。例えば、遅刻・無断欠席の繰り返し、指示違反、安全上の問題行動、企業情報の漏えいなどが該当します。中断または終了が可能となる条件を契約書に明記することで、企業側は無用なトラブルに巻き込まれず、秩序ある運用が可能になります。
インターンシップ契約書を作成・利用する際の注意点
インターンシップ契約書を作成する際は、次の点に注意が必要です。
- 雇用契約と誤解される表現を避ける
- 報酬がある場合は、その性質を明確に区別する
- 成果物の権利関係を明示しておく
- SNS発信禁止の規定を必ず盛り込む
- 教育目的である点を明記しておく
- 安全管理や事故対応の範囲を明確化する
- 守秘義務と個人情報の扱いを丁寧に規定する
- 契約書は参加前に必ず説明し、両者が理解したうえで締結する
適切な契約書を用意することで、企業とインターン生の双方が安心して活動でき、インターンシップの効果を最大化することができます。