契約を解約・終了する 公開日:2026年8月13日 更新日:2026年8月13日

契約を解除する手続き|確認から相手への通知までの進め方

契約を解除する手続き|確認から相手への通知までの進め方

契約相手が代金を支払わない、約束した業務を行わない、重大な契約違反があるなどの理由から、契約を解除したいことがあります。

ただし、「相手が契約を守らなかったからすぐ解除できる」とは限りません。契約書の解除条項、実際の契約違反の内容、事前に履行を求める催告が必要かどうかなどを確認してから手続きを進める必要があります。

契約を解除するときは、解除の根拠を確認し、必要な催告・証拠整理を行ったうえで、解除する意思を相手方へ明確に通知し、その後の精算・返却まで確認することが重要です。

契約を解除するときの基本的な流れ

  1. 契約書の解除条項を確認する
  2. 解除したい理由・契約違反の事実を整理する
  3. 催告が必要か確認する
  4. 必要な場合は期限を定めて履行を求める
  5. 解除できる条件を満たしたか再確認する
  6. 相手方へ解除通知を行う
  7. 解除後の精算・返却・記録を整理する
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目次

契約解除は一方的に通知すればいつでもできるわけではない

契約解除とは、契約や法律に基づく解除権を行使して、契約関係を終了させる手続きです。

民法第540条では、契約または法律の規定によって解除権を有する場合、その解除は相手方に対する意思表示によって行うことが定められています。

つまり、単に自社内で「この契約を解除する」と決めるだけではなく、解除権があることを確認したうえで、相手方へ解除する意思を伝える必要があります。

最初に「解除できる理由があるか」を確認しましょう。
相手方への不満や取引を終了したいという事情だけで直ちに解除できるとは限りません。契約書の解除条項と、実際に起きている事実を照らし合わせて確認します。

1.契約書の解除条項を確認する

まず、締結済みの契約書から解除に関する条項を確認します。

確認しておきたい項目

  • どのような場合に解除できるか
  • 契約違反が解除理由として定められているか
  • 事前の催告が必要か
  • 催告せず解除できる条件があるか
  • 解除通知の方法が指定されているか
  • 解除通知の送付先が指定されているか
  • 解除後の精算・返却について定めがあるか

契約書には、例えば「相手方が本契約に違反し、相当期間を定めた催告後も是正されない場合に解除できる」といった条項が設けられていることがあります。

また、支払停止、破産手続開始の申立て、重大な信用不安など一定の事由について、催告せず解除できる旨を定めている契約もあります。

契約書に解除条項がある場合でも、実際の状況がその条項の条件を満たしているかを確認してください。

2.解除と中途解約を混同しない

契約を途中で終わらせる方法には、解除のほかに中途解約があります。

手続き 基本的な考え方
契約解除 契約違反などを理由に、契約上・法律上の解除権を行使して契約を終了させる
中途解約 契約書で認められた解約権などに基づき、契約期間途中で契約を終了させる

例えば、相手方に契約違反はないものの「事業方針を変更したため契約を終了したい」という場合は、解除ではなく中途解約条項を確認する方が適切な場合があります。

反対に、相手方が契約上の義務を履行していないことを理由として終了させる場合は、解除条項や民法上の解除要件を確認します。

3.どの契約上の義務が守られていないか整理する

相手方の契約違反を理由に解除する場合は、「契約を守っていない」という抽象的な説明ではなく、具体的に何が履行されていないのかを整理します。

整理したい内容

  • 対象となる契約書
  • 契約書の該当条項
  • 相手方が負っている義務
  • 本来の履行期限
  • 実際に行われていない内容
  • これまで相手方へ連絡した内容
  • 相手方からの回答

例えば代金の未払いを理由とするのであれば、支払金額、支払期限、請求日、未払いの状態などを確認します。

納品・業務の未履行であれば、契約上何をいつまでに行う義務があったのかを整理してください。

4.解除理由に関する記録・証拠を整理する

解除の手続きを進める前に、契約違反等を確認できる記録を整理しておきます。

確認しておきたい資料

  • 締結済み契約書
  • 変更契約書・覚書
  • 発注書・注文書
  • 請求書
  • 納品・検収記録
  • メール・チャットのやり取り
  • 相手方へ対応を求めた記録
  • 相手方からの回答

解除通知を送った後に相手方から「契約違反はない」と主張される可能性もあります。

そのため、解除を決めてから資料を探すのではなく、解除理由と事実関係を先に整理しておくことが重要です。

5.催告による解除が必要か確認する

相手方が契約上の義務を履行しない場合でも、すぐに解除できるとは限りません。

民法第541条では、当事者の一方が債務を履行しない場合、相手方が相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは、原則として契約を解除できることが定められています。

ただし、その時点における不履行が契約や取引上の社会通念に照らして軽微である場合は、同条による解除はできません。

催告前に確認したい事項

  • 相手方の債務の内容
  • 履行期限が到来しているか
  • 現在も履行されていないか
  • 契約違反の程度
  • 契約書で催告について定めているか
  • 催告なしで解除できる事情がないか
解除通知の前に「催告」が必要な場合があります。
催告が必要なケースで、履行する機会を与えず直ちに解除すると、解除の有効性をめぐって争いになる可能性があります。

6.催告では相手に何を伝える?

催告を行う場合は、相手方に対して何をいつまでに履行してほしいのかを明確にします。

催告で整理したい内容

  • 対象となる契約
  • 履行されていない義務
  • 現在の状況
  • 相手方に求める対応
  • 履行を求める期限
  • 期限までに履行されない場合の対応

例えば未払い代金について催告する場合は、対象となる代金、金額、本来の支払期限、新たに設定する履行期限などを明確にします。

「早急に対応してください」だけではなく、具体的に何を求めているのか確認できる内容にしておくと分かりやすいでしょう。

7.催告期間はどのくらい必要?

民法第541条では「相当の期間」を定めて催告することとされていますが、すべての契約について一律に何日という期間が決められているわけではありません。

必要な期間は、履行する内容、取引の性質、これまでの経緯などによって異なる場合があります。

契約書で具体的な是正期間が定められている場合は、その内容も確認してください。

解除の有効性が問題になりやすい案件では、催告期間を自己判断だけで決めず、弁護士などへ確認することも検討しましょう。

8.催告したことを記録として残す

催告を行った場合は、後からいつ、何を求めたのか確認できる状態にします。

残しておきたい記録

  • 催告書の控え
  • 催告した日
  • 履行期限
  • 送付方法
  • 送付先
  • 郵送・メール等の送信記録
  • 相手方からの回答

解除の前提として催告を行ったかどうかが後から問題になる場合があるため、口頭だけで済ませず、内容を確認できる形で残すことが重要です。

9.催告なしで解除できる場合もある

民法第542条では、一定の場合には催告をすることなく契約を解除できる旨が定められています。

例えば、債務の全部の履行が不能である場合や、債務者が全部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合などです。

また、契約の性質上、特定の日時・一定期間内に履行されなければ契約目的を達成できない場合についても、同条で一定の規定があります。

ただし、実際の状況が無催告解除の要件を満たしているかは個別に判断する必要があります。

契約書の「無催告解除条項」も確認する

契約書には、一定の事由が発生した場合に催告を行わず解除できる旨を定めていることがあります。

無催告解除事由として契約書に定められることがある例

  • 重大な契約違反
  • 支払停止
  • 破産・民事再生等の申立て
  • 差押え等を受けた場合
  • 重大な信用不安が生じた場合

ただし、契約書に無催告解除条項があるという理由だけで、どの状況でも直ちに解除できるとは限りません。

実際に条項の要件へ該当しているか、法令上の制約がないかを確認してください。

10.相手方に原因がない場合も確認する

債務不履行による解除では、不履行が誰の事情によって生じたのかも問題になる場合があります。

民法第543条では、債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものである場合には、債権者は一定の解除をすることができないと定められています。

例えば、自社が必要な資料を渡さなかったことが原因で相手方が納品できなかったようなケースでは、単純に「納期を守らなかったから解除」と判断しないよう注意が必要です。

11.催告期限を過ぎたら履行状況を再確認する

催告で設定した期限が到来したら、すぐ解除通知を作る前に、相手方が履行したか確認します。

確認する内容

  • 期限までに必要な履行が行われたか
  • 一部だけ履行されたか
  • 相手方から対応予定の連絡があったか
  • 現在も解除理由が残っているか

催告後に相手方が適切に履行した場合は、当初想定していた解除を行えるか改めて確認する必要があります。

また、一部履行された場合も、残っている不履行の程度などから解除要件を再確認してください。

12.解除を決定する前に社内承認を確認する

法人の契約を解除する場合は、解除通知を送る担当者だけで決定できるとは限りません。

社内で確認したい事項

  • 解除の根拠
  • これまでの契約違反の経緯
  • 催告内容・期限
  • 解除による売上・業務への影響
  • 未払い・未請求金額
  • 損害賠償等を検討するか
  • 必要な決裁・承認者

特に取引金額が大きい契約や、解除によって事業への影響が大きい場合は、法務担当者・弁護士等への確認も検討してください。

13.解除通知には何を書く?

解除する条件を満たしていることを確認したら、相手方へ解除する意思を通知します。

記載項目 確認する内容
通知日 解除通知を作成・送付する日
宛先 契約相手の正式名称・通知先
対象契約 契約書名・締結日など
解除理由 解除の根拠となる契約違反等
催告の経緯 必要な場合は催告日・履行期限等
解除の意思 対象契約を解除することを明確にする
終了時期 解除の効力が生じる時期について確認する
終了後の対応 精算・返却等について必要な事項

解除理由が曖昧なまま「契約を終了します」とだけ通知すると、中途解約なのか解除なのか分かりにくくなる可能性があります。

どの契約について、どのような根拠から解除する意思なのかを整理してください。

14.解除通知の方法を契約書で確認する

解除通知をどの方法で行うかについて、契約書の通知条項も確認します。

通知方法として考えられるもの

  • 書面
  • 郵送
  • メール
  • 契約書で指定されたその他の方法

普段メールで業務連絡をしている場合でも、契約書では重要な通知について「書面により行う」と定めていることがあります。

契約書に通知方法・通知先が指定されている場合は、その条件を確認してください。

15.解除通知では相手方への「到達」も重要

民法第97条では、意思表示は原則としてその通知が相手方に到達した時から効力を生ずると定められています。

そのため、解除通知については「通知書を作成した日」「郵便を発送した日」だけでなく、相手方への到達状況を確認することが重要になります。

解除通知は「送ったこと」と「相手方へ到達したこと」を分けて管理しましょう。
解除の効力が問題になる場合に備え、送付先・送付方法・配達状況等を後から確認できるようにします。

16.メールで解除通知を送る場合

契約上メールによる通知が可能な場合などは、メールで解除通知を行う方法も考えられます。

送信前に確認すること

  • 契約書でメール通知が認められているか
  • 指定されたメールアドレスか
  • 対象契約が明確になっているか
  • 解除理由が明確になっているか
  • 解除する意思が明確になっているか
  • 送信済みメールを保存できるか

メールで送る場合でも、重要な解除通知では相手方の受領状況を確認する方法を検討してください。

17.郵送で解除通知を送る場合

解除通知を紙で送る場合は、正しい通知先と送付方法を確認します。

郵送前の確認事項

  • 契約書で指定された住所
  • 相手方の最新の所在地
  • 担当部署・宛名
  • 通知書の控えを保存したか
  • 送付記録を残す必要性

解除理由や通知時期について後から争いになる可能性がある場合は、内容証明郵便や配達証明などを利用することが適切か検討することもあります。

どの送付方法を利用しても、解除権そのものがない場合に解除が当然に有効になるわけではありません。重要な案件では、通知前に専門家へ確認することを検討してください。

18.解除通知をしたら撤回できる?

民法第540条では、解除の意思表示は撤回することができないと定められています。

そのため、「とりあえず解除通知を送って、後で考える」という進め方は避ける必要があります。

解除通知を行う前に、解除要件、社内承認、取引への影響などを十分に確認してください。

19.解除後の精算を確認する

契約を解除した後は、契約終了の通知だけで管理を終わらせず、金銭や物品等の精算を確認します。

確認したい事項

  • 未払い代金
  • 未請求金額
  • 前払金
  • 預り金・保証金
  • 成果物
  • 貸与物
  • 秘密情報・資料
  • アカウント・アクセス権

民法第545条では、解除権を行使した場合の当事者の原状回復義務について定めています。

ただし、実際に何を返還・精算する必要があるかは契約の種類、履行済みの内容、解除理由等によって異なります。

20.契約解除後も残る義務を確認する

契約を解除したからといって、契約書に定められたすべての義務が同時になくなるとは限りません。

解除後も確認したい条項

  • 秘密保持
  • 個人情報の取扱い
  • 知的財産権
  • 損害賠償
  • 資料・データの返却・廃棄
  • 未払い金の支払い

契約終了後も一定期間存続する旨が定められている条項については、その条件に従って対応します。

21.損害賠償請求も検討する場合

相手方の契約違反によって損害が発生している場合は、契約解除とは別に損害賠償請求が問題になることがあります。

民法第545条でも、解除によって損害賠償の請求が妨げられないことが定められています。

ただし、実際に損害賠償請求が認められるか、どの範囲を請求できるかについては、契約内容・事実関係によって判断が必要です。

高額な損害や紛争が予想される場合は、解除通知と合わせて専門家へ相談することを検討してください。

22.解除に関する記録をまとめて保管する

解除手続きが完了したら、元の契約書だけでなく、解除までの経緯が分かる記録をまとめて保管します。

保管しておきたい資料

  • 締結済み契約書
  • 変更契約書・覚書
  • 契約違反を確認できる資料
  • 催告書
  • 催告の送付記録
  • 相手方からの回答
  • 解除通知書
  • 解除通知の到達記録
  • 解除後の精算・返却記録

契約管理表には、単に「終了」と記録するだけでなく、解除による終了であること、解除通知日、実際の終了時期なども記録しておくと経緯を確認しやすくなります。

契約を解除する前のチェックリスト

  • 締結済み契約書を確認した
  • 解除条項を確認した
  • 解除理由となる事実を整理した
  • 該当する契約条項を確認した
  • 契約違反を確認できる記録を整理した
  • 催告が必要か確認した
  • 催告が必要な場合は相当期間を設定した
  • 催告内容・送付記録を保存した
  • 催告期限後の履行状況を確認した
  • 無催告解除の要件を利用する場合は条件を確認した
  • 自社側に不履行原因がないか確認した
  • 必要な社内承認を完了した
  • 解除通知の内容を確認した
  • 契約書指定の通知方法・通知先を確認した
  • 解除通知の到達を確認できる方法を検討した
  • 解除後の精算・返却を確認した
  • 契約終了後も残る義務を確認した

よくある質問

相手が契約を1回守らなかっただけで解除できますか?

一律には判断できません。

民法第541条による催告解除では、債務不履行が軽微である場合は解除できない旨が定められています。

契約違反の内容・程度、契約書の解除条項、催告の必要性などを確認してください。

解除する前に必ず催告しなければなりませんか?

必ずしもすべての場合に催告が必要というわけではありません。

民法第542条では一定の場合について無催告解除を認めています。また、契約書に無催告解除条項がある場合もあります。

ただし、実際にその要件を満たすかは個別に確認してください。

支払いが遅れている場合はすぐ契約解除できますか?

契約書の解除条項と民法上の解除要件を確認する必要があります。

催告が必要な場合は、相当の期間を定めて支払いを求め、その期間内に履行されないことなどを確認してから解除を検討します。

解除通知はメールでもよいですか?

契約書の通知条項を確認してください。

メールによる通知が認められている場合もありますが、書面や指定住所への通知を定めている契約もあります。

解除通知を送った日が契約終了日になりますか?

必ずしも発送日と同じとは限りません。

民法第97条では意思表示は原則として相手方へ到達した時から効力を生じるため、解除通知の内容・到達時期・契約条項などを確認してください。

内容証明を送れば必ず契約解除できますか?

内容証明郵便を利用したことだけで解除要件が満たされるわけではありません。

まず解除権があることや、必要な催告等の手続きを行っていることを確認する必要があります。

解除通知を送った後で撤回できますか?

民法第540条では、解除の意思表示は撤回できないことが定められています。

解除通知を送る前に、解除要件と社内の最終判断を十分に確認してください。

契約を解除したら支払いも全部なくなりますか?

一律にはいえません。

すでに行われた履行や支払い、解除後の原状回復、損害賠償等について整理する必要があります。契約内容と実際の取引状況を確認してください。

相手が解除に納得しない場合はどうしますか?

解除理由、契約書の解除条項、催告・通知の記録などを改めて確認します。

解除の有効性について相手方と意見が一致しない場合は、紛争へ発展する可能性があるため、弁護士などへの相談を検討してください。

契約解除の手続きをまとめると

契約を解除するときは、相手方へ解除通知を送ることから始めるのではなく、解除理由、契約条項、催告の必要性、実際の履行状況を確認したうえで解除できる条件を満たしているか判断することが重要です。

  1. 契約書の解除条項を確認する
  2. 契約違反等の事実と記録を整理する
  3. 催告が必要か確認する
  4. 必要な場合は期限を定めて履行を催告する
  5. 期限後の履行状況と解除要件を再確認する
  6. 相手方へ解除する意思を明確に通知する
  7. 解除後の精算・返却・契約記録を整理する

特に解除理由について相手方と争いがある場合や、契約金額・損害額が大きい場合は、通知を送る前に専門家へ確認することも検討しましょう。

契約解除に備えて締結済み契約書を管理する

契約を解除する必要が生じたときは、締結済み契約書から解除条件、通知方法、契約終了後の対応などを確認する必要があります。

マイサイン(mysign)では、PDFの契約書をアップロードし、契約相手へオンラインで署名を依頼できます。契約相手はマイサインへの会員登録やログインをする必要がなく、受け取った案内からスマートフォンやパソコンで契約内容を確認し、署名・同意できます。

契約締結後も契約書を適切に保管し、解除・解約などが必要になったときに、どの条件で契約を終了できるのか確認できる状態にしておきましょう。

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