契約書を作成するとき、「契約締結日は今日でよいのか」「相手が後日署名した場合は何日になるのか」「契約開始日と同じ日にしなければならないのか」と迷うことがあります。
契約書には「契約日」「締結日」「署名日」「効力発生日」など複数の日付が登場しますが、これらは必ずしも同じ日になるとは限りません。
大切なのは、実際に契約手続きを行った日付と、契約上の権利・義務をいつから発生させるのかを区別し、契約書の内容と実際の手続きが矛盾しないようにすることです。
このページでは、契約締結日をどのように決めればよいのかを、契約日・署名日・効力発生日の違いから分かりやすく解説します。
契約の日付を考える基本
- 契約締結日:契約を締結した日として扱う日
- 署名日:各当事者が実際に署名等を行った日
- 効力発生日:契約上の権利・義務を適用し始める日
- 3つの日付は同じ場合もあれば、異なる場合もある
- 実際に署名していない日を署名日として記録しない
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契約締結日・契約日・署名日・効力発生日の違い
最初に、それぞれの日付が何を意味するのか整理しておきましょう。
| 日付 | 一般的な意味 |
|---|---|
| 契約締結日 | 当事者が契約を締結した日として扱う日 |
| 契約日 | 契約締結日などを指して使われることが多いが、意味が一律に決まっている用語ではない |
| 署名日 | それぞれの当事者が契約書へ署名・電子署名等を行った日 |
| 効力発生日 | 契約上の権利・義務を発生・適用させる日 |
| 契約開始日 | 業務やサービス提供など、契約で定めた取引を開始する日 |
実務では「契約日」という言葉だけが使われることもありますが、何を意味するのか分かりにくくなる場合があります。
契約締結日と効力発生日を別にする場合には、それぞれの日付を契約書上で明確にしておくと認識違いを防ぎやすくなります。
そもそも契約書の日付で契約成立が決まるわけではない
契約締結日を考えるうえで重要なのが、契約書に記載された日付と、法律上の契約成立が必ずしも同じものではないという点です。
民法第522条では、契約内容を示した「申込み」に対し、相手方が「承諾」したときに契約が成立することを基本としています。
また、法令に特別の定めがある場合を除き、契約成立のために契約書の作成など特定の方式をとることは原則として必要とされていません。
それ以前の交渉で既に申込みと承諾が成立している場合もあれば、「双方が契約書へ署名した時点で契約を成立させる」として手続きを進める場合もあります。実際の合意内容や契約の種類によって判断が異なります。
そのため、「契約締結日は何日にすれば法律上正解か」と一律に決めるのではなく、実際の契約手続きと契約書の内容を一致させることが大切です。
契約締結日はいつにする?
契約書を作成して双方が署名・押印などを行う一般的な取引では、双方の契約手続きが完了した日を契約締結日として整理する方法が分かりやすいでしょう。
例えば、双方が2026年8月12日に同じ場所で契約書へ署名したのであれば、契約締結日も2026年8月12日とすることで、実際の手続きと契約書の日付が一致します。
双方が同じ日に署名する場合
| A社の署名日 | 2026年8月12日 |
|---|---|
| B社の署名日 | 2026年8月12日 |
| 契約締結日 | 2026年8月12日 |
| 効力発生日 | 2026年8月12日 |
このように締結日・署名日・効力発生日がすべて同じであれば、日付について特に複雑な整理は必要ありません。
双方の署名日が違う場合はどうする?
郵送や電子契約では、契約当事者が同じ日に署名するとは限りません。
例えば、A社が8月10日に署名し、B社が8月12日に署名する場合があります。
| A社の署名日 | 2026年8月10日 |
|---|---|
| B社の署名日 | 2026年8月12日 |
| 双方の手続きが揃った日 | 2026年8月12日 |
このような場合、実務上は最後の当事者が署名等を完了した日を契約締結日として扱う方法があります。
ただし、「署名日が異なる場合は必ず遅いほうの日が契約締結日になる」という法律上の一律のルールがあるわけではありません。
双方の署名完了によって契約を締結する運用であれば、「双方の署名が完了した日を契約締結日とする」など、契約書や契約手続きのルールを明確にしておくと分かりやすくなります。
国土交通省関連の電子契約に関する公的資料でも、電子署名日が双方で異なるケースについて、遅い日付を契約日として取り扱う例が示されています。ただし、これは当該制度における取扱いであり、すべての契約にそのまま適用される一般ルールではありません。
署名日は実際に署名した日を記録する
契約締結日と署名日が異なる場合に注意したいのが、日付を実際の手続きに合わせて記録することです。
例えば、8月12日に契約書へ署名したにもかかわらず、契約開始日が8月1日だからという理由だけで「8月1日に署名した」ことにするのは避けたほうがよいでしょう。
実際の署名日と契約を適用したい日が違うのであれば、署名日を変更するのではなく、契約締結日と効力発生日を分けて整理する方法があります。
「いつ署名したか」と「いつから契約を適用するか」は別の問題として整理できます。
契約締結日と効力発生日は同じでなくてもよい?
契約締結日と効力発生日を別の日に設定することがあります。
例えば、8月12日に契約を締結し、実際のサービス提供を9月1日から開始する場合です。
| 契約締結日 | 2026年8月12日 |
|---|---|
| 効力発生日 | 2026年9月1日 |
| 契約期間 | 2026年9月1日から1年間など |
このように、契約書への署名を先に済ませ、将来の日から契約上の権利・義務を発生させる形にすることも考えられます。
新しい取引を翌月から開始する場合や、既存契約の終了後に新しい契約へ切り替える場合などでは、締結日と効力発生日を分けたほうが分かりやすいケースがあります。
契約締結前の日から効力を発生させることはできる?
契約書を作成する前に、既に業務や情報開示などが始まっていることもあります。
例えば、8月1日から業務を開始していたものの、正式な契約書への署名が8月12日になったケースです。
このような場合には、当事者間で合意したうえで、契約上の一定の取扱いを締結前の日から適用することを定めるケースがあります。
| 実際の契約締結日 | 2026年8月12日 |
|---|---|
| 契約上の適用開始日 | 2026年8月1日 |
特許庁が公開している秘密保持契約のモデル契約書でも、契約締結前に開示した情報まで秘密保持義務の対象とする場合について、双方が合意したうえで効力発生日を情報開示日まで遡らせる条項を設ける考え方が示されています。
ただし、すべての契約について自由に過去へ遡って効力を発生させられるという意味ではありません。
契約や権利の種類によっては、法令上の方式や効力発生要件などが別途定められている場合があります。また、税務・会計上の処理や第三者との関係など、契約当事者間の合意だけでは整理できない問題が生じる可能性もあります。
締結前の期間まで契約を適用する必要がある場合は、実際の契約締結日を過去の日付に書き換えるのではなく、締結日と適用する期間を区別して契約書へ明確に記載することが重要です。重要な契約では弁護士などの専門家への確認も検討してください。
契約開始日と効力発生日も違う場合がある
「効力発生日」と「契約開始日」も、契約内容によっては必ずしも同じ意味ではありません。
例えば、契約自体は8月12日から有効としながら、実際の業務提供期間を9月1日から開始するという契約も考えられます。
| 契約締結日 | 2026年8月12日 |
|---|---|
| 効力発生日 | 2026年8月12日 |
| 業務開始日 | 2026年9月1日 |
秘密保持義務などは締結日から発生させ、実際のサービス提供だけを後日開始するなど、条項によって適用開始時期を分ける場合もあります。
単に「契約期間は1年間」と記載するのではなく、いつからいつまでなのか具体的な日付を記載しておくと認識違いを防ぎやすくなります。
契約書の日付を決めるときの3つのパターン
パターン1.締結した日からすぐ契約を開始する
最もシンプルなのは、契約締結日と効力発生日を同じ日にする方法です。
- 契約締結日:8月12日
- 効力発生日:8月12日
- 契約開始日:8月12日
契約手続きと実際の取引開始が同時であれば、この形が分かりやすくなります。
パターン2.先に契約し、後日から契約を開始する
- 契約締結日:8月12日
- 効力発生日:9月1日
- 契約開始日:9月1日
契約条件を先に確定しておき、翌月などから取引を始める場合に考えられる形です。
パターン3.既に開始している取引について後から契約書を作成する
- 実際の契約書締結日:8月12日
- 業務開始日:8月1日
- 契約上の取扱い:必要に応じて8月1日から適用する旨を明確化
この場合は、単純に契約締結日を8月1日と記載するのではなく、実際の締結日と契約上適用する日付を区別することが重要です。
日付が空欄の契約書へ先に署名してもよい?
契約締結日などの重要な項目が空欄のまま署名し、後から一方だけで日付を記入する運用は避けたほうがよいでしょう。
いつの日付を記入するのかについて双方の認識が違うと、契約期間や支払期限、解約期限などにも影響する可能性があります。
契約書へ署名する前に、日付を含めて最終的な契約内容を確認し、双方が同じ契約書を確認した状態で締結することが大切です。
電子契約では署名日と完了日を確認する
電子契約では、当事者が別々の日に契約手続きを行うことが多いため、各署名者の署名日時と契約手続き全体の完了日時を区別して確認すると分かりやすくなります。
例えば、A社が8月10日に電子署名し、B社が8月12日に電子署名した場合、双方の署名日時をそれぞれ記録し、最後の手続きが完了した8月12日を契約手続きの完了日として管理する方法があります。
電子契約サービスによって記録される情報や契約完了の扱いは異なるため、利用しているサービスの仕様も確認してください。
契約日を決めるときのチェックリスト
- 契約締結日が何を意味するのか確認した
- 各当事者が実際に署名する日を確認した
- 双方の署名日が異なる場合の締結日の扱いを決めた
- 契約締結日と効力発生日を同じ日にするか決めた
- 契約開始日が別にある場合は明確にした
- 契約期間の開始日・終了日を確認した
- 締結前の期間へ適用する必要があるか確認した
- 実際に署名していない日を署名日として記載していない
- 契約書の日付と実際の手続きに矛盾がない
- 双方が同じ最終版を確認している
よくある質問
契約締結日は署名した日でなければなりませんか?
必ずしも契約書へ署名した日と一致するとは限りません。
契約は原則として申込みと承諾によって成立するため、署名日だけで法律上の契約成立時点が決まるわけではありません。
一方、契約書への双方の署名完了をもって締結する運用であれば、最後の署名が完了した日を契約締結日として整理する方法があります。
契約書の日付と署名日が違っていても問題ありませんか?
日付が異なることだけで直ちに問題になるとは限りませんが、それぞれの日付が何を意味するのか分からない状態は避けたほうがよいでしょう。
契約締結日、各当事者の署名日、効力発生日が異なるのであれば、その関係が分かるようにしておくことが大切です。
相手が1週間後に署名した場合、契約日はどちらの日になりますか?
法律上、一律に「先に署名した日」「後に署名した日」のどちらかになると決まっているわけではありません。
双方の署名完了によって締結する契約であれば、後から署名した当事者の手続きが完了した日を締結日として扱う方法があります。契約書や当事者間の取り決めを確認してください。
契約締結日より前を契約開始日にできますか?
当事者間の合意によって、契約上の一定の取扱いを締結前の期間へ適用することを定めるケースはあります。
ただし、すべての契約について自由に遡及できるとは限りません。法令上の効力発生要件、税務・会計、第三者との関係などにも影響する可能性があるため、契約内容に応じた確認が必要です。
契約書に「契約日」だけを書けばよいですか?
契約締結日と契約開始日が同じで、意味について双方の認識が一致していれば、「契約日」だけでも問題が生じない場合があります。
一方、締結日と効力発生日が異なる場合や、複数の当事者が別々の日に署名する場合には、「契約締結日」「効力発生日」「契約期間」などを区別したほうが分かりやすくなります。
契約締結日の考え方をまとめると
契約書の日付を決めるときは、「何日を書けばよいか」だけを考えるのではなく、それぞれの日付が何を示しているのかを整理することが重要です。
- 実際に署名した日は署名日として記録する
- 双方の契約手続きが完了した日を確認する
- 契約締結日を明確にする
- 契約をいつから適用するか決める
- 必要であれば効力発生日・契約開始日を別に定める
特に、双方の署名日が異なる場合や、締結前から業務が始まっている場合は、日付を一つに無理に合わせるのではなく、実際の締結日と契約上適用する日付を分けて考えると整理しやすくなります。
電子契約で署名日時・契約完了日時を確認する
紙の契約書では、双方が別々の日に署名すると、いつ誰が手続きを行ったのかを別途管理する必要があります。
マイサイン(mysign)では、契約手続きについて各署名者の署名日時や契約完了日時を記録し、契約書とあわせて確認できる仕組みになっています。
そのため、複数の当事者が別々のタイミングで署名する場合でも、誰がいつ署名し、契約手続きがいつ完了したのかを確認できます。
ただし、契約書で「9月1日から適用する」など効力発生日を別に設定する場合は、その日付自体を契約内容として明確にしておくことが重要です。電子契約の署名日時と、契約書で定めた効力発生日は分けて管理しましょう。
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