月額顧問料に関する合意書(FP)とは?
月額顧問料に関する合意書(FP)とは、ファイナンシャルプランナー(FP)が顧客に対して継続的な相談・顧問サービスを提供する際に、月額顧問料や支払方法、サービスに含まれる業務、追加料金などの条件を明確にするための文書です。FPの顧問サービスでは、単発の相談とは異なり、家計や資産形成、住宅資金、教育資金、老後資金などについて一定期間にわたり継続的なサポートを行うことがあります。その場合、毎月一定額の顧問料を設定する料金体系が採用されることがあります。
しかし、単に月額○円と決めるだけでは、
- 月額顧問料に何回までの相談が含まれるのか
- 1回当たりの相談時間は何分なのか
- メールやチャットによる相談も料金に含まれるのか
- ライフプラン表などの資料作成は料金に含まれるのか
- 通常の相談範囲を超えた場合に追加料金が発生するのか
- 月の途中から契約した場合の料金をどうするのか
- 顧問サービスを利用しなかった月も料金が発生するのか
といった点について、FPと相談者との認識に違いが生じる可能性があります。そこで、顧問契約書や継続相談契約書とは別に月額顧問料に関する合意書を作成し、料金に関する条件を具体的に整理しておくことが重要です。本合意書は、FPとの顧問契約等における報酬条件を補充する位置付けで利用することを想定しています。プロジェクトの方針に従い、一般的なひな形として利用できる構成としています。
月額顧問料に関する合意書が必要となるケース
月額顧問料に関する合意書は、特にFPが継続型のサービスを提供する場合に活用できます。
- FPが個人顧客と月額制の顧問契約を締結する場合
- 家計や資産形成について毎月継続的な相談を受ける場合
- 定期的にライフプランを確認・更新するサービスを提供する場合
- 法人がFPと顧問契約を締結し、継続的な相談を依頼する場合
- オンラインFP相談を月額制で提供する場合
- 基本料金とは別に追加相談や資料作成料金を設定する場合
例えば、月額11,000円で月1回60分のオンライン相談と一定範囲のメール相談を提供するとします。この場合、相談者から月2回目の面談を希望されたとき、それが月額料金に含まれるのか、別料金となるのかが問題になります。契約時に月額料金だけを伝えていると、FP側は追加料金が必要だと考えていても、相談者側は月額料金ですべて対応してもらえると考えている可能性があります。こうした認識の相違を防ぐためには、月額顧問料だけでなく、料金に含まれるサービスの範囲まで明文化することがポイントです。
月額顧問料に関する合意書に盛り込むべき主な条項
FP向けの月額顧問料に関する合意書では、主に次の事項を定めます。
- 合意書の目的
- 顧問業務の内容
- 月額顧問料
- 顧問料に含まれる相談回数・時間等
- 顧問料の支払方法
- 契約開始月・終了月の料金
- 追加業務及び追加料金
- 交通費などの実費
- 顧問料の変更
- 支払遅延への対応
- 相談者による情報提供
- 専門業務の取扱い
- 第三者の商品・サービスの取扱い
- 将来予測等に関する非保証
- 秘密保持及び個人情報の取扱い
- サービス休止時の料金
- 返金条件
- 原契約との関係
- 有効期間
- 準拠法及び合意管轄
特に重要なのは、月額料金、サービス範囲、追加料金、返金の4点です。金額だけではなく、その金額によって何を提供するのかまでセットで定めることで、実際のサービス運営にも使いやすい合意書になります。
条項ごとの解説と実務ポイント
1. 月額顧問料に関する条項
月額顧問料に関する条項は、本合意書の中心となる部分です。
例えば、
月額金____円(消費税込み・消費税別)
というように、具体的な金額を記載できるようにします。ここで注意したいのが、税込・税別の表示です。顧問料の金額だけを記載すると、消費税を含む金額なのか別途加算するのかについて認識の違いが生じる可能性があります。そのため、実際に使用する際には料金表示を明確にしておくことが重要です。また、顧問料だけではなく、その料金に含まれるサービス内容も定めます。
例えば、
- 月1回までの面談
- 1回60分までのオンライン相談
- メール・チャット相談
- 定期的なライフプランの見直し
などです。料金とサービス内容を対応させることで、顧問契約の範囲が分かりやすくなります。
2. 利用しなかった月の料金に関する条項
月額制サービスでは、相談者がその月にサービスを利用しなかった場合の料金をどうするのかも重要です。例えば、月1回の相談が含まれているにもかかわらず、相談者の都合でその月に一度も相談しなかったケースです。この場合について何も定めていないと、相談していないので料金を返してほしいという問題が生じる可能性があります。そのため、月額顧問料に含まれる業務を利用しなかった場合でも、原則として月額顧問料を減額・返還しないなど、サービスの仕組みに合わせたルールを定めておくことが考えられます。ただし、実際の返金条件については契約形態やサービス内容、適用される法令等を踏まえて設定する必要があります。
3. 支払方法に関する条項
月額顧問料については、支払期限と支払方法も明確にします。
代表的な支払方法には、
- 銀行振込
- クレジットカード決済
- 口座振替
- その他当事者間で合意した決済方法
があります。また、銀行振込を利用する場合には、振込手数料をどちらが負担するのかも決めておくとよいでしょう。継続契約では毎月支払いが発生するため、単発相談以上に決済条件を明確にしておく必要があります。
4. 初月・終了月の顧問料に関する条項
月額制では、月の途中から契約が始まるケースがあります。例えば、8月20日から顧問サービスを開始した場合に、8月分として1か月分の料金を請求するのか、日割り計算するのかを決めなければなりません。
主な方法としては、
- 開始月も月額料金を全額請求する
- 日割り計算する
- 初月のみ別途定めた料金とする
などがあります。契約終了月についても同様です。特に日割り計算を採用する場合には、計算方法や端数処理についても決めておくと、請求時のトラブルを防ぎやすくなります。
5. 追加料金に関する条項
月額顧問料に関する合意書では、追加料金について明確にすることも重要です。例えば、通常プランが月1回60分までの相談であるにもかかわらず、相談者から追加の面談を依頼された場合です。
追加料金の対象としては、
- 所定回数を超える相談
- 所定時間を超える相談
- 特別な資料の作成
- 詳細な調査や個別試算
- 訪問・出張対応
- 通常の顧問範囲を超える業務
などが考えられます。重要なのは、追加料金が発生する業務を勝手に進めないことです。原則として業務開始前に追加料金の内容を提示し、相談者の承諾を得る仕組みにしておけば、後から想定外の料金を請求されたというトラブルを防ぎやすくなります。
6. 実費に関する条項
顧問料とは別に、業務遂行のための実費が発生する場合があります。
例えば、
- 交通費
- 宿泊費
- 郵送費
- 資料取得費
などです。特に訪問相談を提供するFPの場合には、交通費が月額料金に含まれるのか、別途請求するのかを明確にしておくことが重要です。高額な実費が発生する可能性がある場合には、事前承認の仕組みを設けることも考えられます。
7. 顧問料変更に関する条項
長期間の顧問契約では、サービス内容や業務量の変化により料金を見直す必要が生じる場合があります。そのため、顧問料を変更できる条件や手続について定めておくことが考えられます。ただし、FP側が一方的に料金を変更できる仕組みとするのではなく、変更後の金額や適用開始時期について当事者間で合意する形にすることで、契約条件を明確にできます。既に発生した料金について、後から遡って増額しないことも重要なポイントです。
8. 支払遅延に関する条項
月額制では、顧問料の未払いが継続する可能性も想定しておく必要があります。
例えば、一定期間支払いが確認できない場合には、
- 支払いを催告する
- 顧問サービスを一時停止する
- 重大又は継続的な未払いの場合には契約解除を検討する
といった対応を定めることが考えられます。サービス停止や契約解除については、顧問契約書本体の解除条項とも整合させておくことが重要です。
9. 相談者による情報提供に関する条項
FPが適切な相談サービスを提供するためには、相談者から正確な情報を提供してもらう必要があります。
例えば、
- 収入
- 支出
- 預貯金・有価証券等の資産
- 住宅ローン等の負債
- 加入している保険
- 家族構成
などです。FPによる試算や提案は、相談者から提供された情報を前提として行われます。そのため、情報が不正確であった場合や、収入・家族構成などに重要な変更があったにもかかわらずFPへ伝えられていなかった場合には、試算結果等に差異が生じる可能性があります。情報提供に関するルールを契約上明確にしておくことは、相談者側にとってもFP側にとっても重要です。
10. FPの業務範囲と専門業務に関する条項
FPサービスでは、税金、相続、金融商品、保険、不動産など幅広いテーマを取り扱う可能性があります。一方で、それぞれの分野には、法律上一定の資格や登録等が必要となる業務があります。そのため、FPが必要な資格や登録を有していない場合には、弁護士、税理士その他の専門資格者等に限定される業務を顧問サービスの対象外として整理しておくことが重要です。例えば、一般的な制度の説明と、個別具体的な専門業務は区別して考える必要があります。必要に応じて適切な専門家への相談を案内できるようにしておくと、FPの業務範囲も明確になります。
11. 第三者の商品・サービスに関する条項
FP相談では、保険、金融商品、不動産、専門家サービスなどの情報が話題になることがあります。この場合、FPが第三者の商品・サービスについて情報を提供したからといって、その商品等について無条件に成果や適合性を保証するものではありません。また、相談者が第三者と直接契約する場合には、契約条件、費用、リスク等を確認した上で判断することが重要です。FP自身が商品販売や媒介等を行う場合には、FPとしての相談契約だけでなく、当該業務に適用される法令や契約関係についても別途確認する必要があります。
12. 将来予測等の非保証に関する条項
ファイナンシャルプランニングでは、将来の収支や資産残高などをシミュレーションすることがあります。
しかし、将来の状況は、
- 収入
- 支出
- 物価
- 金利
- 金融市場
- 税制
- 社会保障制度
などの変化によって大きく左右されます。したがって、FPが作成する試算やシミュレーションは、一定の前提条件に基づく参考情報として位置付け、特定の将来結果を保証するものではないことを明確にしておくことが重要です。
13. 休止・返金に関する条項
継続的なFPサービスでは、相談者が一時的にサービスを休止したいと申し出る場合があります。このとき、休止中は料金が発生しないのかという点を明確にしておく必要があります。単に休止を申し出ただけで自動的に月額料金が停止するのか、FPとの合意が必要なのかを決めておきます。また、既に支払われた顧問料の返金条件についても定めておくことで、解約時などのトラブル防止につながります。
14. 原契約との関係に関する条項
月額顧問料に関する合意書は、それ単体ですべてのFP顧問サービスの条件を定めるのではなく、顧問契約書や継続相談契約書などと組み合わせて利用することが考えられます。
その場合には、
- 顧問契約書
- 月額顧問料に関する合意書
の内容が矛盾しないようにする必要があります。特に、月額顧問料、支払方法、追加料金などの報酬事項について、どちらの文書を優先するのかを定めておくと、契約関係が分かりやすくなります。
月額顧問料に関する合意書を作成する際の注意点
顧問料だけを記載しない
最も重要なのは、金額だけで終わらせないことです。月額料金に何が含まれているのかを具体的に記載することで、サービス内容をめぐる認識の違いを防ぎやすくなります。
追加料金の発生条件を明確にする
相談時間の延長や追加面談、個別資料の作成など、通常の顧問サービスを超える業務について追加料金を設定する場合には、その条件を明確にしておきましょう。追加料金について事前に説明・合意する仕組みも重要です。
顧問契約書と内容を統一する
顧問契約書では月額10,000円、別紙の料金合意書では月額15,000円となっているような状態は避けなければなりません。複数の契約書類を利用する場合には、報酬、契約期間、解約、返金などの内容が整合しているか確認しましょう。
FPの資格・登録状況に応じて業務範囲を調整する
FPという名称のもとで行える業務と、他の法令により資格・登録等が必要となる業務は同一ではありません。実際の合意書では、提供するサービスの内容とFP本人又は事業者が保有する資格・登録等を確認し、業務範囲を適切に設定する必要があります。
料金変更の方法をあらかじめ決めておく
長期契約では料金改定が必要になることがあります。料金を変更する場合の通知・合意方法や適用時期をあらかじめ整理しておけば、後から料金変更をめぐってトラブルになる可能性を抑えられます。
電子契約を利用する場合も契約内容を確認する
月額顧問料に関する合意書は、紙だけでなく電子契約によって締結することも考えられます。電子契約を利用する場合にも、月額料金、支払方法、サービス範囲、追加料金、契約期間などの重要事項を契約締結前に当事者双方が確認できる状態にしておくことが大切です。
月額顧問料に関する合意書とFP顧問契約書の違い
FP顧問契約書は、FPと相談者との継続的な契約関係全体について定める文書です。これに対して、月額顧問料に関する合意書は、主として報酬や支払条件を具体化するための文書として利用できます。
例えば、顧問契約書で、
顧問料その他の報酬条件については別途合意する
と定めた上で、月額顧問料に関する合意書に、
- 月額料金
- 相談回数
- 相談時間
- 追加料金
- 実費
- 支払日
- 支払方法
などを記載する方法があります。このように契約書本体と料金合意書を分けておけば、サービス内容や料金プランを変更するときに、報酬条件を整理しやすくなる場合があります。
月額顧問料に関する合意書を利用するメリット
月額顧問料に関する合意書を作成する最大のメリットは、FPと相談者との間で料金とサービス内容を可視化できることです。
特に継続サービスでは、契約期間が長くなるほど、
- どこまで月額料金に含まれていたか
- 追加料金はいくらだったか
- 未利用月にも料金が発生するか
- 解約月の料金をどうするか
といった契約開始時の認識が曖昧になる可能性があります。これらを合意書として残しておけば、後から契約条件を確認しやすくなります。FP側にとっては料金体系を明確にしてサービスを運営しやすくなり、相談者側にとっては、自分が支払う料金と受けられるサービスの関係を確認しやすくなる点がメリットです。
まとめ
月額顧問料に関する合意書(FP)は、ファイナンシャルプランナーと相談者が継続的な顧問サービスを利用する際に、月額料金やサービス内容、支払条件などを明確にするための文書です。特に月額制のFPサービスでは、単に月額料金を決めるだけではなく、相談回数、相談時間、メール・チャット対応、資料作成、追加料金、実費、休止、返金などについて具体的に定めることが重要です。また、FP業務では家計、資産形成、保険、税制、不動産、相続など幅広いテーマを扱う可能性があるため、FPが提供する相談業務と、資格や登録等が必要となる専門業務との範囲を整理しておく必要があります。顧問契約書や継続相談契約書と併用する場合には、それぞれの文書の内容を整合させ、月額顧問料に関する合意書がどの事項を補充するのかを明確にしておきましょう。