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権利帰属に関する合意書(アニメ制作会社)

アニメ制作に伴って作成されるキャラクターデザイン、脚本、原画、映像、3DCGなどの成果物について、著作権その他の知的財産権の帰属を明確にするための合意書ひな形です。既存権利や共同制作物、著作者人格権、第三者クリエイターの権利処理についても定めています。

契約書名
権利帰属に関する合意書(アニメ制作会社)
バージョン / ファイル
1.00/ Word
作成日 / 更新日
特徴
アニメ制作で発生する各種成果物について、既存権利と新たに生じる著作権等を区別しながら権利帰属を整理できる。
利用シーン
アニメ制作会社と共同制作会社の間で成果物の権利帰属を決める/制作プロジェクトで生じるキャラクター・脚本・映像等の著作権の帰属を明確にする
メリット
制作後の著作権や二次利用をめぐるトラブルを防ぎ、アニメ作品と制作素材の権利関係を明確化できる。
ダウンロード数
5件
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権利帰属に関する合意書とは?

権利帰属に関する合意書とは、アニメーション作品の企画・制作によって生じるキャラクターデザイン、脚本、絵コンテ、原画、動画、背景美術、3DCG、映像データなどについて、著作権その他の知的財産権が誰に帰属するのかを明確にするための文書です。アニメ制作では、1つの作品が完成するまでに、制作会社だけでなく、共同制作会社、脚本家、キャラクターデザイナー、アニメーター、イラストレーター、CGクリエイター、音響制作者など、多くの企業・クリエイターが関与することがあります。

そのため、制作物について単に「制作会社のもの」と考えるのではなく、

  • 誰が制作した成果物なのか
  • 著作権を誰に帰属させるのか
  • 制作前から保有していた素材の権利はどう扱うのか
  • 共同制作した成果物をどう扱うのか
  • 著作者人格権をどのように扱うのか
  • 外部クリエイターの権利処理を誰が行うのか
  • 完成した作品や素材をどこまで利用できるのか

といった事項を整理しておくことが重要です。特にアニメ作品は、完成した映像そのものだけでなく、キャラクター、設定、原画、背景、ロゴなどが、商品化、配信、出版、ゲーム化、舞台化、海外展開などに利用される可能性があります。そのため、制作段階で権利帰属を曖昧にしたまま進めてしまうと、作品完成後の二次利用やライセンス展開の際に問題が発生する可能性があります。権利帰属に関する合意書を作成し、制作物ごとの権利関係をあらかじめ整理しておくことは、アニメ制作会社にとって重要な契約管理の一つといえます。

アニメ制作で権利帰属に関する合意書が必要となるケース

アニメ制作では、複数の会社やクリエイターが共同して制作するケースが多いため、権利帰属に関する合意書が必要となる場面も幅広く存在します。代表的な利用ケースとして、次のようなものがあります。

  • アニメ制作会社と共同制作会社が作品を制作する場合
  • 元請制作会社と制作協力会社の間で成果物の権利を整理する場合
  • キャラクターデザインや設定資料を外部クリエイターに制作してもらう場合
  • 脚本、絵コンテ、原画などを外部スタッフへ依頼する場合
  • 3DCGや背景美術など一部の制作工程を外部会社へ委託する場合
  • 共同制作した成果物について各社の権利範囲を明確にする場合
  • 作品完成後の商品化や配信などを予定している場合

例えば、アニメ制作会社が別の制作会社へキャラクターデザインやCG制作を依頼した場合、その成果物を納品してもらっただけで、必要な著作権まで当然に発注側へ移転するとは限りません。そのため、成果物の納品条件だけではなく、著作権をどちらに帰属させるのか、譲渡する場合にはどの権利を対象とするのかといった点まで合意しておく必要があります。

アニメ制作における権利帰属が重要な理由

アニメ制作における権利帰属の問題は、作品を完成させる段階だけではなく、その後の事業展開にも大きく関係します。完成したアニメ作品は、放送や動画配信だけで利用されるとは限りません。

例えば、

  • DVD・Blu-ray等への収録
  • 動画配信サービスでの配信
  • 海外配信
  • キャラクターグッズの商品化
  • 書籍・電子書籍への展開
  • ゲーム化
  • 舞台化
  • 広告・コラボレーションへの利用
  • 続編・スピンオフ作品の制作

など、さまざまな展開が考えられます。こうした利用を行う際、元となるキャラクターやデザイン、映像素材などについて必要な権利処理が完了していなければ、新たな事業展開を進めにくくなる可能性があります。そのため、制作時点で権利関係を整理することは、将来的な作品利用を円滑にする意味でも重要です。

権利帰属に関する合意書に盛り込むべき主な条項

アニメ制作会社向けの権利帰属に関する合意書では、制作物の種類や制作体制に合わせて条項を設計する必要があります。今回のひな形では、主に次の事項を定めています。

  • 合意書の目的
  • 対象となるアニメ作品
  • 成果物の範囲
  • 既存権利の取扱い
  • 新たに制作された成果物の権利帰属
  • 共同制作物の取扱い
  • 著作権の譲渡
  • 著作者人格権の取扱い
  • 第三者クリエイター等の権利処理
  • 成果物の利用
  • 素材及び制作データの取扱い
  • 権利保証
  • 権利登録等への協力
  • 秘密保持
  • 第三者への権利譲渡等
  • 損害賠償
  • 既存契約との関係
  • 準拠法及び合意管轄

単純に「著作権は甲に帰属する」と定めるだけではなく、既存素材、第三者素材、共同制作物などを区別して規定することがポイントになります。

条項ごとの解説と実務ポイント

1. 対象作品に関する条項

最初に重要となるのが、どの作品についての権利帰属を定める合意書なのかを特定することです。作品名だけでなく、必要に応じて制作形態や制作期間なども記載します。また、アニメ作品の場合、本編映像以外にも予告編、プロモーション映像、特典映像などが制作されることがあります。どこまでを対象作品に含めるのかを明確にすることで、後から「この映像は合意書の対象ではない」といった認識の違いが生じることを防ぎやすくなります。

2. 成果物の範囲

アニメ制作では、最終的に完成した映像だけが成果物ではありません。

制作工程では、

  • 企画書
  • プロット
  • 脚本・台本
  • キャラクターデザイン
  • 美術設定
  • 絵コンテ
  • レイアウト
  • 原画・動画
  • 背景美術
  • 3DCGモデル
  • モーションデータ
  • 編集データ
  • ロゴ・タイトルデザイン

など、多数の素材が作成されます。権利帰属を定める場合には、完成映像だけではなく、こうした制作途中の素材についても対象を明確にしておくことが重要です。

3. 既存権利に関する条項

権利帰属を考える際に特に注意したいのが、今回の制作によって新しく生じた権利と、契約締結以前から当事者が保有していた権利を区別することです。参照資料においても、契約締結日前から各当事者が保有する知的財産と、相手方の情報に依拠せず独自に創出・取得した知的財産を区別する構成が採用されています。アニメ制作でも同様に、制作会社が以前から使用している制作技法、ソフトウェア、素材、データ、ノウハウなどまで一律に相手方へ移転する内容にすると、想定以上に広い権利移転となる可能性があります。そこで、既存権利は従前の権利者に留保し、本作品の制作や利用に必要な範囲だけ利用を認める形で整理することが考えられます。

4. 成果物の権利帰属に関する条項

合意書の中心となる条項です。

本作品のために新たに作成された成果物について、

  • 甲に帰属させる
  • 乙に帰属させる
  • 成果物ごとに帰属先を決める
  • 一定の成果物について共有とする

など、実際の制作スキームに合わせて決定します。すべての制作案件について一律に同じ権利帰属が適切とは限りません。制作費の負担関係、企画主体、原作権の所在、制作会社の役割、二次利用を担当する会社などを踏まえて設定することが重要です。

5. 著作権法第27条・第28条の権利

著作権を譲渡する場合に重要になるのが、著作権法第27条及び第28条に規定される権利です。今回のひな形では、成果物の著作権を一方当事者へ帰属させるため著作権譲渡が必要となる場合、これらの権利を含める構成としています。アニメ作品は、将来的に編集、翻案、二次利用などが行われる可能性があります。そのため、単に「著作権を譲渡する」と記載するだけではなく、どの権利まで移転させるのかを契約上明確にしておくことが重要です。参照資料でも、知的財産権の定義において著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含める構成が採られています。

6. 共同制作物に関する条項

複数の制作会社が共同して制作する場合、どちらか一方だけが制作したとはいえない成果物が生じることがあります。

このような場合には、単純な一社帰属ではなく、

  • どちらに帰属させるのか
  • 共有とするのか
  • 共有の場合の持分をどうするのか
  • 第三者への利用許諾をどうするのか
  • 権利を譲渡するときの手続をどうするのか

を整理する必要があります。特に共同制作案件では、「共同で作ったから共同で自由に使える」という認識で進めるのではなく、利用・処分のルールまで契約で具体化することが重要です。

7. 著作者人格権に関する条項

著作権の帰属とあわせて検討する必要があるのが、著作者人格権です。アニメ制作では、作品完成後に編集、修正、加工などが必要になるケースがあります。そのため、制作物の利用に必要な範囲で著作者人格権を行使しない旨を定めることが考えられます。また、制作会社自身ではなく、外部クリエイターが実際の著作者となる場合もあります。その場合には、会社間の合意だけで完結させず、必要に応じて実際のクリエイターとの契約でも著作者人格権の取扱いを整理することが重要です。

8. 第三者クリエイターの権利処理

アニメ制作会社間で権利帰属を合意していても、実際に制作した外部クリエイターとの権利処理が不十分であれば問題になる可能性があります。

例えば、

  • 脚本家
  • キャラクターデザイナー
  • アニメーター
  • イラストレーター
  • CGクリエイター
  • 音響制作者

などに制作を委託する場合です。そのため、外部クリエイターとの契約についても、会社間で合意した権利帰属と整合するように設計することが重要です。

9. 二次利用に関する条項

アニメ作品では、完成後にさまざまな二次利用が行われる可能性があります。例えば、商品化、出版、ゲーム化、舞台化、海外展開、続編、スピンオフなどです。今回のひな形では、こうした二次利用について別途契約や合意が存在する場合には、その定めを優先する構成としています。権利帰属と利用許諾は似ていますが、必ずしも同じ問題ではありません。「誰が権利者なのか」と「誰がどの範囲で利用できるのか」を分けて整理することがポイントです。

10. 制作データ・第三者素材に関する条項

アニメ制作では、制作会社が独自に作成した素材だけでなく、フォント、ソフトウェア、プラグイン、素材ライブラリなど、第三者からライセンスを受けている素材やツールを使用することがあります。こうした第三者素材は、成果物の納品によって当然に相手方へ権利移転できるものとは限りません。

そのため、

  • 自社制作した成果物
  • 自社が従前から保有する素材
  • 第三者からライセンスを受けた素材

を区別して管理することが重要です。

11. 権利保証に関する条項

提供された素材について第三者から権利侵害を主張された場合、作品の公開や配信などに影響する可能性があります。そのため、成果物や素材を提供する当事者が、必要な権利処理を行うための権限を確保するよう合理的な措置を講じる旨を定めておくことが考えられます。また、第三者から著作権や商標権などについて警告や請求を受けた場合の通知・協力についても定めておくと、問題発生時の対応を進めやすくなります。

権利帰属と利用許諾の違い

実務上、混同しやすいのが「権利帰属」と「利用許諾」です。権利帰属は、その著作権等を誰が保有するのかという問題です。一方、利用許諾は、権利そのものを保有していない者に対して、一定の範囲で作品を利用することを認めるものです。例えば、キャラクターデザインの著作権を甲に帰属させながら、乙に対して本作品の制作・宣伝に必要な範囲で利用を認めるという設計も考えられます。

したがって、

  • 権利者を誰にするのか
  • 相手方にどの利用を認めるのか
  • 利用できる期間はいつまでか
  • 利用できる地域はどこか
  • 二次利用を認めるのか

を分けて検討することが大切です。

権利帰属に関する合意書と制作委託契約書の違い

制作委託契約書は、アニメ制作業務そのものについて、業務内容、納期、制作費、検収、修正、秘密保持などを定める契約書です。これに対して、権利帰属に関する合意書は、制作によって生じる成果物の所有権や著作権その他の知的財産権について重点的に整理する文書です。すでに制作委託契約書を締結している場合でも、権利関係について十分な規定がなければ、別途合意書を作成して補完する方法があります。この場合には、既存の制作委託契約書と新しい合意書の内容が矛盾しないよう注意が必要です。今回のひな形でも、既存契約との関係を定め、どちらの規定を優先させるかを明確にできる構成としています。

権利帰属に関する合意書を作成する際の注意点

成果物を具体的に特定する

「制作物一式」のような抽象的な表現だけではなく、実際に作成される成果物をできるだけ具体的に整理することが重要です。特にキャラクターデザイン、原画、CGデータ、設定資料など、将来的に単独で利用される可能性がある素材については明確にしておくとよいでしょう。

既存権利まで一律に移転させない

制作会社が以前から保有している制作ノウハウや素材などまで、新規成果物と一緒に権利移転の対象になってしまわないよう注意が必要です。既存権利と新規成果物を分けて定義することで、必要以上に広い権利移転を防ぎやすくなります。

外部クリエイターとの契約を確認する

会社間で権利帰属について合意しても、実際の著作者との契約内容が異なれば、想定した権利処理ができない可能性があります。外部クリエイターを起用する場合には、制作会社間の契約とクリエイターとの契約をセットで確認することが重要です。

二次利用を予定している場合は別途条件を確認する

商品化、ゲーム化、出版、海外配信などを予定している場合には、単なる作品制作のための権利処理だけでは足りないことがあります。どのような二次利用を予定しているのかを事前に整理し、必要に応じて個別の利用許諾契約や合意書を締結することが重要です。

原作や音楽など別の権利との関係にも注意する

アニメ作品には、制作会社が管理する制作成果物以外にも、原作、楽曲、音源、出演者の音声など、さまざまな権利が関係する場合があります。そのため、制作会社間の権利帰属を決めただけで、作品に関係するすべての権利処理が完了するとは限りません。案件ごとに必要な権利を整理することが重要です。

電子契約で権利帰属に関する合意書を締結する場合

権利帰属に関する合意書は、紙だけでなく、当事者が合意した方法により電磁的方法で締結することも想定できます。特にアニメ制作では、制作会社やクリエイターが異なる地域で業務を行うこともあるため、電子契約を利用することで契約締結や保管を効率化しやすくなります。

電子契約を利用する場合にも、

  • 対象作品
  • 対象となる成果物
  • 権利の帰属先
  • 著作権譲渡の範囲
  • 既存権利の取扱い
  • 著作者人格権の取扱い
  • 二次利用の条件

など、重要事項を明確にしたうえで締結することが大切です。また、後から権利関係を確認できるよう、締結済みの合意書と関連する制作委託契約書、利用許諾契約書などを関連付けて管理しておくと実務上便利です。

まとめ

権利帰属に関する合意書は、アニメ制作によって生じるキャラクターデザイン、脚本、絵コンテ、原画、背景美術、3DCG、映像データその他の成果物について、誰がどの権利を保有するのかを明確にするための重要な文書です。アニメ制作では多数の企業やクリエイターが関与するため、権利関係を曖昧にしたまま制作を進めると、作品完成後の配信、商品化、ゲーム化、海外展開などで問題となる可能性があります。

特に重要なのは、

  • 対象となる成果物を明確にすること
  • 既存権利と新しく生じる権利を区別すること
  • 著作権の帰属・譲渡範囲を明確にすること
  • 共同制作物の取扱いを決めること
  • 著作者人格権について整理すること
  • 外部クリエイターの権利処理を確認すること
  • 二次利用を見据えて利用範囲を整理すること

です。参照資料でも、既存の知的財産と新たに創出された知的財産を区別し、権利の帰属や取扱いを明確にする考え方が示されています。アニメ作品は完成後もさまざまな媒体や事業へ展開される可能性があるため、制作開始時又は権利関係を変更する段階で合意内容を書面化しておくことが、将来のトラブル防止につながります。

本ページに掲載する権利帰属に関する合意書(アニメ制作会社)のひな形および解説は、一般的な参考情報として提供するものであり、特定の取引・案件への法的助言を目的とするものではありません。実際の契約締結に際しては、専門家(弁護士等)への確認を強く推奨いたします。

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