電子契約の導入効果は、契約締結までの経過時間と、担当者が実際に作業した時間を分けて測ると把握しやすくなります。「早くなった気がする」だけでは、社内への報告にも、運用改善にも使いにくいためです。
例えば、紙の契約では郵送の往復に日数がかかっていても、担当者が封入や発送に使うのは数十分かもしれません。電子契約では郵送待ちがなくなる一方、宛先の確認や取引先への案内が増えることもあります。この二つを同じ「時間」として集計すると、何が改善したのか判断できません。
本記事では、導入前後で比較できる計測ルール、契約1件ごとの記録方法、削減率の計算、集計後の見直し方を整理します。本文の数値は、出典を示した調査結果を除き、方法を説明するための架空の例です。
法的に安心・送信コスト0円・契約相手はログイン不要
最短1分で契約スタート
電子契約の導入効果は何を測れば分かる?

最初から細かな指標を十数個並べる必要はありません。中小企業や少人数の事務担当者なら、「契約が完了するまで」「その間に人が作業した時間」「契約が予定どおり完了したか」の三つから始めると、継続して集計しやすくなります。
締結リードタイムは契約が完了するまでの経過時間
締結リードタイムは、同じ起点から完了までの時間を日数や時間数で表したものです。
送付依頼から合意完了までを測るなら、紙の契約でも電子契約でも同じ起点と終点を使います。担当者が何分働いたかとは別の指標です。
事務工数は人が実際に費やした作業時間
事務工数は、印刷、押印手配、宛先照合、発送準備、進捗照会、差し戻し、保存登録などの作業時間を合計します。
複数人が作業する案件では、担当者全員の作業分数を足します。ひとりの勤務時間全体や、返送を待っていた日数をそのまま足すものではありません。
完了率と例外対応件数も一緒に見る
平均日数だけ短くなっていても、未締結案件が増えていたら改善とは言い切れません。対象期間の案件数、期限内に完了した件数、差し戻し・宛先訂正・紙への切り替え件数も補助指標として残しましょう。
目標値は会社の実情に合わせて設定し、根拠のない業界平均を目標にしないことが大切です。
時間の根拠を後からたどれるようにする
締結までの日数は、メールの送信履歴や契約完了の記録など、日付を確かめられる資料にひも付けておきます。紙契約と電子契約で取得できる記録は違っても、どこを見れば同じ時点を追えるかを決めておくことが大切です。
作業分数は、実際に作業した担当者が工程ごとに記録します。集計時に聞き直さなくて済むよう、入力する場所と担当を最初に共有しておきましょう。
締結時間は開始点と終了点を固定して測定する

「契約に何日かかったか」を調べる前に、いつ時計を動かし始め、どの状態で止めるかを決めます。これが曖昧だと、導入前は契約書の作成日から、導入後はメール送信日から数えるような比較になってしまいます。
送付から締結完了までを主指標にする
例えば「当事者へ最終版の契約書を初めて送付した日時」を起点、「必要な当事者の合意・署名が完了したと確認できた日時」を終点と定義します。
紙なら最後の署名・押印が完了した事実を確認できた日時、電子ならサービスの締結完了記録など、実際に取得できる証拠を使います。紙の書類が自社へ戻った日を終点にするかは業務目的によるため、その場合は「原本受領まで」と別名称で管理します。
社内承認も含めたいなら別の指標を設ける
契約案の修正や社内稟議が長い会社では、「最終版確定から締結完了まで」も有用です。
ただしこれは送付後のリードタイムより範囲が広くなります。二つの指標は別々に保存し、都合のよい方だけを後から採用しないようにします。
日数は暦日で統一し休日の扱いを明記する
10月1日15時に送付し10月4日15時に完了したなら、経過時間は72時間、暦日換算で3.0日です。
営業日だけを数える方法もありますが、紙だけ営業日、電子だけ暦日で集計してはいけません。休日を除くなら、その計算規則を最初に書面へ残します。
未完了の契約を平均値から消してしまわない
月末時点で締結していない案件には、完了までの所要日数を確定できません。
完了案件の平均に混ぜて「0日」としたり、集計対象から黙って除外したりせず、「未完了件数」「開始からの経過日数」「次の対応」を別欄で報告します。長期滞留の案件を見落とさないためにも必要です。
事務工数は担当者が実際に作業した分数を合計する

契約締結を待つ時間と、事務担当者が手を動かす時間は一致しません。測定するときは契約業務を工程に分け、後から想像で所要時間を書き込むのではなく、可能な範囲で実作業の開始・終了を記録します。
紙契約は印刷から保管まで工程を漏らさない
契約書の出力、押印に関する社内手配、封入、住所照合、郵送手続き、返送状況の照会、受領後の照合、スキャン、書庫への収納などを対象にします。
実際には発生しなかった工程まで想定時間として足すのは避けてください。押印を待つだけの時間は工数ではなく、必要なら待機時間として別記します。
電子契約の作業もゼロ分とは扱わない
PDFの準備、宛先入力、契約相手への説明、送信設定、送信後の状況把握、リマインド、締結後の保存や台帳への登録には時間がかかります。
電子契約を導入したから事務作業がすべて消えるわけではありません。増えた作業も含めて計測する方が、どこを改善すべきか分かります。
一つの案件を複数人が扱ったら合算する
営業担当が契約内容を10分点検し、総務担当が送信に8分、別の担当者が督促に5分使った場合、事務工数は合計23分です。
ただし、契約書の内容を一から交渉する時間まで含めるかは先に決めます。測定対象の範囲を途中で変えないことが、比較の精度を左右します。
細かすぎる記録で現場を疲れさせない
初回から秒単位で測ろうとすると、記録の手間が増えます。まずは工程別に「分」を単位とし、作業完了時に記録できる方法から始めても十分です。
計測作業そのものに大きな負担が生じる場合は、代表的な案件を標本として測り、標本数と選び方を明示します。
紙と電子の比較条件をそろえないと削減効果は誤って見える

紙の契約20件と電子契約20件を比較していても、紙は複雑な業務委託契約、電子は簡単な秘密保持契約ばかりなら、その差を電子化の効果とは説明できません。比べる契約の性質や期間をそろえる工程が必要です。
契約の種類と署名する人数で分ける
秘密保持契約、業務委託契約、取引基本契約などを種類別に集計します。
署名者が一人の案件と複数の部署が承認する案件でも所要時間は変わるため、担当部署・署名者数・契約相手の条件を控えておきます。比較のために無理に全契約を同じグループへまとめる必要はありません。
繁忙期と閑散期を同じ条件とはみなさない
導入前が年末の繁忙期、導入後が通常月であれば、契約の件数や相手方の返答速度が異なる可能性があります。
同じ月同士を比べるか、件数や契約類型で条件をそろえ、比較期間が異なることを結果に明記してください。担当者が交代した月も記録しておくと原因の見当を付けやすくなります。
特殊案件や紙への差し戻しも別に記録する
相手方の長期不在、契約内容の再交渉、紙への切り替えなどは所要時間を大きく動かします。
数値を良く見せるためにこれらを黙って除外せず、「通常案件」と「例外案件」に分けて両方の件数を開示します。集計対象から外す条件を決めるなら、事前に一律のルールを作ってください。
導入前の記録がなければ過去の正確な数値を捏造しない
紙契約時代の作業ログが残っていない企業もあります。その場合は現在の紙契約案件を実際に測るか、担当者への聞き取りによる概算として明確に区別します。
「推計値」と「実測値」を同じグラフに並べるなら、注記を付けるべきです。根拠のない削減率を経営資料に載せないようにします。
電子契約の導入効果を計算する手順と架空の数値例

計算は複雑ではありません。ただし、同じ式でも分母が違えば結果は変わります。紙と電子の契約件数、締結までの時間、作業分数をそれぞれ区別し、最初は1件当たりの平均で比較します。
締結時間の短縮率は同じ起点と終点の平均で計算する
短縮率=(紙の平均所要日数-電子の平均所要日数)÷紙の平均所要日数×100 です。
架空の例として、同じ種類の契約について、紙20件の平均が6.0日、電子20件の平均が2.5日なら、差は3.5日、短縮率は約58.3%となります。これは計算例であり、マイサインの実測値や導入企業の平均ではありません。
事務工数の削減率は実作業分数で計算する
工数削減率=(紙の平均作業分数-電子の平均作業分数)÷紙の平均作業分数×100 です。同じ架空例で紙1件50分、電子1件20分なら、差は30分、削減率は60%です。
20件を処理する場合は合計で600分、つまり10時間の差になります。作業担当者が複数いても、比較する工数は合計人分で統一します。
月間削減時間へ換算するときは実際の契約件数を使う
1件当たり30分の差があり、仮に月50件が同じ契約類型・作業条件で発生するなら、30分×50件=1,500分、25時間です。
実際の業務では、紙で継続する案件や例外対応があるため、全件が電子化した前提で年間効果を断定しないようにします。件数と電子化対象の割合も合わせて示すと、過大な試算を避けられます。
時間を金額に換算するなら前提を別欄に書く
削減した作業時間に人件費の時間単価を掛ける方法はありますが、それは必ずしも支出した人件費の削減額ではありません。
時間が空いても給与総額が同じなら、意味は「別の仕事に使える余力が生まれた」ということです。月額利用料などとの費用対効果は、導入稟議書の作り方やコスト試算ページと役割を分けて評価してください。
測定用の契約台帳には案件ごとに何を記録する?
導入効果の集計は、1件ごとのデータがそろっているほどやりやすくなります。最初は表計算ソフトで十分です。管理番号を主キーにして、契約類型、送付日時、完了日時、担当者の作業時間、例外対応を紐付けます。
測定シートは「1契約1行」を基本にする
以下は入力形式を示すための架空データです。実在する顧客、契約、マイサインの利用実績ではありません。
月間の集計に使う際は、日付と時間の書式をそろえてください。
| 管理番号 | 方式 | 契約類型 | 初回送付 | 締結完了 | 事務工数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| MET-101 | 紙 | 秘密保持契約 | 10月1日 10時 | 10月7日 10時 | 50分 | 返送待ちあり |
| MET-102 | 電子 | 秘密保持契約 | 10月1日 10時 | 10月3日 10時 | 20分 | 追加案内なし |
| MET-103 | 電子 | 秘密保持契約 | 10月2日 9時 | 未完了 | 12分(暫定) | 相手方の操作待ち |
未完了案件は完了案件と同じ平均に入れない
MET-103は締結完了日がないため、締結リードタイムの平均にはまだ使えません。一方、既に使った12分は途中までの工数として保存します。
月末時点で未完了なら、その件数と経過日数を別表で出しましょう。これを省くと、早く終わった契約だけが残り、平均が実態より短く見えます。
送信し直したときは旧案件と新案件をつなげる
差し戻しや宛先訂正で再送した場合、最後の送信日時だけ残すと、本来の契約開始からの待ち時間が消えてしまいます。
初回送付日時、再送日時、理由を分けて記録し、同じ契約案件として集計します。再送した履歴を削除してしまうと、運用上の改善課題が見えません。
契約書の全文や個人情報を集計表へ複製しない
効果測定に必要なのは、契約の内容そのものではなく管理番号と作業の状態です。
社名や担当者名を掲載する場合は利用範囲を限定し、社内報告用には匿名化した番号へ置き換える方法があります。計測を始めるために、既存のアクセス権を広げる必要はありません。
平均値だけでは見えない長期滞留をどう扱う?
平均所要日数は便利ですが、一部の長期案件が全体を押し上げることがあります。月次レポートでは平均だけでなく中央値、未完了件数、一定日数を超えた案件も一緒に見てください。
中央値を併記すると典型的な所要日数が見える
例えば架空の5案件の締結日数が1日、1日、2日、2日、14日なら、平均は4.0日ですが中央値は2日です。
長期化した案件が少数でも平均への影響は大きいため、平均だけで「大半が4日かかった」と説明するのは正確ではありません。件数が少ない場合には、各案件の内訳も見ると判断しやすくなります。
長期案件の原因は記録から確かめる
14日かかった理由が、取引先の担当者不在なのか、社内の修正待ちなのか、署名依頼が届いていないのかで取るべき対策は違います。
所要日数が長い案件を選び、依頼日、差し戻し日、督促日、完了日を順にたどります。理由が不明なときは「未確認」と書き、都合のよい原因を付けないようにします。
集計件数と未完了件数をセットで示す
例えば「完了済み8件の平均は2.1日」という数字だけでなく、「同期間に受付した案件12件のうち完了8件、未完了4件」と報告します。
完了した案件と受付した案件の分母を混同しないためです。比較対象の件数が少ない場合は、結論を急がず数か月分を積み上げる方が安全です。
所要日数を区間別に数えて偏りをつかむ
「2日以内」「3〜5日」「6日以上」などの区切りで完了案件を数えると、平均値だけでは分からない遅れの偏りが見えてきます。平均が改善していても、長期化する案件が増えていれば、その原因を別に調べる必要があります。
区間の境目は集計を始めるときに決め、月ごとに変えないようにします。まだ完了していない案件は所要日数が確定していないため、この表には混ぜずに別枠で表示します。
導入後の効果測定は毎月どの順番で進める?
毎月の報告は、立派なダッシュボードを最初から作るより、対象案件の確定と集計条件の固定から始める方が正確です。担当者が変わっても同じ数字を再現できることを目標にしましょう。
月初に前月の対象案件を確定する
例えば「前月に送付を開始した案件」を母集団とするのか、「前月に締結完了した案件」を母集団とするのかを決めます。
どちらにも意味はありますが、月によって切り替えると推移を比較できません。締結時間の計算には完了済みの案件を使い、受付ベースの未完了件数は別に示します。
工数記録の未入力を補正する前に理由を調べる
工数の空欄をすべて0分として平均を計算すると、時間が短縮したように見えることがあります。
作業の実績がないのか、記録漏れなのかを担当者へ確認し、確定できなければ欠測として件数を表示します。未入力率も報告しておけば、測定方法自体の改善につながります。
原因を一つ選び翌月に再測定する
郵送をなくした効果は既に十分出ていても、電子契約の宛先確認に時間がかかっているなら、次はアドレス帳の登録ルールを整えるなど、改善対象を狭めます。
施策前後で同じ契約類型、同じ計測範囲を使い、工数と締結日数の双方を見直します。複数の施策を同時に変えた場合は、どれが原因で改善したかを断定しないことも重要です。
集計を確定した日と修正履歴を残す
報告書を出した後に、入力漏れや完了日の訂正が見つかることもあります。集計に使ったデータを残していないと、翌月に同じ数字を再現できません。
例えば「10月分は11月5日に確定」と記録し、その後の修正には日時と理由を付けます。数値が変わったときに訂正前後を説明できれば、社内の報告も混乱しにくくなります。
期待したほど短縮されないときの原因の見つけ方
電子契約を使っていても、契約の内容や相手方の都合で、締結までの日数が紙と変わらないことはあります。数字が伸びないときは導入が失敗したと早合点せず、時間がかかっている工程を分けて見てください。
社内承認で止まっているなら送付前の時間を分離する
営業が契約案を作ってから法務が承認するまでに数日かかる場合、送信を電子化してもその待機期間は短くなりません。
「最終版確定まで」と「契約相手へ送付してから」に分ければ、サービスの効果と社内承認の課題を区別できます。
取引先の対応待ちなら案内と督促の負担を記録する
署名依頼が届いても、取引先の担当者が内容を確認するまでに時間がかかることがあります。
催促の回数、相手からの質問数、修正回数を控えると、説明の不足なのか、契約内容の調整なのかを見分ける手掛かりになります。相手先を一律に「対応が遅い」と評価するのは避けましょう。
差し戻しが増えたら契約書の最終版確定を見直す
締結用PDFを送った後で金額や期間を変更する案件が多いと、再作成、再送、再照合の工数が増えます。
送信前の社内確認不足が原因なら、操作を速くするより内容確定の工程を整えた方が効果的かもしれません。実際の変更理由を分類してから対策を選びます。
紙と電子の併用が残るなら測定区分を増やす
紙を希望する取引先がいる場合、すべて電子化した前提で効果を計算しても実情を反映しません。
「電子」「紙」「途中で方式変更」の区分を持ち、方式変更によって発生した追加工数も残します。併用期の管理方法は電子契約と紙契約の併用方法を参考にしてください。
マイサインの記録を導入効果の測定にどう活用する?
マイサインでは、契約の進行状況や締結済み書類を管理画面で扱えます。ただし、画面に表示される契約情報だけで担当者のすべての作業時間が自動的に記録されるわけではありません。サービス内で確認できる情報と、社内で別途測る時間を組み合わせる運用が現実的です。
契約の進行状況と完了記録を案件単位で参照する
まず通常契約の仕組みや公式FAQで利用中の操作・表示を確かめ、管理番号と契約の状態を対応させます。
画面で確認できた日時と、別途測定した送付日時を同じ台帳に記載することで、転記間違いを減らしやすくなります。存在しない自動集計機能を前提にしないよう注意してください。
契約書の保存や検索に使う時間も必要なら測る
締結後にPDFを探す、書類管理へ登録する、契約期限を入力するなどの作業が多い場合は、「締結完了まで」と「締結後の管理」を別に計測します。
書類管理機能の利用も含めて測る際には、機能名だけで効果を決めつけず、実際の担当者の作業分数を比較してください。
CSVや一覧を使うときも出力項目を先に確かめる
契約一覧などから必要な情報を確認できる場合でも、送信日時や完了日時がどの形式で取得できるかは、その時点の画面と機能によります。
測定に必要な項目が出力されない場合は、利用できる記録を根拠に台帳で補います。サービスの仕様を確認せずに「CSVだけで工数まで自動測定できる」と案内することは避けましょう。
契約方法が異なる案件を同じ数字に混ぜない
マイサインには、メールで相手に署名を依頼する通常契約のほか、URLやQRコードから案内する公開契約など、契約方法の違いがあります。送付の手順が異なる案件をひとまとめにすると、どこで作業時間が変わったのか分かりにくくなります。
まずは通常契約のように対象を絞って測り、必要に応じて契約方法ごとの集計を追加します。全体の件数を報告する場合も、それぞれ何件含まれるかを示してください。
経営者や社内への報告は数字と測定条件を一緒に示す
成果報告は「60%削減しました」という一行よりも、「対象はどの契約で、何件をどう測ったか」が分かる方が実務上の判断に使えます。数値の裏付けと未解決の課題を並べると、次の改善へつながります。
最初の報告は対象範囲と実測結果から書く
例えば「秘密保持契約を対象に、紙20件と電子20件を比較。送付から締結完了までの平均は紙6.0日、電子2.5日。事務工数は紙50分、電子20分」という形式です。
これは本記事の架空例であり、実績として社内外へ転載してはいけません。実際の報告では、測定期間、対象件数、欠測件数も併記します。
改善できていない点も隠さず載せる
署名が早くなっても、管理台帳への転記が手作業で残る、相手方への案内で問い合わせが増えるなど、改善の余地がある場合は報告しましょう。
「電子化したからすべて短縮する」という前提で数字を探すより、実測で分かったボトルネックを次月の課題に設定する方が継続的な改善に役立ちます。
一般の調査結果と自社の実測値を混ぜない
JIPDECの「企業IT利活用動向調査2026」電子契約編では、電子契約を利用した効果として業務負荷の軽減やコスト削減などが挙げられています。
一方、調査は企業の利用状況・意識に関する集計であり、自社の契約業務が何分短縮されたかを直接示す数字ではありません。参考情報として紹介する場合も、社内の測定結果とは明確に分けてください。
次に改善する工程を一つ決めて報告を終える
締結の所要日数が短くなっても、問い合わせ対応や書類の登録に手間が残っていることがあります。数値の報告だけで終わらせず、翌月に見直す工程を一つ選びましょう。
例えば「送信先の照合手順を統一する」と決めたら、担当者と実施時期、次回の測定方法まで記載します。結果が期待どおりでなかった場合も、何を試したか記録しておけば次の判断につながります。
電子契約の導入効果の測定によくある質問
継続的な計測を始めると、集計の分母や未締結案件の扱いで迷うことがあります。判断がぶれやすい項目をまとめました。
-
電子契約の導入効果は何を測ればよいですか?
- まずは送付から締結完了までの経過日数と、担当者の実作業分数を分けて記録してください。完了率や差し戻し件数も合わせて見ると、速さ以外の課題が分かります。
-
導入前の紙契約に作業時間の記録がありません
- 過去の正確な実測値を推測で作らず、現在の紙契約を対象にサンプル測定する方法があります。担当者への聞き取りを使うときは推計値と明記し、実測値と区別してください。
-
電子契約の締結時間は送信から何日で数えますか?
- 送付日時から締結完了の確認日時までの差を、あらかじめ決めた単位で計算します。紙と電子で同じ起点・終点を使い、暦日か営業日かも統一します。
-
締結が終わっていない契約は平均から除いてよいですか?
- 未完了案件には完了所要日数を確定できません。完了案件の平均には入れず、未完了件数と経過日数を別に示してください。対象から黙って消すと、順調な案件だけで比較したように見えてしまいます。
-
マイサインだけで事務工数を自動集計できますか?
- 契約の状態を把握する情報と、人が準備や確認に使った作業時間は別です。管理画面で取得できる記録を参照しつつ、印刷、宛先確認、送信設定、督促などの作業分数は社内の測定表で補う前提で設計してください。
まとめ 導入効果は一件ごとの時間記録から始める
電子契約の効果を知りたいなら、最初に「送付から締結完了までの経過時間」と「契約に関わった人の作業時間」を区別します。測定の起点・終点、契約の種類、未完了案件の扱いをそろえれば、短縮した部分と変わらない部分を具体的に説明できます。
まずは対象にする契約を一種類選び、紙と電子それぞれの案件について送付日時、完了日時、作業分数、差し戻しの有無を記録するところから始めてください。数件のデータだけで導入効果を断定せず、同じルールで記録を続けることが改善への近道です。
これから電子契約を検討する場合は電子契約の導入前に社内で決めること、料金や将来の利用額を見積もる場合は電子契約のコストも参考になります。この記事は導入後の測定に対象を絞り、実測に基づいて改善するための手順を紹介しました。
法的に安心・送信コスト0円・契約相手はログイン不要
最短1分で契約スタート
