契約書をメールで送る場合は、PDFを添付して送信するだけではなく、送付する契約書が最終版か、宛先に間違いがないか、相手方に何を確認・返信してほしいのかを明確にしておくことが大切です。
特に契約書を何度か修正している場合は、古いPDFを誤って添付したり、相手方が「確認用」と「締結用」を取り違えたりする可能性があります。
このページでは、契約書PDFをメールで送る前の確認から、相手方による内容確認、修正・返信、最終的な契約書の保存までの基本的な流れを順番に解説します。
契約書をメールで送る基本的な流れ
- 送る契約書PDFが最終版か確認する
- 宛先・担当者・添付ファイルを確認する
- メールの目的と相手にしてほしい対応を書く
- 契約書PDFを添付して送信する
- 相手方の受領・内容確認を確認する
- 修正があれば新しい最終版を作成する
- 締結済みの契約書・メールを保存する
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契約書PDFをメールで送る前に確認すること
メールを作成する前に、まず送付する契約書そのものを確認します。
メールは送信後に取り消せない場合があるため、「送信ボタンを押す直前の最終確認」を契約手続きの一部として考えるとよいでしょう。
ファイル名だけで判断せず、実際にPDFを開き、相手方と最後に合意・確認した内容になっているかを確認してから送信してください。
1.契約書が最終版か確認する
契約書を何度か修正している場合は、パソコンや共有フォルダに複数のPDFが残っていることがあります。
PDFを開いて確認したい項目
- 契約当事者の会社名・氏名
- 契約金額・報酬
- 支払条件
- 契約開始日・契約期間
- 自動更新条件
- 解約・解除条件
- 最後に合意した修正内容
- ページ数
- 別紙・仕様書
「契約書_最終版.pdf」「契約書_確定版2.pdf」など複数のファイルがある場合は、不要な旧版を締結用フォルダから分けておくと取り違えを防ぎやすくなります。
2.確認用PDFか締結用PDFかを明確にする
契約書をメールで送る目的は、大きく分けると「内容を確認してもらう場合」と「最終的な締結手続きを進める場合」があります。
| 送付目的 | 相手方に依頼すること |
|---|---|
| 契約書案の確認 | 内容を確認し、修正希望や問題点を返信してもらう |
| 最終版の確認 | 最終条件に問題がないか確認してもらう |
| 合意確認 | 契約条件への同意について返信してもらう |
| 電子契約 | 電子契約サービス上で署名・同意等を行ってもらう |
| 紙契約の参考送付 | PDFで事前確認してもらい、紙の原本は別途郵送する |
まだ契約条件を協議している段階であれば、「確認用」「ドラフト」など、締結済み契約書ではないことが相手方にも分かるようにします。
3.契約書のファイル名を分かりやすくする
メールへ添付するPDFは、相手方が保存した後にも内容を判断できるファイル名にしておくと管理しやすくなります。
例えば、次のような情報を組み合わせる方法があります。
- 契約書名
- 契約相手名
- 作成日・確認日
- 必要に応じて版番号
「document.pdf」「契約書2.pdf」といった名前だけでは、後からどの契約書か判断しにくくなります。
一方で、ファイル名へ不要な個人情報や機密情報を入れすぎないことにも注意してください。
4.メールの宛先を確認する
契約書には取引条件や金額など重要な情報が含まれることがあります。
そのため、契約書PDFを添付するときは通常の業務メール以上に宛先を慎重に確認します。
送信前の確認項目
- 相手方のメールアドレスが正しい
- 契約担当者本人のアドレスか
- 担当者変更がないか
- CCに不要な相手を入れていないか
- 別会社・似た名前の担当者を選択していないか
- 過去メールへの返信で古い宛先が残っていないか
メールソフトの宛先自動補完によって、似た氏名の別の相手を選んでしまわないよう注意しましょう。
5.メール本文には何を書く?
メール本文では、契約書を添付したことだけではなく、相手方に次に何をしてほしいのかを明確にします。
記載しておきたい内容
- 対象となる契約書の名称
- PDFを添付していること
- 確認用・最終版など現在の段階
- 相手方に確認してほしい内容
- 問題がある場合の返信方法
- 問題がない場合に必要な返信・手続き
- 回答してほしい期限
- 問い合わせ先
例えば、相手方に最終確認を依頼するのであれば、「添付の契約書をご確認いただき、内容に問題がない場合はその旨をご返信ください」といった形で、次の対応が分かるようにします。
本記事は契約手続きの進め方を説明するページのため、メール文面そのものよりも、契約書の状態と相手方へ依頼する手続きを明確にすることが重要です。
6.添付ファイルを送信直前にもう一度開く
契約書を添付したら、送信する前に添付ファイルを実際に開いて確認します。
- 目的の契約書が添付されている
- 古い契約書ではない
- PDFが正常に開く
- ページが欠けていない
- 別紙が必要な場合は添付されている
- 関係のないファイルが添付されていない
契約書本文を確認した後にファイルを添付するのではなく、メールへ添付された状態のファイルをもう一度開くことで、添付間違いを確認しやすくなります。
7.必要に応じてファイル共有方法も検討する
契約書の内容や自社の情報管理ルールによっては、通常のメール添付ではなく、アクセス制限を設定できるファイル共有サービスなどを利用する方法もあります。
どの方法を利用する場合でも、相手方が正しくファイルを受け取れることと、不要な第三者へ公開されないことを確認します。
パスワード設定やファイル共有方法について社内ルールがある場合は、そのルールに従ってください。
8.契約書PDFをメールで送信する
契約書、宛先、メール本文、添付ファイルの確認が終わったら送信します。
送信後は、送信済みメールを削除せず、契約書に関する記録として確認できるようにしておきます。
保存しておきたい情報
- 送信日時
- 送信先
- メール本文
- 送信した契約書PDF
- 添付した別紙
- 相手方へ依頼した回答期限
9.相手方へ受領確認を依頼する
重要な契約書をメールで送った場合は、必要に応じて相手方へ受領確認を依頼します。
「受領しました」と返信してもらえば、相手方側でもメールを確認したことを管理しやすくなります。
ただし、契約書を受領したという返信と、契約内容への同意は同じ意味ではありません。
PDFの受領確認だけでは、必ずしも契約条件への承諾を意味しません。契約への合意を確認する必要がある場合は、その意思が分かる形で返信・締結手続きを行ってもらいます。
10.メールの返信で契約は成立する?
一般的な契約は、法令に特別の定めがある場合を除き、契約書への署名・押印だけが成立方法となるわけではありません。
民法第522条では、契約は契約内容を示した申込みに対して相手方が承諾したときに成立することを基本としています。
そのため、契約条件が明確になっており、メールの返信によって相手方がその内容を承諾したと判断できる場合には、メールによるやり取りが契約成立に関係することがあります。
一方、「確認しました」「受け取りました」といった返信だけから、すべての場合に契約への承諾があったと判断できるわけではありません。
契約書への署名や電子契約による手続きを契約締結の条件とするのであれば、その手続きが必要であることを当事者間で明確にしておきましょう。
11.修正依頼が届いた場合
相手方から契約内容について修正希望が届いた場合は、送付済みPDFへ一方的に書き加えるのではなく、修正内容について双方で協議します。
修正する場合の流れ
- 相手方からの修正希望を確認する
- 自社で修正の可否を検討する
- 双方で修正内容を合意する
- 契約書の元データを修正する
- 新しいPDFを作成する
- 修正版を双方で確認する
- 新しい最終版として管理する
修正版を送る場合は、以前に送ったPDFを使用しないことも相手方へ分かるように伝えておくと、旧版の誤使用を防ぎやすくなります。
12.相手方から修正版が返ってきた場合
相手方がPDFやWordファイルを修正して返してきた場合は、変更された箇所を確認します。
自社が認識していない修正が入っていないか、変更履歴だけでなく契約書全体を確認してください。
確認したい項目
- 相手方が変更した条項
- 契約金額
- 契約期間
- 支払条件
- 解除・解約条件
- 別紙・仕様書
- 変更していないはずの箇所
双方が修正内容へ合意した後に、改めて締結用の最終版を確定します。
13.署名済みPDFをメールで返してもらう場合
紙へ署名した契約書をスキャンしてPDF化し、メールで送る方法が利用されることもあります。
ただし、紙の原本を双方で保管する契約として進めている場合は、署名済みPDFをメールでもらったことと、紙の原本の返送は分けて管理してください。
PDFは先に締結状況を確認するために利用し、原本は別途郵送してもらうという進め方も考えられます。
14.電子契約とPDFのメール送付は同じではない
単に契約書PDFをメールへ添付して送ることと、電子契約サービスを利用して電子的な署名・同意を行うことは同じではありません。
電子署名では、契約書などの電子文書について作成者や改ざんの有無を確認するための仕組みが利用されます。
メール添付だけで契約を進める場合は、誰から誰へ契約書を送り、どのような返信・合意が行われたのかを記録として残すことが重要です。
15.締結が完了したら最終版を確定する
契約締結が完了したら、「どのPDFが正式な締結済み契約書なのか」を明確にします。
契約書案、修正版、最終確認版、締結済み契約書が同じフォルダへ混在すると、後から誤った契約書を確認する可能性があります。
整理方法の例
- ドラフト
- 修正中
- 最終確認版
- 締結済み
締結済みのPDFは、後から不用意に上書きしないように管理してください。
16.メールと締結済み契約書を保管する
契約締結後は、契約書PDFだけではなく、必要に応じて契約締結までの重要なメールも保存しておきます。
残しておきたい記録
- 締結済みの契約書
- 別紙・仕様書
- 最終条件を確認したメール
- 相手方の合意を確認できる返信
- 契約書を送信した記録
- 修正内容を合意した記録
誰がどの契約書へ合意したのかを後から確認できるよう、契約書と重要なやり取りを関連付けて管理すると分かりやすくなります。
メールで受け取った契約書は電子データの保存にも注意する
所得税・法人税に関する保存義務者が、取引情報を電子メールなどの電子的方法で授受した場合は、電子帳簿保存法上の電子取引に該当することがあります。
国税庁では、電子取引の取引情報に契約書などに通常記載される事項が含まれ、電子メールの添付ファイルによる授受も電子取引に含まれると案内しています。
対象となる事業者は、受け取った契約書PDF等について電子取引データの保存要件を確認してください。
電子帳簿保存法上の保存義務者に該当する場合は、電子取引として受け取った元の電子データを適切に保存する必要があります。
契約書PDFをメールで送る前のチェックリスト
- 契約書が正しい最終版になっている
- 契約当事者・契約条件を確認した
- 別紙・仕様書が揃っている
- PDFを実際に開いて確認した
- ファイル名を確認した
- 送付目的が確認用・締結用のどちらか明確になっている
- 宛先メールアドレスを確認した
- 不要なCCが入っていない
- メール本文に相手方へ依頼する対応を記載した
- 回答期限を必要に応じて記載した
- 添付ファイルを送信直前に再確認した
- 送信済みメールを保存する
- 必要に応じて受領確認を依頼する
- 受領確認と契約への同意を区別した
- 締結後の契約書・メールの保存方法を決めた
よくある質問
契約書をPDFでメール送付してもよいですか?
契約書案の確認や最終版の共有などに、PDFをメールで送る方法があります。
ただし、対象となる契約について書面の作成・交付など特別な方式が必要でないか、また双方がどの方法で正式に締結することとしているかを確認してください。
契約書はWordとPDFのどちらで送るべきですか?
締結前の修正協議ではWord等の編集可能な形式を利用する場合がありますが、最終確認用・締結用としては内容が意図せず変更されにくいPDFを使用すると管理しやすくなります。
相手方とのやり取り方法や社内ルールに合わせて選択してください。
「受け取りました」と返信が来れば契約成立ですか?
受領したという返信だけで、すべての場合に契約内容への承諾があったとは判断できません。
契約成立を確認する必要がある場合は、相手方が契約条件へ同意したことが分かる返信や、予定している署名・電子契約等の手続きを確認してください。
メールで「問題ありません」と返信が来たら契約成立ですか?
具体的なメールの内容、提示した契約条件、双方がどの時点で契約を成立させる予定だったかなどによって判断が異なります。
一般的な契約は申込みと承諾によって成立するため、メールによる明確な承諾が契約成立に関係する場合があります。一方、別途署名等を締結条件としている場合などは、その手続きも確認してください。
PDFへ印鑑画像を貼れば電子契約になりますか?
印影画像をPDFへ貼り付けただけで、すべて電子署名法上の電子署名になるわけではありません。
電子署名を利用する場合は、誰が署名したのかや文書が改変されていないことを確認する仕組みなど、利用するサービスの方法を確認してください。
署名済みPDFをメールでもらえば紙の原本は不要ですか?
紙の原本を双方で取り交わす契約として進めている場合は、PDFを先に受け取ったからといって紙の返送が当然に不要になるとは限りません。
PDFのみで手続きを完了するのか、紙の原本を別途取り交わすのかを双方で確認してください。
メールで届いた契約書PDFは印刷して保存すればよいですか?
税法上の保存義務者が電子取引として契約書等の取引情報を受け取った場合は、電子帳簿保存法に基づく電子データの保存について確認する必要があります。
対象となる場合は、紙へ印刷するだけではなく元の電子データを保存してください。
契約書をメールで送る流れをまとめると
契約書をメールで送るときは、PDFを添付することだけではなく、最終版の確認、送付目的、相手方に求める返信、受領・合意の確認、締結後の保存までを一つの手続きとして管理することが重要です。
- 契約書PDFを最終版に確定する
- 宛先・添付ファイルを確認する
- 確認用・締結用など送付目的を明確にする
- 相手方に求める対応をメール本文へ記載する
- 契約書を送信して受領状況を確認する
- 必要な修正・合意・締結手続きを進める
- 締結済み契約書と重要なメールを保存する
契約書を何度もメールでやり取りする場合は、どのPDFが正式な最終版なのか分かるように管理し、古い契約書を誤って締結・保管しないようにしましょう。
PDFをメール添付せずオンラインで署名を依頼する方法
メールで契約書PDFをやり取りする場合は、送付、受領確認、修正、再送、署名済みファイルの返信など、複数回のメールが発生することがあります。
マイサイン(mysign)では、PDFの契約書をアップロードし、契約相手へオンラインで署名を依頼できます。契約相手はマイサインへの会員登録やログインをする必要がなく、受け取った案内からスマートフォンやパソコンで契約内容を確認し、署名・同意できます。
メールでPDFを送る方法と電子契約は、それぞれ手続きや記録方法が異なります。契約内容や自社・相手方の運用に合わせて適した方法を選びましょう。
法的に安心・送信コスト0円・契約相手はログイン不要
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参考・確認した公的情報