電子契約サービスを乗り換えるときは、旧サービスを解約する前に締結済みの契約書と関連記録を取り出し、新しい保存先で問題なく確認できることを確かめるのが基本です。料金や操作画面だけを比較して変更すると、過去の契約書が見つからない、誰がいつ合意したかを確認できない、署名待ちの案件が宙に浮くといった問題が起こりかねません。
必要になるのは、契約書PDFの移し替えだけではありません。完了証明書など取得できる証跡、取引先や契約期間をまとめた管理情報、変更合意書などの関連資料も、移行の対象に含めるか判断する必要があります。ただし、これらをどの形式で出力できるかは利用中のサービスによって異なります。
この記事では、電子契約サービスの乗り換えを考えている担当者に向けて、データの棚卸しから取り出し、照合、保存、未締結案件の整理、旧サービスの解約までを実務順に説明します。架空の移行台帳と解約前チェックも用意したので、自社の作業に合わせて使ってください。
法的に安心・送信コスト0円・契約相手はログイン不要
最短1分で契約スタート
電子契約サービスの乗り換えは解約前の準備で決まる
サービスの切り替えでは、新しいサービスの使い勝手だけでなく、旧サービスにある契約データを今後も使える状態にすることが欠かせません。まず「何を移すか」「どこに保存するか」「いつ切り替えるか」の三つを決めます。
新しい契約と過去の契約を分けて考える
これから締結する契約は、新サービスの送信方法や承認手順を決めれば運用を始められます。一方、旧サービスで締結済みの契約書は、新サービスで新たに署名し直す話とは限りません。
すでに成立した契約のデータを保存用に引き継ぐのか、次回の更新から新サービスで締結するのかを区別します。この二つを同じ「移行」と呼ぶと、担当者同士で作業内容が食い違います。
乗り換えの目的を明確にして作業範囲を絞る
月額料金の見直し、契約書の検索性、送信方法の変更、担当者の共同管理など、切り替えの理由は企業によって異なります。目的が料金であっても、過去データの扱いを省略してよいわけではありません。
新サービスの機能比較そのものは電子契約サービスの選び方に譲り、ここでは既存契約をどう引き継ぐかに絞ります。移行作業の担当者と責任者も最初に決めておきましょう。
旧サービスの利用を止める日を先に固定しない
解約予定日が先に決まっていると、データ取得が終わらないまま期限を迎えることがあります。契約書の件数が多い場合、ダウンロードしたファイルと台帳の照合作業にも日数が必要です。
まず必要なデータを試しに取得し、保存先で確認できるところまで進めます。その結果を踏まえて解約予定日を設定する方が、判断のやり直しを減らせます。
担当者が変わっても追える管理番号を用意する
移行対象の契約には、旧サービスの案件番号と社内の契約管理番号を対応させます。新しい保存先でファイル名が変わっても、どの契約だったかをたどれる状態が理想です。
番号を新しく付ける場合は、元の番号を上書きせず対応表を残してください。後から取引先から問い合わせが来たとき、旧記録と新しい保管場所を照合しやすくなります。
旧サービスから取り出したい契約データは何か

契約書PDFだけを一括保存しても、契約の状況や関連情報をすべて再現できるとは限りません。サービス内で何を管理しているかを一覧にし、取得できるものとできないものを区別します。
締結済みのPDFは元のファイルをそのまま残す
締結済みPDFは、利用中のサービスが提供する方法でダウンロードし、ファイルを編集せずに保全します。文言を変えるためにPDFを再保存したり、画像化して置き換えたりすると、元の電子署名や検証情報を確認しにくくなる場合があります。
見やすいコピーを別途用意することはありますが、取得した原本データとは区別してください。「画面で閲覧できる」と「元データを取り出せる」は同じ意味ではありません。
完了証明書や操作履歴の取得可否を調べる
電子契約サービスによっては、締結日時、署名者、操作履歴などを記載した完了証明書や関連資料を取得できます。どこまで保存され、ダウンロードできるかはサービスごとに違います。
署名済みPDFと対応する証明書を別ファイルで保存する場合は、同じ管理番号で紐付けましょう。出力できない記録があるなら、その種類と代替の確認方法を移行台帳に残します。
管理情報と更新期限をPDFとは別に整理する
契約書のファイルだけでは、契約相手、契約開始日、満了日、自動更新の有無、担当部署などをすぐに一覧表示できないことがあります。これらの項目が必要なら、管理情報の出力方法も確認します。
CSV出力に対応しているサービスもありますが、すべてのサービスに同じ機能があるわけではありません。項目名や日付の形式が変わる場合は、対応表を作り、元データとの違いを記録します。
変更契約と別紙を取り残さない
基本契約書が一つあっても、後から契約期間の変更や単価の見直しを行い、覚書を追加していることがあります。主契約のPDFだけを保存すると、現在どの条件で取引しているのか分からなくなるおそれがあります。
関連する覚書、別紙、添付資料、契約終了時の合意書を確認し、どの契約に付随する資料かを記録します。不要な複製まで増やさず、原本と関連資料の関係を明確にすることが目的です。
取り出し方法と新しい保存先を先に試す
契約書を大量に取り出してから保存先の問題に気づくと、作業をやり直すことになります。最初は少数の案件で、取得から閲覧まで一連の手順を試してください。
個別取得と一括出力の条件を調べる
旧サービスの画面で、契約書PDFを個別にダウンロードするのか、複数件をまとめて取得できるのかを調べます。一括出力ができても件数上限、対象ステータス、出力期限、追加費用などが異なる場合があります。
管理用CSVと署名済みPDFの出力が別操作になっていることもあります。片方だけ取得して作業が終わったと判断しないよう、必要なファイル形式を先に一覧化します。
保存したPDFを開いて内容を照合する
ダウンロードできたファイルでも、意図した契約書と違う場合があります。少なくとも契約名、相手方、契約日、ページ数、署名・検証に関する情報を、確認できる範囲で照合します。
電子署名の検証方法は、PDFの仕様や利用サービスによって異なります。単に画面に署名画像が見えるだけで「すべての証跡を保全できた」と判断せず、必要に応じてサービス提供者や法務担当者へ確認します。
保存先の権限と検索方法を試す
新サービスに保管用PDFを登録できる場合でも、誰が閲覧できるのか、契約日や取引先から探せるのかは実際の画面で試します。単にファイルが置けることと、契約管理が成立することは別です。
取引先の個人情報や機密条件が含まれるため、テスト時に不要な人へ閲覧権限を広げないでください。テスト用の架空書類を使って手順を確かめ、本データの扱いは承認された担当者に限定します。
ファイル名だけに検索を頼らない
「契約書.pdf」のような名前が複数あると、後から探し分けるのが難しくなります。管理番号、契約相手を識別できる情報、書類区分など、自社で使える命名規則を整えましょう。
ただし、ファイル名に個人情報や秘密情報を過剰に盛り込む必要はありません。ファイル名と台帳の情報を組み合わせ、誰が見ても同じ契約にたどり着ける方法を優先します。
電子契約サービスの乗り換えを6つの段階で進める

乗り換え作業は、出力・アップロードの作業だけにまとめない方が安全です。データ取得の前後に確認工程を設け、解約を最後の段階に置きます。
第一段階で契約件数と案件の状態を確定する
旧サービスの契約一覧から、締結済み、署名待ち、下書き、保管専用の書類などを区分します。対象契約が何件あるかを記録し、今回の移行範囲に含めないものは理由も残してください。
同じ管理番号で複数の版がある場合は、最終版だけを見るのか、過去の版も必要かを決めます。件数の集計方法を決めておくと、最後の照合で数字が合わない理由を調べやすくなります。
第二段階で少数の案件を試験的に取り出す
署名者が少ない契約、複数人が署名した契約、別紙が付く契約など、性質が異なるものを数件選びます。取り出したPDFと関連記録が問題なく開けるか、管理番号で対応付けられるかを見ます。
ここで手順が固まらなければ、全件処理を始める前に修正できます。古い契約から順に全部取り出すより、例外を含むサンプルで試す方が効率的な場合があります。
第三段階と第四段階で全件を保全し差分を埋める
試験結果をもとに、担当を分けて対象データを取得します。PDF、証明書、管理情報をそれぞれ数え、失敗したファイルや取得できなかった項目を別の一覧へ記載します。
次に、新しい保存先へ登録または社内の所定の保存場所へ保管します。新サービスが旧サービスの署名履歴を自動的に引き継ぐとは限らないので、保存できたファイルと再現できない情報を明確に分けます。
第五段階と第六段階で照合と解約判断を行う
保存した件数が一致しているか、抽出したファイルの内容が正しいか、担当者が検索できるかを点検します。問題が残っている場合は、解約前に旧サービス側で確認できることを洗い出します。
最後に、署名待ち案件、請求契約、利用終了日、アカウントの扱いを確認して解約を判断します。最終判断者と日時を記録しておけば、あとから作業を検証できます。
旧サービスを解約する前に確認すべきこと

電子契約サービスは、料金の停止とデータへのアクセス終了が同じ日に起きるとは限りません。旧サービスの規約や管理画面を基に、利用終了後の扱いを確認することが必要です。
退会後も契約データを開けるとは限らない
サービスによっては、解約後に一定期間データを取り出せる場合もあれば、退会時点で利用できなくなる場合もあります。利用規約や公式ヘルプで、退会と契約プランの停止の違いを確認してください。
特にマイサインの公式FAQでは、アカウント削除によって登録データが削除され、復旧できないと案内されています。マイサインから離れる場合にも、退会前のデータ保全が必要です。
ダウンロード期限と契約書の保存期間を分ける
「サービス内に10年間保存される」と「解約後も10年間ログインして取り出せる」は同じ意味ではありません。サービスが定める保管期間と、ユーザーがデータを取得できる期間を別の項目として確認します。
法令上の保存期間も一律ではありません。契約の種類、業種、税務・会計上の要件を踏まえ、自社で必要な期間にわたってデータへアクセスできる保存先を選びます。
管理者と退職者のアクセス権を確認する
旧サービスの管理者が一人だけの場合、異動や退職によって出力操作ができなくなることがあります。アカウントの管理責任者、書き出しを行う担当者、移行データの受領者を事前に決めます。
本番の契約書を扱うため、共有用の個人アカウントを作ったり、認証情報をメールで回したりする運用は避けてください。必要な権限はサービスが認める管理手順に従って付与します。
請求停止と未締結案件の処理を同じ予定表で管理する
月末の請求停止に合わせて旧環境を閉じる場合、まだ署名待ちの案件がないか確かめます。旧契約の処理が終わらないまま新サービスで同じ契約を再送すると、手続きが二重に進むおそれがあります。
解約期限、最終出力日、証跡の照合日、未締結案件の扱いを一枚の予定表にまとめます。期限に間に合わないときの判断者も決めておくと、担当者が独断で操作しなくて済みます。
移行後も契約書の原本と証跡を区別して管理する
電子契約サービスの乗り換えで、過去の契約をもう一度締結する必要があるとは限りません。一方、保存先を変更しただけで、新サービス側に当時の署名操作や証明書の発行履歴が再現されるわけでもありません。
署名済みPDFを勝手に作り直さない
旧サービスで締結したPDFは、できる限り取得時のファイルをそのまま保管します。文字の追加、ページの結合、別形式への変換などによって、署名や検証に影響が出る場合があるためです。
社内の閲覧用にコピーを作るなら、原本と別名で保存します。何が原本データで、何が参照用の写しなのかを区別しておけば、後から提示するときに迷いにくくなります。
完了証明書と電子署名の検証情報は同じものではない
サービスが発行する完了証明書には、契約の当事者や締結日時などが記録されることがあります。一方、PDFの電子署名や時刻に関する検証情報は、ファイルの形式や署名の仕組みによって確認方法が異なります。
証明書があるからすべての検証が不要、あるいは証明書がないから無効という単純な判断は避けましょう。争いが生じた場合の証拠の位置付けは、契約内容と具体的な事情に応じて判断する必要があります。
保管用の登録と新しい電子契約の締結を混同しない
旧サービスで締結したPDFを新サービスの書類保管機能へ登録しても、その登録操作によって過去の契約が新サービス上で締結されたことにはなりません。契約の締結先と現在の保存先は別々に記録します。
例えば台帳には「締結方法:旧サービスA」「保存先:新サービスBの保管書類」と書けます。この区別があれば、契約が成立した経緯を後から確認するときにも誤解が生じにくくなります。
原本をどこで保全し誰が取り出せるか決める
新サービスの書類管理に登録する場合も、独立した文書管理システムや社内の承認済み保管領域に置く場合もあります。どの方式を採るかは、自社の閲覧権限、検索性、保存期間、バックアップ方針に合わせて選びます。
利用中のサービスと別の場所に複製を置く場合には、更新・削除のルールを決めてください。複数の場所に保存するだけでは、どちらが原本に対応するデータか分からなくなることがあります。
電子帳簿保存法を踏まえた保存先の決め方
電子契約データを移動させるときは、保存先が変わっても必要な電子データを保存できるかを確認します。新しい電子契約サービスに契約書をアップロードできることだけで、すべての保存要件を満たすとは断定できません。
電子で授受した契約情報は電子取引データに該当し得る
国税庁は、電子メールやクラウドなどを通じてやり取りした契約書などの取引情報を、電子取引の対象として説明しています。税務上の保存義務がある事業者は、対象となる電子取引データを所定の要件に従って保存する必要があります。
詳しくは国税庁の電子帳簿保存法一問一答を参照してください。送信したデータも対象になり得るため、受信した契約書だけを移す設計にしないことが大切です。
真実性と可視性を確保する仕組みを確認する
電子取引データの保存では、改ざん防止や検索、表示などについて、法令上の要件と適用される例外を整理する必要があります。旧サービスで実現していた対応を、新しい保存先でも同じ方法で実施できるとは限りません。
保存の要件は国税庁の電子取引に関する保存要件で確認できます。自社の取引形態や事業規模に適用される条件は、必要に応じて税理士などの専門家に相談してください。
紙へ印刷するだけでは保存の代わりにならない場合がある
データの引っ越しが難しいからといって、旧サービスのPDFをすべて印刷して保存すればよいとは限りません。電子取引として扱うべき情報には電子データでの保存が求められる場合があります。
紙で締結した契約のスキャン保存とは制度上の位置付けも違います。紙と電子の運用を併用する場合は、電子契約と紙契約の併用方法もあわせて参照してください。
保存期間は利用サービスの保管年数だけで決めない
電子契約サービスの保管期間と、各種法令に基づいて事業者が書類を保存する期間は区別します。例えば法人税関係の帳簿書類でも、一般的な保存期間と例外的な期間が存在します。
業法上のルールや契約の性質によって扱いが異なる場合もあるため、「すべての電子契約は一律10年」とは書けません。サービスの乗り換えを機に、自社が管理する書類ごとに必要な期間を見直すと安心です。
移行台帳で契約件数と不足資料を照合する

データ取得が終わったかどうかは、フォルダの中身を眺めただけでは分かりません。旧サービスの契約一覧と新しい保管先のデータを、管理番号単位で突き合わせます。
記入済みの架空サンプルで移行の状態を見える化する
以下は移行作業を説明するための架空の記入例です。実在する企業の契約情報や、マイサインの利用実績ではありません。重要なのは「保存した」「未取得」「旧側で対応中」を一つの一覧で区別することです。
| 管理番号 | 旧サービスの状態 | 取得・保管の状況 | 次の対応 |
|---|---|---|---|
| MIG-101 | 締結済み | PDFと証明書を保全済み | 新しい保存先で閲覧と検索を確認 |
| MIG-102 | 締結済み | PDFは保存済み/証明書は未取得 | 旧サービスで証明書の取得方法を確認 |
| MIG-103 | 署名待ち | 移行対象とは別に管理 | 旧サービスでの完了または適切な整理を判断 |
表の管理番号は説明用です。実際の作業では、契約相手や契約日などを必要な範囲で追加し、個人情報や秘密情報を不用意に複製しないでください。
件数の一致とファイル内容の一致を別々に確かめる
旧サービスに締結済みの契約が100件あるとして、新しい保存先にも100ファイルあれば、必ずしも移行成功とはいえません。同じPDFが重複していたり、別紙が欠けていたりする可能性があります。
まず管理番号ごとの件数を照合し、次に契約相手・契約名・締結日・ファイルの版などを点検します。必要に応じてファイルのハッシュ値などを使う方法もありますが、何を同一と判断するかはあらかじめ決めておきます。
取得できないデータには理由を残す
旧サービスの仕様上、署名完了時の細かな画面操作まで出力できない場合も考えられます。そのときは、取れなかった項目と調査先を記録し、想像で「保存済み」にしないことが大切です。
取り出せる証拠の種類については、元サービスの公式ヘルプやサポートに照会します。旧環境を閉じた後では調査が難しくなるため、未取得の理由は解約判断の前に整理してください。
移行後の検索テストは別の担当者にも行ってもらう
作業した担当者は保存場所を覚えていても、数か月後に別の人が契約書を探せるとは限りません。閲覧権限のある別担当者に、管理番号や契約日から数件のデータを探してもらいます。
見つからなかった場合は、検索項目やアクセス権限、ファイル名を改善します。元のPDFがあることだけでなく、必要なときに取り出せるかまで確認して移行作業を終えます。
署名待ちの契約と取引先への案内はどうする?

旧サービスを使って進んでいる契約がある場合、単に送信先を新サービスへ変更するだけでは済みません。契約の状態に応じて、旧サービスで完了させるか、手続きを整理して新たに送信するかを分けます。
署名待ち案件は旧サービスの状況を先に確認する
どの当事者がどこまで手続きを進めているかを確認し、旧依頼が有効なまま残っていないかを調べます。複数人による契約では、一部の人だけが操作を終えている場合もあるため、個別の状態を見ます。
旧側で締結を完了させるか、利用サービスが認める取消操作などで整理するかは、状況と当事者間の合意に応じて判断します。画面から消しただけで成立済みの契約まで消えるわけではありません。
新旧サービスから同じ契約を二重送信しない
旧サービスの署名依頼が残ったまま、新サービスから同じ契約書を送ると、相手がどちらで手続きを進めればよいか迷います。場合によっては両方で操作が進んでしまうおそれがあります。
切替対象の案件では、旧依頼の状態、再送する文書の版、新しい送信方法を一つの管理番号に紐付けます。相手へ案内する前に社内で処理方針を統一してください。
取引先への説明は新しい送信方法を中心にする
取引先に案内する際は、新サービスから届く送信元、手続き画面の違い、操作上の注意点、問い合わせ先などを整理します。既存契約を再締結するように受け取られないよう、今回どの契約が対象なのかも示します。
相手方の情報を登録し直す場合は、契約上の当事者・担当者・送信先を改めて照合します。単に旧サービスのアドレス帳を移すだけでは、退職や異動による変更を見落とす可能性があります。
切替期間の社内担当を明確にする
二つのサービスを並行運用する場合、どの案件をどちらから送るのかを現場で判断できなければなりません。契約書の種類や受付日によって使い分けるなど、分かりやすい基準を設けます。
新サービスへ切り替えた日以降も旧サービスで受け付ける例外がある場合は、その理由と担当を記録します。切替期間を延ばすなら、いつ見直すかもあわせて決めておきましょう。
マイサインへ乗り換える場合に知っておきたいこと
マイサインでは、電子契約の締結に加えて、既にあるPDFや紙契約をスキャンした書類を保管する機能も案内されています。ただし、「保管できること」と「旧サービスの署名記録をそのまま再現できること」は別です。
既存の契約書は保管書類として管理する方法がある
マイサインの書類管理機能では、電子契約以外の既存PDFや紙で締結した書類をアップロードして管理できると案内されています。旧サービスから取得したPDFの保管先を考える際にも、機能と運用条件を確認する価値があります。
ただし、取り込んだ書類は旧サービスで締結した契約書を保管するものであり、マイサイン上で新しく締結した契約と同一の成立記録になるわけではありません。締結元と保存先を区別してください。
契約書の管理情報とPDFの取り出し方を確認する
マイサインの公式機能説明では、書類の検索、PDFの個別ダウンロード、ZIP形式での一括ダウンロード、管理情報のCSV出力が案内されています。PDFのZIP一括ダウンロードは最大50件、管理項目CSVは条件に一致する全件を出力できるとされています。
これはマイサイン内に保管した書類の管理機能に関する説明です。旧サービス側の書き出しが自動化されることや、各社の履歴を完全に移せることを保証するものではありません。実際の画面と利用プランを確認してください。
署名済み契約の保存年数と解約の扱いを混同しない
マイサインの契約データ10年保管では、契約書PDFや立会人記録PDFなどの保管について案内されています。ただし、その案内を他社サービスのデータの保存条件や、退会後のアクセス保証へそのまま読み替えることはできません。
マイサインから他社へ移る場合は、先に挙げた公式FAQの退会時の注意点も参照し、必要なデータを先に確保します。継続利用する場合も、法令上の保存要件は別途確認してください。
旧サービスからの一括移行機能があるとは決めつけない
他社サービスからPDFを取り出せても、新サービスへ一度に取り込める件数や、付けられる管理項目はそれぞれ異なります。マイサインの保管書類アップロード機能を利用する場合も、登録方法と権限、保存できるファイル形式を事前に試すのが確実です。
旧サービスの電子署名や操作ログが自動で引き継がれるといった未確認の機能を前提に移行計画を作らないでください。手作業で紐付けが必要な情報があれば、台帳に残して管理します。
乗り換え前に実行したい最終チェックリスト
準備を終えて解約日を迎えたとき、あとから元データを探し直さなくて済む状態が目標です。次の項目は、旧サービスの終了前に担当者間で読み合わせるための実務チェックです。
締結済み契約の件数と原本を照合したか
旧サービスの一覧に載っている締結済み案件について、対象件数、PDFの取得件数、保存先で確認できた件数を照合します。数値が一致しない場合は、重複・未取得・対象外のどれが原因かを記録します。
別紙や変更合意書を付けた案件は、主契約だけで完了扱いにしないでください。自社で必要な関連資料まで含めて点検します。
証跡と契約管理情報の不足を確認したか
完了証明書、署名に関する記録、契約当事者や更新日などの管理項目について、保存したものと未取得のものを区別します。出力できなかった記録があれば、旧サービスの利用終了前に対応策を決めます。
証跡や管理項目をすべて同じ形式で保存する必要があるとは限りませんが、後から誰がどこで確認できるか分かるようにします。
保存先で閲覧と検索のテストを終えたか
権限を持つ担当者が契約書を探し、PDFを開き、必要な関連資料にたどり着けるかを試します。新しい保存先の設定を済ませただけでは、実務上の移行完了とはいえません。
特に契約更新日が近い案件や、将来紛争が生じた際に参照する可能性のある案件は、管理番号から検索できるかを優先して確かめてください。
未締結と解約の最終責任者を決めたか
署名待ち案件の処理、取引先への連絡、旧サービスの契約終了日を最終確認します。実際に解約を実行する権限者と、完了確認を行う担当者を決めておきましょう。
課題が残っている場合は、どの条件を満たせば終了できるかを具体的に書き出します。「たぶん全部取れた」といった感覚で旧環境を閉じないことが大切です。
電子契約サービスの乗り換えでよくある質問
移行作業で判断が分かれやすい点を、元の契約データと新しい運用に分けて整理します。
-
電子契約サービスを変更したら過去の契約書は無効になりますか?
- サービスを変更したことだけで、既に成立した契約が当然に無効になるわけではありません。ただし、元の契約データや成立の経緯を確認できるように保全しておく必要があります。個別契約の効力は、契約内容と具体的な事情に基づいて判断してください。
-
旧サービスの契約書PDFだけを保存すれば十分ですか?
- 契約書PDFは重要ですが、それだけで十分かは契約と元サービスの仕組みによります。完了証明書、取得可能な操作記録、変更合意書、管理情報なども洗い出し、何を残すか決めてください。
-
旧サービスのPDFを新サービスへ登録すると電子署名も引き継がれますか?
- PDFを保管用に登録することと、新サービスで新たに電子署名を行うことは別です。元ファイルに含まれる署名情報がどう検証できるか、旧サービスの履歴をどこまで取得できるかは、各サービスの仕様を確認してください。
-
サービスを解約した後でも過去の契約書を取り出せますか?
- 解約後の閲覧・ダウンロード可否はサービスごとに異なります。マイサインの公式FAQでは退会時に登録データが削除され復旧できないと案内されています。利用中のサービスの規約を確認し、解約前に必要なデータを取得してください。
-
署名待ちの契約を新サービスから再送してもよいですか?
- 旧サービスでの依頼が残ったまま同じ契約を送ると二重に手続きが進む可能性があります。署名状況を確認し、旧依頼の扱いや契約書の版について責任者が判断してから再送してください。
-
乗り換え後は電子帳簿保存法への対応をやり直す必要がありますか?
- 保存先を変更しても、対象となる電子取引データの保存要件を引き続き満たす必要があります。新しい保存方法で真実性・可視性などの要件をどう確保するか、国税庁の現行資料を基に確認してください。単に新サービスへPDFを置いたというだけで判断することは避けましょう。
まとめ 契約データの保全と照合が終わってから乗り換える
電子契約サービスの乗り換えは、新しい送信画面を使い始めた時点では完了しません。締結済みPDF、取得可能な証跡、契約管理情報を整理し、保存先で閲覧・検索できる状態にすることが重要です。
まずは旧サービスの契約一覧を取り出し、締結済み・署名待ち・関連資料に分けた棚卸し表を作ってみてください。数件で出力と保存の手順を試してから全件へ広げれば、途中で問題に気づいても修正しやすくなります。
最後に、必要な保存要件と解約後のアクセス条件を確認し、旧サービスで手続き中の契約を整理します。乗り換え先のサービスを選ぶ際も、契約を締結する機能だけでなく、過去の書類をどう管理できるかまで見ておくとよいでしょう。
法的に安心・送信コスト0円・契約相手はログイン不要
最短1分で契約スタート
