クラウドファンディング利用規約とは?
クラウドファンディング利用規約とは、クラウドファンディングサービスを利用する「実行者(プロジェクトを掲載する側)」と「支援者(資金を拠出する側)」の双方が安全かつ円滑にサービスを利用するために必要な利用条件を定めた文書です。クラウドファンディングは、プロジェクトの成否に応じて支援金が動く仕組みであり、実行者のリターン提供やプロジェクトの実現性、支援者からの問い合わせやトラブルなど、多くのリスクが存在します。そのため、利用規約では以下の関係を明確化する必要があります。
- 実行者と支援者の法的関係(支援契約の成立など)
- プロジェクト内容の正確性・責任範囲
- 禁止事項や不正利用の防止
- 支援金の決済方法と手数料
- リターン提供に関するルール
- プラットフォーム運営者(事業者)の免責範囲
とくに、クラウドファンディングは「実行者と支援者が直接契約を結ぶ」という性質を持つため、運営者がどこまで責任を負うのか、どこから当事者間の問題となるのかを、利用規約で詳しく示しておくことが不可欠です。
クラウドファンディング利用規約が必要になるケース
クラウドファンディングサービスを運営する事業者には、利用規約の整備が必須です。以下のようなケースで特に必要性が高まります。
- クラウドファンディングサービスを新規に立ち上げる場合 →実行者と支援者の役割や責任を体系的に示す必要があるため。
- 既存サービスのトラブル発生を踏まえ、規約を改定したい場合 →実行者の未履行・遅延、支援者のクレームなどに法的根拠を持たせるため。
- ユーザー登録機能や決済機能を追加する場合 →個人情報保護、決済に関するトラブル防止が必須となるため。
- 利用者の増加に伴い、ガイドライン・禁止事項を強化したい場合 →不正利用、虚偽プロジェクト、著作権侵害などを防ぐため。
クラウドファンディングは資金を集めるという性質上、トラブルが実際に起きる可能性が高いため、利用規約はサービス運営の「法的な基盤」として機能します。
クラウドファンディング利用規約に盛り込むべき主な条項
クラウドファンディング利用規約では、少なくとも以下の条項が不可欠です。
- 適用範囲(規約の位置付け)
- 定義(実行者、支援者、プロジェクト等)
- サービス内容(事業者は契約当事者ではない旨)
- アカウント管理
- 禁止事項
- プロジェクト掲載基準・審査
- 支援契約の成立
- リターン提供のルール
- 決済・手数料
- トラブル対応・当事者間の責任分担
- 知的財産権の取扱い
- サービス変更・停止
- 免責事項
- 損害賠償
- 準拠法・管轄裁判所
それぞれの条項について、以下で詳細に解説します。
条項ごとの解説と実務ポイント
1. 適用範囲
利用規約は、事業者と利用者(実行者・支援者)の間で適用されることを明確にします。特にクラウドファンディングでは、「事業者はプロジェクトの契約当事者ではない」という点をはっきりさせておく必要があります。これを曖昧にすると、リターン未達成や損害の責任を事業者が追うリスクが発生します。
2. 定義規定
クラウドファンディング特有の用語を整理します。
- プロジェクト
- 実行者
- 支援者
- 支援金
- リターン
定義を明確にすることで、後続の条文が明確になり、法的解釈のブレを防ぎます。
3. サービス内容(事業者の立場)
運営者はあくまで「場の提供者」です。そのため、利用規約には以下の内容が必須です。
- 事業者は実行者と支援者の契約当事者ではない
- リターンの提供責任は実行者が負う
- 事業者はプロジェクトの実現性を保証しない
この規定がないと、トラブル時に事業者へ過剰な責任が及ぶ危険があります。
4. アカウント管理
利用者のアカウントは本人が適切に管理する必要があります。不正ログインや第三者利用が発生しても、事業者が責任を負わない旨を明記します。
5. 禁止事項
クラウドファンディングは「虚偽プロジェクト」や「詐欺的プロジェクト」が発生するリスクがあります。そのため禁止事項は詳細かつ網羅的であるべきです。
- 虚偽の情報提供
- 著作権等の権利侵害
- 実現性のないプロジェクト
- 社会通念上不適切な内容
- 反社会的勢力との関わり
禁止事項が弱いと、事業者はプロジェクトを削除したくても法的根拠が不足し、トラブルになることがあります。
6. プロジェクト掲載基準・審査
プロジェクトは自由に掲載できるわけではなく、事業者の審査が必要である旨を規定します。
- 実行者情報の本人確認
- 内容の適法性・実現性
- リターン提供の合理性
審査権限を事業者が保持することで、サービス品質が保たれます。
7. 支援契約の成立
支援者が「支援ボタン」を押して決済した時点で、実行者と支援者の間に支援契約が成立します。事業者は当事者にならないため、ここは極めて重要な条項です。
8. 決済・手数料
クラウドファンディングの収益モデルに直接関係する部分です。
- 支援金の決済方法
- プロジェクト成立時の手数料
- 入金タイミング
手数料率や締め日など、運営ルールを明確にすることでトラブルを防止できます。
9. リターン履行
もっともトラブルが生じやすい部分です。
- リターンは実行者が責任を持って履行する
- 遅延時の連絡義務
- 事業者はリターン提供を保証しない
「届かない」「遅れている」といった支援者からのクレームを事業者が過度に受けないためにも、役割を明確化します。
10. トラブル対応
紛争が起きた場合、まずは実行者と支援者間で協議することを原則とします。事業者は、「必要に応じて情報提供を求めることができる」という程度に留めるのがポイントです。
11. 知的財産権
プロジェクトページの文章・画像・動画の権利関係を整理します。
- 著作権は実行者または正当な権利者に帰属
- 事業者は運営のために利用できる
運営者が宣伝・実績紹介のために引用することもあるため、この許諾は必須です。
12. サービスの変更・停止
システム障害や運営方針の変更に備え、サービス停止の可能性を明記します。また、利用者が不利益を被っても責任を負わない旨の免責を加えることが一般的です。
13. 免責事項
クラウドファンディングでは免責が極めて重要です。
- プロジェクト内容の正確性を保証しない
- リターン未達成について責任を負わない
- 利用者の損害について責任を負わない
これらを明確にしないと、事業者に法的責任が生じるリスクがあります。
14. 準拠法・管轄裁判所
万一紛争が法的手続に移行した場合を想定し、管轄裁判所を指定します。
- 準拠法は日本法
- 事業者本店所在地の地方裁判所を専属管轄にするのが一般的
遠方の利用者による訴訟リスクを低減できます。
クラウドファンディング利用規約を作成・公開する際の注意点
- 他社規約のコピペは禁止 →著作権侵害となる可能性があります。
- プライバシーポリシーとの整合性 →決済情報・個人情報の取扱いが矛盾しないようにします。
- 決済代行会社との契約内容を確認 →手数料・返金ルールが規約と一致している必要があります。
- プロジェクト審査基準を明確化 →ユーザーからの異議申し立てや炎上を防ぐためにも重要。
- 法律改正の影響に注意 →特に資金決済法、景品表示法、消費者契約法は要注意。
- 英文規約の検討 →海外ユーザーが利用する場合は日本語版を優先する旨を記載。
まとめ
クラウドファンディング利用規約は、実行者・支援者・運営者の三者における責任範囲を明確にし、トラブルを未然に防ぐための必須文書 です。
特にクラウドファンディングは、
・リターン未達成
・実行者の失踪
・虚偽プロジェクト
など、想定されるトラブルが多いため、規約が強固であるかどうかがサービス運営の安定性を左右します。本記事の内容を参考に、自社サービスに合わせて規約をカスタマイズし、法務リスクを最小化することが重要です。また、正式運用前には必ず専門家によるチェックを行うことで、より安全なサービス運営が可能となります。