電子契約サービスが使えないときは、送信操作を繰り返す前に「どの案件の、どの処理まで完了しているか」を確認することが最優先です。 署名依頼の送信結果や契約完了の状態が確認できないまま、紙や別サービスで同じ契約を進めると、二重の締結依頼や記録の食い違いにつながるおそれがあります。
そのため、最初に障害状況と対象案件を記録し、未送信・署名待ち・完了済み・状態不明を分けて管理します。期限に余裕がある案件は復旧を待ち、急ぎの案件だけ相手方と代替手段を相談する方法が考えられます。本記事では担当者がそのまま使える判断フロー、記録項目、架空の事例まで整理します。
本記事は2026年10月30日に確認した官公庁・マイサイン公式資料を基にした一般的な業務上の案内です。サービス停止中の処理結果、契約成立の時点、特別な法令要件などは案件ごとに確認が必要です。重要案件では担当部署や専門家へ確認してください。
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電子契約サービスが使えないとき最初にすること

電子契約サービスに接続できなくなったら、最初の作業は「同じ操作の繰り返し」ではなく、影響の把握と記録です。送信ボタンを押した直後のエラーや、契約相手の署名画面が開けない状況では、何が完了しているかをすぐに断定しないようにします。
表示されているエラーと発生時刻を記録する
ログインできない、契約一覧だけ表示されない、PDFを開けない、署名ボタンでエラーになるなど、症状を具体的に残します。画面に表示されたメッセージ、操作した日時、対象案件、操作の直前に何をしていたかを記録しておきます。
画面を撮影する場合は個人情報や契約金額が含まれる可能性があるため、社内の許可された保存先を使います。スクリーンショットをSNSへ投稿したり、確認のために契約PDFを無関係な外部サービスへアップロードしたりすることは避けます。
送信や署名を連続でやり直さず担当者へ共有する
処理完了の画面を確認できないまま送信ボタンを連打すると、同一内容の依頼が複数作成されたかどうかを後で確認する負担が増えます。表示が遅いときには短時間の再読み込みで済む問題かを見極め、操作の結果が不明な段階では送信の再試行を止めます。
発生状況を案件担当者、契約管理責任者、情報システム担当者など必要な範囲へ共有し、対外連絡を誰が行うか決めます。独断で新しい契約サービスへ切り替えたり、相手へ別の契約書を送ったりする前に、案件状態を確認する窓口を一本化します。
公式の障害情報と契約期限を確認する
サービス提供会社の公式お知らせ・ヘルプ・稼働状況案内など、確認できる公開情報を調べます。障害の原因や復旧時刻は公式に示されていなければ「不明」として扱い、担当者の推測を取引先へ伝えないようにします。
同時に当日中の締結が必要な案件を洗い出します。署名が遅れることで業務着手や法定の手続、社内の承認期限へ影響が出るかを確認し、期限が厳しい案件から個別に対応方針を決めます。
障害なのか自社の操作環境なのか切り分ける
サイトが開けない理由は、サービス全体の障害だけではありません。ブラウザーや通信環境、メール受信側などの問題でも手続が進まないことがあります。ただし、切り分けのために不必要な情報を開示したり、契約処理を繰り返したりしないことが前提です。
別の画面や端末で再現するか調べる
ログイン画面・ダッシュボード・契約書一覧など、どこまで表示できるかを整理します。必要に応じて別ブラウザーや別のネットワークを使い、同じ症状が出るか確認する方法があります。ただし、社内で認められていない端末や通信経路は使わないでください。
管理画面にアクセスできても契約の送信処理だけ失敗する場合や、署名者側だけ画面が開けない場合もあります。「サイトにログインできる」だけでは送信機能まで正常とは確認できません。障害の範囲を操作別に分けて記録します。
契約相手の画面とメール受信状況を区別する
自社側の画面で送信済みと表示されていても、相手方に案内メールが届いているか、契約ページを開けるかは別途確認が必要になる場合があります。逆に、相手側から「開けない」と聞いた時点でサービス全体が停止していると決めつけることもできません。
相手に確認をお願いするときは、再送を約束する前に、受信した日時と件名、表示されたエラーの種類など必要な情報だけを尋ねます。契約本文や署名用URLを、確認に関係ない第三者へ転送しないようにします。
サービス提供者の案内を見て事実を更新する
公式サイトやヘルプ、サポートから案内があれば、その確認日時と内容を記録します。復旧見込みの記載がない場合は、推測で「数分で直る」などとは伝えず、次の確認予定や社内の判断時刻だけを決めます。
利用者に見えているエラーと実際の処理状態が一致しないことも考慮します。アプリ画面の不具合か、送信処理自体が未完了なのかは、サービス側の記録で確認する必要がある場合があります。
未締結案件はどの状態?送信前と送信後で対応を分ける

契約の状態は「サービスを使えるか」とは別の軸で確認します。社内の下書き、送信後の署名待ち、一部の当事者だけが署名した案件、完了済みの契約は同じ対応ではありません。確認できない状態を便宜的に「未締結」と記載しないことが重要です。
未送信の下書きは最終版と承認の有無を確認する
送信していない下書きであれば、社内に保存した契約書の最終版、承認の状況、送信先を確かめます。ただし、送信操作を行った直後にエラーになった案件は、本当に未送信かどうかが不明な可能性があります。
障害の前に作成したローカルのPDFがあっても、それがサービス内の下書きと同じ版とは限りません。ファイル名だけに頼らず、条項、金額、当事者名、別紙を照合したうえで、代替方法を使う必要があるか検討します。
送信済みで署名待ちの案件は再送を保留する
署名依頼が送信されている場合、相手が障害発生の直前に署名を進めていた可能性があります。送信側で状態を確認できない間に別のURLや紙の契約書を案内すると、同じ取引について複数の手続が並行するおそれがあります。
送信日時、相手の氏名・メールアドレス、案件番号、版を控え、復旧後の照合対象にします。期限が迫っていて代替方法が必要なら、どの依頼を使わないことにするかを当事者間で調整し、旧依頼のキャンセルを確認してから新しい手続を進めるのが望ましい運用です。
一部署名済み・全員完了の可能性を混同しない
複数当事者が署名する案件では、一部の人だけが操作を終え、他の人の署名待ちになっていることがあります。また全員の同意操作が終わっていても、利用者の画面に完了結果を表示できていない状況も想定されます。
画面が見えないことと契約が成立していないことは同じではありません。案件ごとの完了通知、取得済みPDF、利用サービス上の記録を照合し、法的な成立時期や効力について判断が必要なときは契約内容と適用法令に照らして確認します。
締結済みの契約は元データを取り直して作り直さない
以前に完了済みの契約は、サービスが一時的に停止しただけで当然に失効するわけではありません。あらかじめ適正に保存してある契約書PDFや署名記録があれば、業務上必要な範囲で確認できます。
復旧後に契約書を作り直すと、同じ内容でも別の締結記録が生じて管理が複雑になります。利用するサービスから取得できる元の契約書と記録を保全し、再締結が必要かどうかは実際の問題に応じて判断します。
整理の基本:「送信したつもり」「相手が署名したかもしれない」「画面を開けない」だけで、確定ステータスへ移動させないようにします。
二重送信と二重締結を防ぐための案件管理

電子契約サービスが使えないときに優先すべきなのは、すべての案件を急いで送り直すことではなく、一つの契約につき採用する手続を明確にすることです。状態が不明な案件は例外的に保留として管理し、責任者が判断できる記録を残します。
案件番号・相手方・最終版を一組で特定する
社内の案件番号に、契約名称、相手方、締結予定日、送信したファイルの版、利用サービス、送信日時をひも付けます。既存の契約IDが分かる場合はその値も記録し、独自番号と取り違えないようにします。
緊急時の一覧を作る場合でも、取引先の個人情報や機密情報を広く共有する必要はありません。担当者と確認権限のある人だけがアクセスできる台帳へ、状況の根拠と次に確認する予定を残す運用が考えられます。
状態が分からない案件は「未確認」で止める
エラーのため契約一覧を開けず、送信結果も署名状況も確認できない場合は「未確認」「状態照合待ち」と記録します。下書き、相手の署名待ち、契約完了などの確定状態へ無理に振り分けないことが重要です。
この保留状態の案件については、同じ契約の送信を担当者がそれぞれ進めないよう窓口を決めます。相手方の画面で完了したという連絡があれば、送信時刻や契約名などの事実を控え、後で利用サービスの記録と照合します。
代替手段に切り替えた理由と元の依頼の扱いを残す
紙やメールへ切り替える場合、なぜ通常の方法を使えなかったか、誰が切替を承認したか、相手が何に同意したかを記録します。元の電子署名依頼を取り消す方針なら、実際にキャンセルできたことを後から確認する必要があります。
切替案内を出しただけで、元の電子署名URLが無効になったと決めつけないでください。キャンセル操作ができない間はサービス上の状態が残っている可能性を意識し、復旧後に必ず処理の整合性を確認します。
締結期限が迫る案件は優先度と連絡窓口を決める

利用できない時間が長引くと、契約書の取り交わしだけでなく、仕事の開始日や納品日、社内稟議にも影響します。全案件を同じ基準で代替手段へ移すより、締結の期限と影響を確認して優先順位を付ける方が説明しやすくなります。
契約期限と履行期限を同じものとして扱わない
「本日署名してほしい」という社内の希望期限と、契約上必要な効力発生日や相手方への通知期限は別のことがあります。社内カレンダーの締切だけで判断せず、契約条件や相手との約束、関連する手続を確かめます。
特に法律上の期限や行政への提出を伴う書類は、電子契約の代替方法を選ぶだけでは済まない場合があります。期限の延長可否や必要な形式は、関係法令と提出先の案内を確認してください。
期限に余裕がある案件は復旧を待つ選択肢もある
急ぎでない契約まで別方式に切り替えると、契約書と関連証拠の保存先が増え、復旧後の照合作業が膨らみます。復旧まで待つと決めた案件には、その理由、相手への説明の要否、再確認の担当と時点を記録します。
復旧見込みの公表がない場合は「午後には必ず締結できます」などと保証しません。相手方が予定を組めるよう、確定した情報だけを伝え、事業上の判断が必要なら案件責任者が相談する流れにします。
相手方へ必要な事実と選択肢を伝える
取引先へ説明するときは、アクセスしづらい状況があること、対象契約の現状は確認中であること、急ぎの場合に協議したい代替方法を分けて伝えます。障害の原因や復旧時刻が未公表なら、断定した表現を避けます。
相手方が送信済みのURLから手続きを進めている可能性があるため、誤った重複処理を防ぐ目的で、必要に応じて追加操作を一時控えるよう相談します。一方的に契約締結済みと通知したり、相手に契約の失効を宣言したりしないようにします。
電子契約が使えない場合の代替手段を比較する

代替手段の候補は「復旧を待つ」「メールで条件を確認する」「紙で取り交わす」「別の電子契約サービスを使う」です。どれも一律に正解とは限りません。契約の種類、方式の要件、取引相手の同意、情報の機密性、既存依頼の状態を照合したうえで選びます。
復旧を待つ:二重処理を防ぎやすい
取引先の業務開始まで余裕があり、契約の期限に重大な影響がないなら、元のサービスの復旧を待つ方法があります。送信済みの案件を別方式へ移さずに済むため、同じ契約について別々の証拠が生じる可能性を抑えられます。
ただし「待機中」のまま放置しないことが大切です。案件責任者、次の確認時点、相手への連絡要否を決め、復旧後に誰が未署名・完了済みを照合するかを明確にします。
メール:合意の経緯を残せるが契約要件に注意
一般的な契約では、法令に特別の方式が定められていなければ、契約内容を示した申込みと承諾により成立する場合があります。電子メールで双方の意思を確認し、合意内容・日時・当事者を記録する方法は検討できます。
しかし、メールを一通送っただけで、すべての契約が成立するわけではありません。相手からの明確な承諾、契約の種類に応じた方式、必要な情報の明示や署名の有無を確認し、メール送信と電子署名の実施を同じものとして説明しないようにします。
紙:相手と合意した方法で締結し印紙税を確認
紙での署名・押印に切り替える場合は、どの契約書の版を使うか、何通作るか、誰が署名するか、返送する方法を確認します。相手の社内規程や原本保管の要件もあるため、担当者の独断ではなく関係者で段取りを共有します。
紙の契約書を新しく作成する場合には、文書の実質的な内容によって印紙税の対象となることがあります。単に「障害時の代替だから印紙不要」とは判断できません。国税庁の課税文書の説明を確認してください。
別サービス:セキュリティと運用を事前に確認する
別の電子契約サービスへ一時的に切り替える方法も考えられます。ただし、元のサービスにある未締結案件を自動的に取り消したり、完了済みの記録を引き継いだりする機能があるとは限りません。
外部サービスを導入するときは、利用規約、契約書データの保管先、アクセス権限、相手方の同意、社内承認などを確認します。緊急時だからといって個人情報を新規の無料サービスへ無条件にアップロードすることは避けましょう。
| 候補 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 復旧待機 | 期限に余裕がある | 確認担当と次の判断時点を決める |
| メール | 一般的な合意確認が可能 | 意思表示と必要な方式・証拠を確認 |
| 紙 | 書面での締結を選ぶ | 二重処理・原本・印紙税を確認 |
| 別サービス | 適切な代替環境がある | 情報管理・相手方の同意・旧依頼を確認 |
メールでの契約確認は法的に有効?申込みと承諾の原則
電子契約サービスが停止した際に、メールで合意を確認する方法を選べる場面はあります。ただし「メールで返事が来た」ことと「法律上求められる方式や条件をすべて満たした」ことは同じではありません。
民法522条は申込みと承諾を基本とする
民法522条は、契約の内容を示した申込みに対して相手が承諾したときの契約成立を基本とし、法令に特別な定めがある場合を除き、特定の方式は必要ないとしています。法務省と経済産業省等による「押印についてのQ&A」も、契約書の押印が一律の成立要件ではないと説明しています。
したがって、契約内容と意思表示が明確な場合にはメールのやりとりが契約の成立を示す事情となり得ます。ただし、相手方が見積もりを受領しただけなのか、特定の版を承諾したのかを区別する必要があります。
返信の言葉と最終版を対応させる
メールで確認する場合は、案件名、契約当事者、最終版PDF、確認してほしい事項を示したうえで、どの内容への承諾を求めているのか明確にすることが考えられます。「承知しました」の対象が日程連絡だけということもあるため、返信の前後を含めて確認します。
業務委託、消費者向け手続、保証、不動産関係など、契約の類型によって方式・書面交付等の特別な要件があり得ます。重要な契約では、代替方法が適合するか、適用される法令や相手方のルールを確かめてください。
合意の証拠として送受信記録を保全する
経済産業省等の「押印についてのQ&A」は、メール本文と送受信日時、契約締結過程、本人確認情報などを残すことが、文書の成立の真正に関する立証の一助となり得ると説明しています。メール添付のPDFだけでなく、どの相手とやりとりしたかを追える状態にすることが大切です。
後からPDFへ印影の画像を貼っただけで、元の電子契約サービスと同じ署名記録が得られるわけではありません。代替方法で取得した証拠と、サービス復旧後に取得する記録はそれぞれの由来が分かる形で保管します。
紙契約へ切り替えるときの注意点

紙の契約書は、サービス停止時の代替手段になり得ます。ただし、先に電子契約を送信していた場合は、同じ取引について二つの手続を進めることにならないか確認する必要があります。紙契約の一般的な郵送手順については既存の解説へ案内し、ここでは切替時の論点に絞ります。
電子側の進捗が分からないまま紙を交わさない
送信済みの電子契約が成立しているか不明なときは、別の紙契約書へ双方が署名すると証拠が重複する可能性があります。まず社内で確認できる送信情報と、相手の状況を照合し、どちらの方式で締結するか合意を得ます。
元の電子署名依頼を取り消す必要がある場合も、停止中は操作できない可能性があります。紙へ切り替えるという意思決定と、元の依頼の実際の取消処理は別に管理してください。
紙の最終版と署名日を確認する
紙へ印刷するファイルが相手と合意した最終版であることを確認します。電子契約の送信後に修正した条項があれば、旧ファイルが共有フォルダに残っているかもしれません。契約書の本文だけでなく別紙や仕様書も照合してください。
契約日や署名日は実際の事実と契約内容に基づいて整理します。後から辻󠄀褄を合わせるために署名日を遡らせたり、障害発生前に締結済みだったかのような記録を作ったりすることは避けます。
新たに紙を作成した場合は印紙税を個別に判定する
国税庁は、文書が印紙税の課税対象かどうかを名称ではなく記載内容などの実質から判断すると説明しています。請負契約書など、文書の種類によって課税の有無や税額が変わるため、紙に切り替えた際には確認が必要です。
紙の原本を契約当事者で保管するときは、原本の所在を管理台帳へ記録します。既存の電子依頼との対応関係が後で分かるよう、元サービスの案件番号や切替を決めた日も残しておくと役立ちます。
障害時の取引先への連絡文は何を書く?
取引先には、何が起きているか分からないまま不安を与えない説明が必要です。一方、状況が確定していないのに「未締結です」「午後には復旧します」と伝えると、後から訂正が必要になる場合があります。以下は社内で調整して使うための架空の文例です。
事実と未確認事項を分けて伝える
たとえば「現在、利用中の電子契約サービスへアクセスしづらい状況を確認しています。対象契約の締結状況については確認を進めています」といった表現で、現時点の事実と確認中の事項を分けます。必要があれば、担当者名と次回の連絡方法も示します。
契約先の実際の状況を確認していないのに、一律に「すべての契約が未成立」と告げないでください。相手に案内する前に責任者の確認を受け、社内と対外で説明が食い違わないようにします。
相手に重複操作を避けてもらうよう相談する
既存の署名URLが送られている場合は「同じ契約の別の案内が届く場合があるため、こちらからの正式な再案内を確認するまで新しい手続を進めないようご相談したい」と伝えるなど、状態に応じた説明が考えられます。
ただし、元の署名依頼が有効かどうか、相手がすでに操作したかどうかを確認できない場合は、その点を正直に示します。自社の判断だけで過去の合意が消えると説明することは避けます。
代替方法は一方的に指定せず合意を確かめる
急ぎの場合には「契約期限を調整する」「メールで条件を確認する」「紙での締結を相談する」などの候補を示し、取引先の希望と社内の可否を照合します。方式を変えることで必要な書面や本人確認が変わる案件では、先に法務等へ確認します。
相手が返信してくれたら、回答の趣旨と日時を記録し、最終的に採用した方式を案件台帳へ反映します。担当者の異なる別部署が同時に電子署名の再送を進めないよう、社内の連絡をそろえることも大切です。
復旧後に未締結案件をどう照合する?

サービスが復旧したら、すぐに全案件を再送するのではなく、障害前後の記録を照合します。利用者が把握していた状態と、サービス側に残っていた処理結果が食い違う場合を見つけ、案件ごとに対応を確定させます。
契約一覧の状態と通知履歴を確認する
下書き、署名待ち、契約完了、キャンセルなど、利用サービスが表示する状態を確認します。障害中に作成した手元の一覧と比べ、送信できていた案件、相手が署名していた案件、実際に完了した案件を分けます。
完了通知が届いていないことだけで未締結と判断しません。通知メール、署名記録、サービスの完了ステータス、相手からの連絡など、確認可能な記録を組み合わせます。
送信済み案件は二重処理の有無を照らし合わせる
障害中に同じ契約を別の方法で進めた場合には、元の電子依頼がまだ有効なのかを確認します。既存の署名依頼が未完了なら、サービスの仕様と当事者の合意を踏まえ、キャンセルが必要か判断します。
その際、元の契約の取消処理を済ませるまで別方式での契約が無効になるなど、一律の法律関係を断定しないでください。契約の成立や優先関係が争点になる場合は、経緯と資料を保全して専門家の確認を受けます。
完了済みのPDFと署名記録を取得して保管する
締結が完了していた案件では、サービスから取得できる契約書PDFや署名・操作履歴を確認します。あらかじめ保存済みだった資料があれば、契約名、当事者、日付、版を照合し、保管先へ整理します。
障害時に受け取ったメールによる合意記録や紙の契約書がある場合は、元の電子契約との関係を分けて管理します。電子契約書のPDFを手作業で加工し、サービスの正式な完了記録のように見せることは避けます。
再発防止は原因が確認できてから進める
障害の原因が未公表なのに「自社の操作が原因」「提供会社の不具合」と決めつけることは避けます。利用者が記録した症状、発生時間、公式案内を整理し、再発時に必要な連絡・記録・代替判断の手順を見直します。
業務に影響した案件の件数、確認完了までの所要時間、期限変更の必要があった案件など、実際に取得できる数値を使います。効果を評価するときは推測値と実測値を区別してください。
復旧後の保存は紙・電子・メールを分けて考える

緊急対応後は「契約書があるから保管は完了」としないことが重要です。紙の原本、電子契約サービスで締結したデータ、メールでやりとりした取引情報では、記録の形式や法令上の取扱いが異なる可能性があります。
電子取引データに当たるメールや添付を確認する
契約書や注文書などの取引情報をメールで授受した場合、税法上の電子取引データの保存義務が問題になることがあります。国税庁は、電子メール本文に取引情報が含まれる場合はそのメールを、添付ファイルに含まれる場合はそのファイルを保存対象として説明しています。
取引情報をメールでやりとりしたのにPDFだけ紙に印刷して済ませる扱いは、要件に合わない場合があります。対象となるデータ、真実性・可視性などの要件は、最新の国税庁案内と自社の保存義務を照合してください。
紙の原本と電子PDFの所在を別に記録する
障害時に紙で締結した契約書は、紙原本の所在と電子化した控えを区別して管理します。元の電子契約サービス上で完了した契約は、サービスから取得できるPDFとその署名記録を適切に保全します。
いずれの場合も、別方式へ切り替えた日時や理由、当事者間の連絡を案件番号で結び付けると、後日「どの契約が正式なものか」を調べるときに役立ちます。
保管先を増やし過ぎず検索できる状態にする
障害対応で一時的なメールフォルダや個人の端末へ資料が分散すると、担当者交代時に探せなくなる可能性があります。閲覧権限を確認できる共有先に、契約番号、当事者、締結方式、日付、原本所在を整理する方法が考えられます。
保管先を統一することと、元のファイルを加工して一本化することは異なります。証拠となる原本・電子データを保全し、検索用の台帳で対応関係を確認できるようにするのが安全です。
障害に備えた契約業務の事業継続ルールを作る

電子契約の利用が日常業務に定着するほど、サービス停止時に契約処理が止まる影響も考える必要があります。IPAの事業継続・復旧に関する資料でも、停止時の影響や復旧目標を踏まえた手順整備が重視されています。
誰が切替を決定できるかあらかじめ定める
システム担当者が障害状況を把握し、契約担当者が案件の期限を確認し、責任者が代替手段の利用を承認するなど、役割を分けます。一人に判断が集中すると連絡が遅れやすいため、担当者不在時の代行者も決めておきます。
ただし、役割を増やすことが目的ではありません。少人数の組織でも、報告窓口と案件ごとの意思決定者をはっきりさせるだけで、複数の送信方法が同時に走る事態を避けやすくなります。
対象案件と許容できる停止時間を整理する
すべての契約が同じ期限で締結されるわけではありません。工事着手、広告出稿、採用開始など事業に影響する案件を例に、どの程度の停止まで待機できるか、どの段階から代替手段を検討するかを定めます。
この判断基準は社内の目安であり、法律上の一律の期限ではありません。実際の契約書や法令に別の期限がある場合は、その条件を優先して検討してください。
年に数回の想定演習で記録方法を試す
実際の障害が起きてから初めて代替手段を考えると、契約書の最新版や担当者が分からず時間を失う場合があります。架空の緊急案件を設定し、サービスにログインできないときの連絡先・判断・記録・復旧後照合までを机上で試す方法があります。
演習では実在の顧客データを使う必要はありません。課題が見つかったら手順を更新し、次の担当者が迷わず同じ操作を再現できるかを確認します。
マイサインが使えない場合に確認したい機能と復旧後の手順

電子契約サービス「マイサイン」では、通常契約のダッシュボードで進捗を確認し、契約完了後はPDFと関連する記録を管理できます。ただし、障害中はこれらの機能を利用できない場合もあるため、公式案内の確認と代替判断が必要です。
通常契約の署名待ちと完了を区別して確認する
マイサインの通常契約では、送信後の契約状況を管理画面から確認でき、署名待ちや契約完了などの状態を扱っています。復旧後は、障害前に控えた契約名称・相手方・日時と管理画面の記録を照合します。
サービスの一時停止中に自動で全件キャンセルされる、送信処理が必ず失敗しているといった仕様は確認されていません。状態を確認できない段階では処理の成功・失敗を推測せず、復旧後の事実確認につなげます。
締結前のキャンセルは復旧後に条件を確認して行う
マイサイン公式ヘルプでは、通常契約の送信者・受信者が、契約完了前にキャンセルできることを説明しています。送信側は「相手の署名待ち」から対象案件を選び、理由を入力してキャンセルする手順です。
ただし、すでに締結が完了している場合は、その手順でキャンセルできません。障害発生中はキャンセル機能自体へアクセスできない場合があります。紙などへ切り替える際は、元依頼の実際の状態を後から確認してください。
締結済みPDF・署名記録と保管書類を整理する
マイサインでは通常契約の完了後、契約書PDFが保存され、署名記録PDFも確認できると案内されています。書類管理では紙や別サービスで締結した契約書PDFも保管できます。
ただし、書類管理へのアップロードは新たな電子署名の実行ではなく、保管のための登録です。障害中に別方式で締結した文書を復旧後に保存する際は、いつ・どの方法で契約したかを案件台帳にも残しましょう。
架空の障害事例で代替手段の判断を確認する
ここからは説明用に設定した架空の事例です。特定のサービスで実際に発生した障害や取引先の実体験を示すものではありません。契約の状態・期限・相手の対応によって判断が変わることを確認します。
事例1:署名依頼直後に画面が固まった
架空のA社では契約書を送信した直後に画面が読み込めなくなりました。相手にはメールが届いているかもしれず、送信処理が成功したかを自社で確認できません。この場合、担当者は送信を連続でやり直さず、操作時刻と案件を記録し、管理画面の復旧後に状態を照合します。
相手から「署名依頼が届いた」と連絡があっても、すでに締結済みかどうかは別に確認します。必要なら相手と状況を共有し、二重の依頼を出さない方針を決めておきます。
事例2:今日中に契約が必要な案件がある
架空のB社では当日中に契約書の確認が必要ですが、元の電子契約は署名待ちの可能性があります。B社は社内で期限の根拠を確認したうえで相手へ状況を説明し、日程調整が可能か相談します。
別方式の利用が必要になった場合は、適用法令や社内承認を確認し、どちらの版を使うか、元の依頼をどう扱うかを双方で整理します。サービス復旧後には元の契約の状態を必ず再照合します。
事例3:既に完了した契約書へアクセスできない
架空のC社では先月締結した取引先との契約書を閲覧する必要がありますが、サービス停止で画面を開けません。以前に保存した契約書PDFと署名記録があるため、社内権限に従って内容を参照し、復旧後に元データと照合する流れにします。
契約書が一時的にダウンロードできないことだけを理由に、同じ契約を再締結する必要があるとは限りません。重要なのは利用サービスのデータと社内保存記録を一貫して管理することです。
障害対応時の確認事項チェックリスト
次の項目は法令上の一律の義務ではなく、実務上の確認項目として使うものです。社内の運用に合わせ、必要なものを選択してください。
- 障害の発生日時・表示されたエラー・操作直前の行動を記録した
- サービス公式案内の確認日時と確認できない事項を整理した
- 送信済み・未送信・契約完了・状態未確認を分けた
- 期限の迫った案件と、復旧を待てる案件を分けた
- 相手方に伝える事実と未確認事項を区別した
- 代替手段の採用を決める担当者と承認者を決めた
- 旧依頼が有効なままになっていないか復旧後に照合する
- PDF・署名記録・メール・紙原本の保管先を確保した
- 契約の成立と証拠、税法上の保存義務を区別して確認した
電子契約サービスが使えないときによくある質問
「エラーになったので未締結」「紙で締結すれば電子側は消える」といった誤解を避けるため、よくある疑問を整理します。
-
電子契約サービスにログインできなければ契約は未締結ですか?
-
いいえ。ログインできないことだけでは、送信済みの案件が未完了かどうか判断できません。完了通知、利用サービスの状態、署名記録、相手の操作状況などを復旧後に照合してください。
-
送信ボタンを押した直後にエラーが出たら再送してもよいですか?
-
送信結果が不明な段階では同じ操作を続けず、時刻・案件・エラーを記録して処理結果を確認するのが基本です。再送の可否は状態を確認してから判断してください。
-
障害中にメールで合意すれば必ず契約成立になりますか?
-
法令に特別な方式の定めがない一般的な契約では、申込みと承諾によって成立する場合があります。ただし、メールの内容、相手の承諾、契約の種類や必要な書面などに応じて判断する必要があります。
-
電子署名待ちだった契約を紙で締結しても問題ありませんか?
-
紙への切替自体が可能な場面はありますが、電子側の依頼がどう処理されたかを確認しないと二重手続になるおそれがあります。相手と切替方式・最終版・旧依頼の扱いを確認してください。
-
紙に切り替える場合は印紙が必要ですか?
-
紙で作成する文書の記載内容などにより、印紙税の課税対象となる場合があります。障害対応であっても一律に免除されるわけではないため、国税庁の説明で個別に判定してください。
-
サービスが復旧したら全件を送信し直すべきですか?
-
いいえ。障害前後の送信結果と署名状況を確認し、未送信・署名待ち・完了済み・キャンセルなどへ振り分けてから、必要な案件だけ個別に対応します。
-
マイサインで署名待ちの契約をキャンセルできますか?
-
マイサイン公式ヘルプでは、通常契約は完了前ならキャンセル可能と案内しています。ただし、障害中はキャンセル操作ができない可能性があり、締結済み契約には同じ方法を使えません。
-
電子契約のデータが消えたかどうかはどう調べますか?
-
画面に表示されないことだけでデータ消失とは判断できません。公式案内、復旧後の契約一覧、取得済みPDF・署名記録、サポートからの確認結果を照合します。原因やデータの状況が確認できない場合は不明と記録してください。
まとめ:まず状態を確認し一つの案件を二重に進めない
電子契約サービスが使えないときは、障害状況の把握と、契約ごとの状態確認を分けることが重要です。送信ボタンの直後にエラーが出ても、送信や署名が成功している可能性は残るため、結果が分からないまま別の手段で契約を進めないようにします。
まず案件番号、相手方、最終版、送信日時、現時点で確認できる事実を一組にして記録し、期限が迫る案件だけ代替方法を協議してください。復旧後は署名待ち・完了済み・キャンセル・不明を再照合し、正式な契約書と証拠を適切に保管することが再発防止につながります。
参考資料と関連記事
法令の一般原則とシステム停止時の事業継続については、次の一次情報を参考にしました。制度やサービスの仕様は変更されるため、実務に適用する際は公開日・更新日と適用条件を確認してください。
- 法務省「契約について」
- 経済産業省「押印に関するQ&A」
- IPA「インシデントによる被害に備えた事業継続・復旧体制の整備」
- 国税庁「課税文書に該当するかどうかの判断」
- 国税庁「電子取引データ保存について」
- マイサイン「通常契約」
- マイサインヘルプ「通常契約をキャンセルする方法」
代替手段の詳しい手続、普段からの紙との併用、契約データの保管については、次のマイサイン関連記事も参考になります。
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