自動更新される契約を終了したい場合は、契約満了日を待つだけではなく、契約書で定められた期限までに「更新しない」ことを相手方へ通知する必要がある場合があります。
例えば、「契約期間満了日の30日前までに更新しない旨の通知がない場合は、同一条件で1年間更新する」と定められている契約では、その通知期限を過ぎると次の契約期間へ更新される可能性があります。
そのため、契約を更新しないと決めたら、自動更新条項、通知期限、通知方法、通知先を確認し、期限に余裕を持って相手方へ意思を伝えることが重要です。
自動更新を止めるときの基本的な流れ
- 契約期間と満了日を確認する
- 自動更新条項を確認する
- 更新拒絶の通知期限を確認する
- 通知方法・通知先を確認する
- 更新しない旨を期限内に通知する
- 相手方への到達・受領状況を確認する
- 契約終了後の対応と記録を整理する
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自動更新契約は何もしなければ更新されることがある
契約書に自動更新条項がある場合、契約満了日まで何もしなければ契約が終了するとは限りません。
自動更新条項では、一定の期限までに一方または双方から更新しない旨の通知がなければ、同じ条件または契約書で定められた条件で契約期間を延長する仕組みが定められていることがあります。
そのため、自動更新を止めたい場合は、契約満了日だけを見るのではなく、「いつまでに更新しないことを通知する必要があるのか」を確認する必要があります。
契約満了日が12月31日でも、契約書で「満了日の3か月前までに通知する」と定められていれば、それより前に更新しない旨を通知する必要があります。
1.契約期間と契約満了日を確認する
まず、現在の契約期間がいつからいつまでなのかを確認します。
契約書で確認する項目
- 契約開始日
- 契約満了日
- 現在の契約期間
- 契約締結日と契約開始日が異なっていないか
- 過去の更新によって契約期間が変わっていないか
- 変更契約書や覚書で期間を変更していないか
自動更新を何度か繰り返している契約では、最初の契約書に記載された終了日が現在の契約満了日ではない場合があります。
過去の更新記録や変更契約書なども確認し、現在適用されている契約期間を特定してください。
2.自動更新条項の内容を確認する
次に、契約書の「契約期間」「更新」「契約終了」などの条項を確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 自動更新の有無 | 通知しなければ自動的に更新される契約か |
| 更新期間 | 更新後は1年間、6か月間など、どの程度延長されるか |
| 更新条件 | 同じ条件で更新されるのか、別の条件があるのか |
| 更新拒絶期限 | 満了日の何日前・何か月前までに通知する必要があるか |
| 通知方法 | メール、書面、郵送などの指定があるか |
| 通知先 | 本店所在地、担当部署、指定メールアドレスなど |
契約によって更新条件は異なります。「自動更新契約なら30日前までに通知すればよい」と一律に考えず、締結している契約書の内容を確認してください。
3.更新拒絶の通知期限を確認する
自動更新を止めるうえで特に重要なのが、更新しない旨を通知する期限です。
契約書では、例えば次のような形で定められることがあります。
- 契約期間満了日の30日前まで
- 契約期間満了日の1か月前まで
- 契約期間満了日の60日前まで
- 契約期間満了日の3か月前まで
「30日前」と「1か月前」は必ずしも同じ日になるわけではないため、契約書の表現を正確に確認します。
また、通知期限当日に対応するのではなく、社内で更新しないことを決定する時間や、相手方へ通知が到達するまでの時間も考慮して余裕を持って進めましょう。
4.「更新しない」と「中途解約」を区別する
自動更新を止めるための更新拒絶と、契約期間の途中で契約を終了する中途解約は同じではありません。
| 方法 | 意味 |
|---|---|
| 更新しない | 現在の契約期間が満了した時点で終了し、次の期間へ更新しない |
| 中途解約 | 現在の契約期間が終了する前に契約を終了する |
例えば12月31日まで有効な契約について、12月31日で終了させるために自動更新を止めるのであれば「更新しない旨の通知」です。
一方、10月31日で終了させたいのであれば、契約期間途中の終了となるため、中途解約に関する条項を確認する必要があります。
契約書によっては、自動更新を拒絶することはできても、中途解約について別の条件や制限が定められている場合があります。
5.通知方法を確認する
更新しない旨を伝えるときは、契約書で指定されている通知方法を確認します。
通知方法として確認したいもの
- メール
- 書面
- 郵送
- 書留郵便
- 契約書で指定された方法
契約書に「書面により通知する」と定められている場合に、担当者へのメールだけで済ませてよいかは慎重に判断する必要があります。
反対に、契約書で指定メールアドレスへの電子メールによる通知が認められている場合は、その方法に沿って送ることができます。
契約や取引の種類によって特別な通知方法が必要となる場合もあるため、対象となる契約について個別の法令上のルールがないかも確認してください。
6.正しい通知先を確認する
通知内容が正しくても、契約書で指定された通知先とは異なる場所へ送ってしまうと問題になる可能性があります。
送付前に確認する通知先
- 契約書に記載された住所
- 契約書で指定された部署
- 契約書で指定されたメールアドレス
- 契約締結後に変更された通知先
- 担当者変更の有無
日常的にやり取りしている担当者と、契約上の正式な通知先が異なる場合もあります。
重要な更新拒絶通知では、普段利用している連絡先だけではなく、契約書の通知条項まで確認してください。
7.更新しない旨を通知する
期限と通知方法を確認したら、相手方へ更新しない旨を通知します。
通知内容は、相手方がどの契約についての通知なのか判断できるようにします。
通知に含めておきたい内容
- 通知日
- 契約相手の名称
- 対象となる契約書の名称
- 契約締結日
- 現在の契約満了日
- 次回更新を希望しないこと
- 契約満了をもって終了すること
- 必要に応じて終了後の手続きに関する確認事項
理由を伝える必要があるかどうかについても、契約書の内容を確認します。
契約上理由を求められていない場合でも、取引関係を円滑に終了するために簡潔な理由を伝えることは考えられます。ただし、不要な主張を増やして認識違いを生じさせないよう注意しましょう。
メールで通知する場合の注意点
契約書上メールによる通知が認められている場合や、通知方法が限定されていない場合には、メールを利用する方法があります。
メール送信時の確認事項
- 指定されたメールアドレスへ送っている
- 対象となる契約を明確にしている
- 更新しない意思を曖昧にしていない
- 契約終了日を記載している
- 送信日を確認できる
- 送信済みメールを保存している
- 必要に応じて受領確認を依頼している
民法第97条では、意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生ずることを原則としています。
そのため、期限が重要な更新拒絶通知では、単に送信ボタンを押した日だけで考えず、相手方への到達についても意識して通知を行うことが重要です。
送信先の誤り、担当者変更、郵送の遅れなどがあっても対応できるよう、契約書で定められた期限より十分前に手続きを進めると安心です。
重要な通知ではメールと郵送を併用する方法もある
契約書で定めた通知方法を満たしていることが前提ですが、重要な更新拒絶通知について、メールと郵送の双方で同じ内容を送る方法も考えられます。
例えば、契約書で書面による通知を求めている場合は正式な通知書を郵送し、担当者へはメールで「本日、契約更新に関する通知書を発送しました」と連絡する方法です。
複数の方法を利用する場合は、契約終了日や通知内容がそれぞれ異ならないようにしてください。
通知したことが分かる記録を残す
更新しない旨を通知した後は、通知書やメールを削除せず保存します。
保存しておきたい記録
- 送付した通知書
- 送信したメール
- メールの送信日時・宛先
- 相手方からの返信
- 受領確認
- 郵送した場合の発送記録
- 配達状況を確認できる記録
- 更新しないことを社内で決定した記録
後から「更新しない通知を受け取っていない」「期限を過ぎていた」といった認識違いが生じた場合に、これまでの手続きを確認しやすくなります。
通知後は相手方からの回答も確認する
更新しない旨を通知した後は、相手方から受領確認や契約終了に関する案内が届く場合があります。
相手方から「承知しました」といった返信があれば、その回答も通知記録と一緒に保存します。
一方、相手方から「すでに自動更新されている」「通知期限を過ぎている」など異なる回答があった場合は、すぐに契約書の該当条項と通知日時を確認してください。
当事者間で更新の有無について意見が一致しない場合は、一方的に契約終了と判断せず、必要に応じて弁護士などの専門家への相談も検討します。
契約終了日までに確認しておきたいこと
自動更新を止める通知が完了しても、契約満了日までは現在の契約が続く場合があります。
契約終了までに、次のような事項を確認します。
- 未完了の業務がないか
- 未払い・未請求の金額がないか
- 納品・検収が完了しているか
- 貸与物を返却する必要がないか
- アカウントやシステムへのアクセス権を停止する必要がないか
- 秘密情報・資料を返却または廃棄する必要がないか
- 契約終了後も継続する義務がないか
秘密保持や損害賠償など、契約終了後も一定期間または継続して適用される条項が設けられている場合があります。
「契約が終わるから契約書も不要」と考えず、終了後に残る義務を確認してください。
更新しない契約は管理情報も「終了予定」に変更する
契約管理表や契約管理システムを利用している場合は、更新しないことが決まった時点で管理情報も更新します。
管理しておきたい項目
- 更新しないことを決定した日
- 更新拒絶通知を行った日
- 通知方法
- 相手方の受領確認日
- 契約満了日
- 契約終了後の担当者
- 契約書・通知書の保管場所
更新通知を行ったにもかかわらず、管理表では翌年へ自動更新された状態のままにならないよう注意しましょう。
通知期限を過ぎてしまった場合
契約書で定められた更新拒絶期限を過ぎてしまった場合は、まず契約書の自動更新条項と中途解約条項を確認します。
すでに自動更新の条件を満たしている場合でも、更新後の契約について中途解約が可能なケースや、相手方との合意によって終了時期を変更できるケースがあります。
ただし、「更新したくない」という一方の希望だけで当然に自動更新を取り消せるとは限りません。
相手方へ事情を説明して協議するとともに、契約期間や金額への影響が大きい場合は専門家へ確認することも検討してください。
自動更新を止める前のチェックリスト
- 現在の契約満了日を確認した
- 自動更新条項を確認した
- 更新後の契約期間を確認した
- 更新拒絶の通知期限を確認した
- 更新拒絶と中途解約を区別した
- 契約書で指定された通知方法を確認した
- 正しい通知先を確認した
- 期限より余裕を持って通知した
- 契約書を特定できる内容で通知した
- 通知した記録を保存した
- 相手方からの回答を保存した
- 契約終了後に残る義務を確認した
よくある質問
自動更新を止める通知は何日前までに必要ですか?
すべての契約について共通の通知期限があるわけではありません。
締結している契約書の自動更新条項を確認し、「満了日の30日前まで」「3か月前まで」など、契約で定められた期限に従って対応してください。
更新しない通知はメールでもよいですか?
契約書で定められた通知方法を確認してください。
メールによる通知を認めている契約もありますが、書面や特定の方法による通知を定めている場合があります。
期限が重要な通知では、通知内容と相手方への到達を後から確認できる方法を検討しましょう。
相手方から返信がなければ更新拒絶は無効ですか?
相手方から返信がないという事実だけで一律に判断することはできません。
契約書の通知条項や実際の通知方法、通知が相手方へ到達しているかなどを確認する必要があります。
自動更新の通知期限を1日過ぎてしまいました。もう終了できませんか?
契約書の自動更新条項や中途解約条項を確認する必要があります。
相手方との協議によって契約終了について合意できる場合もありますが、一方の判断だけで更新をなかったことにできるとは限りません。
更新しない理由は相手方へ伝える必要がありますか?
契約書で理由の提示を求めているかを確認してください。
特別な定めがない場合でも、取引関係に応じて理由を伝えることは考えられますが、必要以上の説明によって新たな認識違いが生じないよう注意しましょう。
更新拒絶の通知を出した後も契約期間中は取引を続けますか?
通常は、更新しない通知を行ったことと、現在の契約をその時点で終了することは別です。
契約満了まで現在の契約が継続する場合は、契約期間中の義務を引き続き履行し、満了日に向けて終了手続きを進めます。
自動更新を止める手続きをまとめると
契約を更新しない場合は、満了日になってから対応するのではなく、自動更新条項から通知期限を確認し、期限内に相手方へ更新しない意思を伝えることが重要です。
- 現在の契約期間を確認する
- 自動更新条項を確認する
- 更新拒絶の通知期限を確認する
- 通知方法と通知先を確認する
- 期限に余裕を持って更新しない旨を通知する
- 通知・到達に関する記録を残す
- 契約満了までに終了手続きを行う
特に複数の自動更新契約を管理している場合は、契約満了日だけでなく更新拒絶期限も一覧で管理し、期限の数か月前から確認できるようにしておくと通知忘れを防ぎやすくなります。
契約締結後は更新・終了に必要な情報も管理する
自動更新を確実に管理するためには、締結済み契約書を必要なときに確認できる状態にしておくことが重要です。
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契約締結後も、契約期間、自動更新の有無、更新拒絶期限などを契約書と合わせて確認できるようにしておけば、契約を継続するか終了するかを判断するときにも対応しやすくなります。
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