契約を締結する前には、契約書の文章だけでなく、契約相手が正しいか、合意した条件が反映されているか、不利な条件や確認漏れがないかを一つずつ確認することが大切です。
特に、契約金額や支払期限、業務範囲、契約期間、解約条件などに認識の違いが残っていると、契約締結後のトラブルにつながる可能性があります。
このページでは、契約締結までの手順ではなく、契約を締結する直前に何を確認すればよいのかを、契約相手・契約条件・契約書のチェックポイントに分けて解説します。
契約締結前に確認したい主なポイント
- 契約相手の氏名・会社名・所在地を確認する
- 契約の目的・業務範囲を確認する
- 金額・支払条件を確認する
- 契約期間・更新・終了条件を確認する
- 秘密保持・知的財産権・損害賠償などを確認する
- 別紙・添付資料・最終版を確認する
- 署名者・締結方法を確認する
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契約書へ署名する前に条件を確認しておくことが重要
契約書へ署名・押印したり、電子契約で同意したりする前には、契約内容に双方の認識違いがないかを確認しておきましょう。
民法第522条では、契約内容を示した「申込み」に対して相手方が「承諾」したときに契約が成立することを基本としています。また、法令に特別の定めがある場合を除き、契約成立のために契約書の作成など特定の方式をとることは原則として必要とされていません。
交渉の内容や申込み・承諾の状況によっては、契約書への署名前に合意が成立している場合もあります。重要な条件については、契約締結の直前ではなく、交渉段階から認識を揃えておくことが大切です。
契約書は、合意した内容を後から確認するための重要な記録です。署名する前に「書いてある内容を確認する」だけではなく、「本当に合意した内容がすべて書かれているか」という視点でも確認します。
1.契約相手が正しいか確認する
最初に確認したいのが、誰と契約するのかという契約当事者の情報です。
法人との契約であれば、普段使用しているサービス名や店舗名だけではなく、契約書に記載されている正式な会社名や所在地などを確認します。
国税庁の法人番号公表サイトでは、法人番号の指定を受けた法人等について、商号または名称、本店または主たる事務所の所在地、法人番号を確認できます。
代表者など、さらに詳しい登記事項を確認する必要がある場合には、会社・法人の登記事項証明書などで確認する方法もあります。
契約相手について確認したい項目
- 法人の場合は正式な会社名・法人名
- 個人の場合は氏名
- 住所・本店所在地
- 契約書に記載された連絡先
- 契約を担当している部署・担当者
- 必要に応じて契約締結の権限を持っているか
特に高額な契約や長期間継続する契約では、担当者とのやり取りだけで判断せず、必要に応じて相手方の法人情報や契約締結権限について確認しておくと安心です。
2.契約の目的・業務範囲を確認する
次に、「何について契約するのか」を確認します。
業務委託契約であれば委託する業務、売買契約であれば対象となる商品など、契約によって相手方が行うこと、自分が行うことを明確にします。
契約書に「関連業務」「必要な業務」「その他付随する業務」など幅広く解釈できる表現がある場合は、想定している業務範囲と一致しているか確認しておきましょう。
業務内容について確認したいこと
- 契約の目的が明確になっているか
- 提供する商品・サービスが特定されているか
- 業務を行う範囲が分かるか
- 相手方が担当する範囲が分かるか
- 納品物・成果物がある場合、その内容が明確か
- 納品方法・納期・検収方法が決まっているか
- 追加作業が発生した場合の取扱いが決まっているか
その場合は、別紙や仕様書がどの契約に対応するものなのか、契約書本文との関係が分かるようにしておくことが大切です。
3.契約金額・支払条件を確認する
金額に関する条件は、契約締結前に特に確認しておきたい項目です。
「金額自体は合っている」というだけではなく、消費税、追加費用、支払期限、支払方法なども含めて確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 契約金額 | 合意した金額と契約書の記載が一致しているか |
| 消費税 | 税込・税別など金額の扱いが分かるか |
| 支払期限 | いつまでに支払うのか明確か |
| 支払方法 | 振込・口座振替など支払方法が決まっているか |
| 振込手数料 | どちらが負担するのか必要に応じて確認したか |
| 追加費用 | 交通費・材料費・追加作業などの取扱いが決まっているか |
月額契約や継続的な業務では、毎月同じ金額なのか、利用量などによって変動するのかについても確認しておきましょう。
また、契約途中で料金を変更できる内容になっている場合は、変更できる条件や通知方法についても確認が必要です。
4.契約期間・更新・終了条件を確認する
契約期間については、開始日と終了日を見るだけでは不十分な場合があります。
特に継続契約では、自動更新の有無や解約の申出期限を見落とさないようにします。
契約期間について確認したい項目
- 契約開始日
- 契約終了日
- 契約期間
- 自動更新の有無
- 更新される期間
- 更新を停止する場合の通知期限
- 契約期間途中で解約できるか
- 中途解約する場合の条件
例えば、「契約期間満了日の1か月前までに申し出がなければ自動更新する」という内容であれば、契約終了日だけでなく、更新を停止するための通知期限も管理する必要があります。
また、契約違反などがあった場合の解除と、当事者の都合による中途解約は別の条件になっている場合があります。それぞれどのような場合に契約を終了できるのかを確認しましょう。
5.秘密保持・知的財産権・損害賠償などを確認する
契約の中心となる業務内容や金額だけでなく、問題が発生した場合に関係する条項も確認します。
契約の種類によって必要な条項は異なりますが、次のような内容が含まれている場合は、自社の想定と一致しているか確認しておきましょう。
秘密保持
取引を通じて相手方の営業情報や顧客情報などを扱う場合は、何を秘密情報として扱うのか、どのような目的で利用できるのか、契約終了後も義務が続くのかなどを確認します。
知的財産権
デザイン、文章、プログラム、写真、動画などの成果物を作成する契約では、著作権などの権利を誰が持つのか、相手方がどの範囲まで利用できるのかを確認します。
損害賠償
契約違反などによって損害が発生した場合について、どのような場合に損害賠償責任を負うのか、責任の範囲や上限が定められているかを確認します。
再委託・第三者への依頼
業務の一部を外部へ委託する可能性がある場合は、再委託が認められているか、事前の承諾が必要かなどを確認します。
これらの条件は、すべての契約に同じ内容が必要というものではありません。実際の取引内容に応じて必要な項目を確認してください。
個別の条項を検討するときは、マイサインの契約書の条項・条文例も参考にできます。
6.契約書本文・別紙・添付資料を確認する
契約条件に問題がなくても、契約書への記載ミスや資料の取り違えがあると、締結後に修正が必要になることがあります。
署名・押印などを行う直前には、契約書全体を最終版としてもう一度確認します。
| 確認箇所 | チェックポイント |
|---|---|
| 契約当事者 | 会社名・氏名・所在地などに誤りがないか |
| 日付 | 契約締結日・開始日・終了日に誤りがないか |
| 金額 | 契約金額や支払条件が最終合意と一致しているか |
| 条項番号 | 「前条」「第○条」などの参照先にずれがないか |
| 空欄 | 未入力の項目や記入漏れが残っていないか |
| 別紙・仕様書 | 必要な資料がすべて揃っているか |
| ファイル | 双方が確認した最終版と同じファイルか |
修正履歴がある契約書は最終版の取り違えに注意する
契約書をメールなどで何度も修正している場合は、「契約書_修正版」「契約書_修正版2」など複数のファイルが存在することがあります。
締結前には、双方が確認した最終版を特定し、そのファイルを使って契約手続きを行います。
契約書本文と別紙の内容が食い違っている場合には、どちらを優先するのかが問題になることもあります。契約書と添付資料を別々に確認するのではなく、契約関係書類全体として内容に矛盾がないか確認しておきましょう。
7.署名する人と契約の締結方法を確認する
契約書の内容が確定したら、誰がどの方法で締結するのかを確認します。
法人の場合は、契約相手となる会社だけでなく、誰の名義で契約を締結するのかについても確認します。取引内容や社内ルールなどに応じて、契約締結権限について確認が必要になる場合があります。
紙で契約する場合
一般的な契約については、法令に特別の定めがある場合を除き、押印そのものが契約成立の必須要件とは限りません。
ただし、契約や手続きの種類によって特別な方式が求められる場合や、当事者間で署名・押印の方法を定めている場合があります。対象となる契約に特別な要件がないか確認してください。
電子契約を利用する場合
電子契約を利用する場合は、締結するPDFなどが最終版であることを確認したうえで、正しい契約相手へ署名・同意を依頼します。
メールアドレスの入力間違いや、古い契約書ファイルの送信がないよう、送信前にもう一度確認しておくと安心です。
契約締結前のチェックリスト
契約書へ署名・押印したり、電子契約で送信したりする前に、次の項目を確認してみましょう。
- 契約相手の会社名・氏名は正しい
- 住所・所在地に誤りがない
- 必要に応じて相手方の法人情報を確認した
- 契約の目的が明確になっている
- 業務・商品・サービスの範囲が明確になっている
- 契約金額を確認した
- 消費税・追加費用などの取扱いを確認した
- 支払期限・支払方法を確認した
- 契約期間・更新条件を確認した
- 中途解約・解除条件を確認した
- 秘密保持に関する条件を確認した
- 知的財産権の取扱いを確認した
- 損害賠償などの責任範囲を確認した
- 別紙・仕様書など必要な資料が揃っている
- 契約書に空欄や記載漏れがない
- 双方が同じ最終版を確認している
- 契約を締結する人・締結方法を確認した
契約書を確認するときによくある注意点
相手から送られてきた契約書をそのまま締結してもよい?
相手方が作成した契約書であっても、自分が合意した条件と一致しているかを確認してから締結しましょう。
契約書を作成した側に有利な条件が含まれているとは限りませんが、自社の想定とは異なる条件が含まれている可能性があります。金額や業務内容だけでなく、契約期間、解除、損害賠償なども含めて確認することが大切です。
契約書のひな形を使えば内容確認は不要?
ひな形を利用する場合でも、今回の取引に合っているか確認する必要があります。
取引相手、業務内容、契約金額、契約期間などが異なれば、必要な契約条件も変わります。
契約書を準備するときは、マイサインの契約書ひな形・テンプレートも参考にできますが、実際の取引内容に合わせて確認してください。
会社名はどこで確認できますか?
法人番号の指定を受けた法人等については、国税庁の法人番号公表サイトで、商号または名称、本店または主たる事務所の所在地、法人番号を検索できます。
代表者など、さらに詳しい登記事項を確認する必要がある場合には、会社・法人の登記事項証明書などを利用する方法があります。
印鑑がない契約書は無効ですか?
一般的な契約では、押印がないことだけを理由として契約が成立しないというわけではありません。
民法では、法令に特別の定めがある場合を除き、契約成立に特定の方式を必要としないことが原則です。
ただし、契約や取引の種類によって特別な方式が必要になる場合がありますので、対象となる契約について個別に確認してください。
契約内容で分からない条項がある場合はどうすればよい?
意味や影響を理解できない条項がある状態で、そのまま契約を締結することは避けたほうがよいでしょう。
まず相手方へ条項の意味や想定している運用を確認し、必要に応じて修正について協議します。金額が大きい契約や事業への影響が大きい契約など、判断が難しい場合は弁護士などの専門家への確認も検討してください。
契約を締結する前の確認ポイントをまとめると
契約締結前には、契約書を最初から最後まで読むだけでなく、契約相手・契約条件・リスクに関する条項・別紙・最終版・締結方法まで一つずつ確認することが重要です。
- 契約相手を確認する
- 契約の目的・業務範囲を確認する
- 金額・支払条件を確認する
- 契約期間・更新・終了条件を確認する
- 秘密保持・知的財産権・損害賠償などを確認する
- 契約書本文・別紙・最終版を確認する
- 署名者・締結方法を確認する
すべての契約に同じ条項や確認方法が必要なわけではありません。取引の内容や契約の種類に応じて、必要な項目を確認してください。
確認が終わった契約書をオンラインで締結する
契約内容の最終確認が終わったら、紙の契約書だけでなく電子契約を利用して手続きを進める方法もあります。
マイサイン(mysign)では、PDFの契約書をアップロードし、契約相手へ署名・同意を依頼できます。契約相手はマイサインへの会員登録やログインをする必要がなく、受け取った案内からスマートフォンやパソコンで契約内容を確認できます。
電子契約を利用する場合も、送信前に契約相手、送信先、契約書の最終版を確認することが重要です。契約条件の確認が終わってから締結手続きへ進むことで、ファイルの取り違えや送信先の間違いを防ぎやすくなります。
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