コンプライアンス遵守確認書とは?
コンプライアンス遵守確認書とは、従業員、役員、契約社員、アルバイト、派遣社員、業務委託先などが、法令や社内規程、企業倫理を遵守することを確認・誓約するための文書です。近年は企業に対するコンプライアンス意識が高まり、不正会計、情報漏えい、ハラスメント、贈収賄、個人情報の不適切な取扱いなどが社会問題となっています。そのため、多くの企業では就業規則やコンプライアンス規程を整備するだけではなく、それらを理解し遵守する意思を本人から確認するためにコンプライアンス遵守確認書を取得しています。コンプライアンス遵守確認書を取得する目的は、単なる形式的な書類作成ではありません。
- 法令遵守の意識を従業員へ浸透させること
- 社内規程や行動規範を理解したことを確認すること
- 情報漏えいや不正行為を未然に防止すること
- 企業の社会的信用を維持すること
- 内部統制やガバナンスを強化すること
特に上場企業だけでなく、中小企業でもコンプライアンス体制の整備は重要視されており、採用時や昇格時、業務委託契約締結時などに提出を求めるケースが増えています。
コンプライアンス遵守確認書が必要となるケース
コンプライアンス遵守確認書は、企業活動のさまざまな場面で活用されています。
入社時に提出してもらう場合
最も一般的なのが、新入社員や中途採用者の入社時です。会社のルールや法令を理解したうえで勤務を開始してもらうため、就業規則や秘密保持誓約書とあわせて提出を求めることが一般的です。
業務委託先やフリーランスとの契約時
社外の人材であっても、会社の情報や顧客情報を取り扱う場合があります。そのため、業務委託契約書や秘密保持契約書(NDA)に加えて、コンプライアンス遵守確認書を取得することで、法令遵守や情報管理への意識を共有できます。
管理職への昇格時
管理職は部下の指導や組織運営を担います。ハラスメント防止や適切な労務管理、公正な意思決定など、一般社員より高いコンプライアンス意識が求められるため、昇格時に再確認する企業も少なくありません。
定期的なコンプライアンス教育後
コンプライアンス研修や情報セキュリティ研修の受講後に、内容を理解し遵守する旨の確認書を提出してもらうことで、教育効果を高めることができます。
コンプライアンス遵守確認書に盛り込むべき主な項目
一般的なコンプライアンス遵守確認書には、次のような項目を盛り込みます。
- 目的
- 法令遵守
- 社内規程の遵守
- 秘密情報の管理
- 個人情報保護
- 情報セキュリティ
- ハラスメント防止
- 利益相反の防止
- 反社会的勢力との関係遮断
- 内部通報制度
- 違反時の措置
- 署名・日付
これらを体系的に記載することで、企業が求めるコンプライアンス基準を明確に示すことができます。
条項ごとの解説と実務ポイント
1. 目的条項
目的条項では、なぜ確認書を取得するのかを明確にします。法令遵守だけでなく、企業倫理の実践や社会的信用の維持、不正行為の防止などを記載しておくことで、確認書全体の位置付けが明確になります。
2. 法令遵守条項
コンプライアンスの基本となる条項です。労働関係法令、個人情報保護法、不正競争防止法、独占禁止法、下請法など、自社の事業に関連する法令を遵守することを明記します。業界特有の法令がある場合には、それらも追記すると実務に適した内容になります。
3. 社内規程遵守条項
法令だけではなく、会社独自のルールも遵守することを確認します。対象となる規程には次のようなものがあります。
- 就業規則
- 情報セキュリティ規程
- 個人情報保護規程
- 経費精算規程
- 内部通報規程
- ハラスメント防止規程
規程が改定された場合にも従う旨を記載しておくと、改めて確認書を取り直す負担を軽減できます。
4. 秘密情報・個人情報管理条項
営業秘密や顧客情報の漏えいは企業に重大な損害を与えます。秘密保持契約書とは別に、コンプライアンスの観点からも情報管理義務を確認しておくことで、情報セキュリティ意識を高めることができます。
5. ハラスメント防止条項
職場環境を維持するために重要な条項です。パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントなどを禁止するとともに、相談窓口の利用を促す内容を盛り込む企業も増えています。
6. 贈収賄・利益相反防止条項
営業担当者や管理職では特に重要な項目です。過度な接待や金品の授受、競合企業との不適切な関係、自社利益を損なう取引などを防止する内容を記載します。海外企業との取引がある場合は、海外腐敗行為防止法などへの対応も検討するとよいでしょう。
7. 情報セキュリティ条項
テレワークの普及により重要性が高まっています。
- パスワード管理
- 私物端末の利用
- クラウドサービスの利用
- USBメモリ等の管理
- 不正アクセス防止
などについて会社のルールに従うことを明記します。
8. 内部通報条項
コンプライアンス違反を発見した際に、速やかに会社へ報告する義務や相談窓口を定めます。また、公益通報者保護法を踏まえ、正当な通報を理由として不利益な取扱いを行わないことを記載すると、安心して利用できる制度になります。
9. 違反時の措置条項
違反があった場合の対応を明確にします。就業規則に基づく懲戒処分、契約解除、損害賠償請求など、会社が取り得る措置を記載することで抑止効果が期待できます。
コンプライアンス遵守確認書を作成する際の注意点
- 会社の就業規則やコンプライアンス規程と内容を一致させる。
- 業種に応じた法令やガイドラインを反映する。
- 秘密保持契約書や情報セキュリティ誓約書との役割を整理する。
- 定期的に法改正や社内規程の変更に合わせて見直す。
- 電子署名や電子契約サービスを活用して適切に保管する。
コンプライアンス遵守確認書と秘密保持契約書(NDA)の違い
混同されやすい書類ですが、それぞれ目的が異なります。
| 書類名 | 主な目的 | 違い |
|---|---|---|
| コンプライアンス遵守確認書 | 法令・社内規程・企業倫理の遵守を確認する | コンプライアンス全般を対象とする |
| 秘密保持契約書(NDA) | 秘密情報の保護 | 情報漏えい防止に特化している |
| 情報セキュリティ誓約書 | 情報資産の適切な管理 | IT・情報管理に重点を置く |
| 就業規則確認書 | 就業規則を理解したことを確認する | 就業ルールの理解確認が中心 |
| ハラスメント防止誓約書 | ハラスメント防止 | ハラスメント対策に限定される |
電子契約でコンプライアンス遵守確認書を運用するメリット
コンプライアンス遵守確認書は、紙だけでなく電子契約サービスを利用して締結・保管する企業も増えています。電子化することで、次のようなメリットがあります。
- 入社時や契約締結時にオンラインで確認・署名できる。
- 署名日時を正確に記録できる。
- 書類の紛失や改ざんリスクを低減できる。
- 保管・検索・更新が容易になる。
- 全国の拠点やリモートワーカーにも迅速に対応できる。
特に従業員数の多い企業では、コンプライアンス関連書類を電子化することで、管理負担を大幅に軽減できます。
まとめ
コンプライアンス遵守確認書は、企業が法令遵守や企業倫理を組織全体へ浸透させるための重要な文書です。単に署名を取得するだけではなく、法令遵守、情報管理、ハラスメント防止、利益相反防止、情報セキュリティなど、自社に必要な内容を盛り込み、実際の業務に即した運用を行うことが重要です。また、就業規則や秘密保持契約書、情報セキュリティ誓約書など関連文書との整合性を保ちながら定期的に見直すことで、企業の内部統制を強化し、不正や法令違反のリスク低減につなげることができます。電子契約サービスを活用すれば、署名・保管・管理も効率化でき、継続的なコンプライアンス体制の構築に役立ちます。