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制作実績をホームページに掲載してもよい?許諾と守秘義務の確認

制作実績をホームページに掲載してもよい?許諾と守秘義務の確認|契約書とホームページ掲載を確認するビジネスイラスト

制作実績を自社ホームページやSNSへ掲載できるかは、制作した事実だけでは決まりません。 取引先との契約で実績公開を認めているか、作品の著作権は誰にあるか、守秘義務に触れないか、画像に第三者の権利が含まれないかを順番に確認する必要があります。

文化庁の公式FAQには、取引先に納めた成果物を自分のホームページで実績として紹介できるかという問いがあり、著作権と秘密保持の両面から判断する方法が示されています。本記事ではWeb制作会社・デザイナー・フリーランス向けに、許諾を依頼する具体的な流れと、掲載を取り下げる際の対応まで整理します。

※ 2026年10月30日時点に確認できる公的資料に基づく一般的な解説です。著作権の帰属や守秘義務、実際の許諾の効力は個別の契約と事実関係により異なります。重要な案件では法務担当者・弁護士などへ確認してください。架空の事例は説明用のもので実在する顧客事例ではありません。

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目次

制作実績をホームページに掲載してもよい?最初に確認する結論

制作契約と著作権の帰属から掲載許諾まで確認する六段階の判断フロー

制作したWebサイトやデザインを自社の実績として掲載できるかは、著作権の帰属だけでなく、制作契約の掲載条件、守秘義務、公開時期、第三者の権利を照合して決めます。自分で制作して納品した事実だけを理由に、自由に公開できると判断するのは危険です。

掲載してよい条件が契約書にあるなら範囲を確かめる

制作契約書に「受注者は完成後に自社サイトで成果物を制作実績として紹介できる」と明記されていれば、基本的には取り決めの範囲で掲載を検討できます。ただし、媒体や対象物が限られている可能性があるため、掲載が許される写真、社名、制作画面、公開時期まで条文を読みます。

たとえば「企業Webサイトの実績ページに掲載可能」とあっても、SNS広告での再利用や第三者の動画サイトへの転載まで含むとは限りません。後から公開場所を増やす予定があるなら、用途ごとに合意範囲を分けておくと運用しやすくなります。

契約書に規定がなければ著作権と守秘義務を分ける

文化庁の「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」5-13は、取引先へ提供した成果物をホームページやSNSで実績紹介する場合を直接扱っています。著作権が制作者に留保されている場合、著作権法上の掲載は可能としつつ、契約の存在自体が秘密となることもあるため守秘義務への注意が必要と説明しています。

著作権が取引先へ移っている場合には、作品の複製やインターネットでの送信が著作権者の権利に関わるため、原則として取引先の同意が必要です。著作権の位置付けが確認できないなら、自己判断で画像を公開せず、契約・発注書・メール等を照合してから取引先へ確認します。

許諾を得るときは掲載する内容を具体化する

「実績に使っていいですか」だけでは、相手が何に同意したか明確になりません。対象の制作物、表示する社名、掲載媒体、公開日、掲載期間、加工の有無、削除依頼を受けた場合の対応を一組にして説明することが実務上有効です。

承認を受けた最終版のスクリーンショットや紹介文を、実際の掲載予定の状態で提示する方法も考えられます。取引先が承諾した後でも、契約上の制約や第三者素材の権利関係が自動的に解消するわけではないため、確認先を一つに限定しないことが大切です。

制作実績の著作権は誰にある?譲渡・利用許諾・人格権を区別

著作権留保・譲渡・掲載許諾の有無による実績掲載の判断図

納品した作品の所有と著作権の帰属は必ずしも同じではありません。発注契約の権利条項を確認する際は、著作権の譲渡なのか、利用許諾なのか、実績公開に関する別の条項なのかを順番に読み分けます。

納品や支払いだけで著作権移転を決めつけない

著作物については、原則として創作した人に著作権が生じますが、職務著作などの法定要件や当事者間の契約により帰属が異なる場合があります。制作料の支払いを受けたという事実だけで、あらゆる制作物の著作権が必ず発注者へ移ると決めつけることはできません。

制作契約書に「著作権は納品時に譲渡する」「特定用途での利用を認める」などの定めがあれば、その対象と効力を確認します。デザイナーの個人制作、法人の従業員による制作、外部クリエイターへの再委託では、確認すべき権利関係も異なります。

著作権譲渡済みの作品は実績掲載の同意を確認する

文化庁の公式FAQは、取引先に著作権を譲渡した後の実績掲載が、複製権・公衆送信権に関わる場合、原則として取引先の同意が必要と説明しています。制作に関与したことを示したい場合でも、完成画像をそのまま再掲載する行為には別の判断が必要です。

公開されている成果物だからといって、自由に自社サイトへコピーできるとは限りません。引用の規定が問題になる場合もありますが、出典を記載するだけで当然に引用が成立するものではなく、要件を満たすか個別に検討します。実務上は明示的な許諾の方が整理しやすい場合があります。

著作者人格権と実績公開の可否を混同しない

著作権法には、著作権とは別に公表権・氏名表示権・同一性保持権などの著作者人格権があります。著作者人格権不行使の条項があっても、それだけで制作者による実績公開が全面的に禁止されるわけではありません。

逆に、著作者人格権を持つことが、秘密保持契約や譲渡済み著作権を無視して自由に公開する根拠になるわけでもありません。クレジット表記や画像のトリミングに条件があるときは、その条件も含めて最終表示の承認を確認します。

守秘義務がある場合に取引先名や制作物を公表できる?

実績公開時に守秘義務を確認する取引事実と未公開情報の区分図

実績紹介で見落としやすいのが、成果物そのものではなく「その会社から受注した」という取引関係や制作過程の情報です。秘密保持契約(NDA)と制作契約の両方を見て、公表が制限される対象を確認します。

取引関係自体が秘密情報になっていないか

NDAに「契約の存在・取引の事実・交渉内容も秘密とする」と定められていれば、社名だけを掲載することでも義務違反が問題になる場合があります。会社名は一般に公開されていても、その会社と制作取引をしたという事実はまだ公開されていないことがあります。

取引先から「ロゴは公開済みなので使ってよい」と言われた場合も、実績文に担当業務や契約関係を書くことまで同意しているのかを確認しましょう。契約上の秘密情報の定義、除外事項、開示承認の方法を読み、例外に当たると自己判断しないようにします。

公開済みのサイトでも制作過程は非公開の場合がある

公開されたホームページのデザインを紹介するだけなら比較的整理しやすい場合でも、提案時の未採用案、アクセス解析、広告予算、制作費、社内の修正指示などは別の情報です。完成物が公開されたからといって、制作過程の全資料まで公開可能になるとは限りません。

制作実績の紹介文では「何を担当したか」「どの範囲を紹介してよいか」を確定しておきましょう。具体的な内部数値を出せない場合は、確認済みの一般的な表現にとどめ、成果を誇張する数値や実在しない取引先の推薦コメントを加えないことも重要です。

守秘義務の終了時期と掲載許可は別に確認する

秘密保持契約には、契約終了後も一定期間義務が続く定めがある場合があります。取引が終わった、制作物を納品した、公開から時間が経ったという事情だけで守秘義務が終了したと扱うべきではありません。

公開許可を得る場合は、既存の秘密保持義務との関係を明確にするのが安全です。例えば「添付の掲載予定内容に限り、契約の秘密保持条項にかかわらず公開を承諾する」など具体的な合意を検討できますが、実際の文言は契約内容に合わせて確認してください。

実績ページに何を載せる?社名・ロゴ・画面・数値の確認項目

制作実績の社名・ロゴ・画面画像・成果数値・写真素材・説明文の掲載許諾確認表

制作実績には複数の情報が含まれます。「この案件を掲載してよい」という一括の判断ではなく、社名・ロゴ・成果物画像・説明文・数値を別々に点検すると、許諾の範囲が明確になります。

取引先名とロゴは個別に掲載範囲を決める

社名の表示を許されたとしても、ロゴ画像の転載、推薦文の表示、公式な協力関係を示唆する表現まで同じ範囲で認められるとは限りません。ブランドガイドラインや、ロゴ利用の承認方法を取引先に確認する対応が考えられます。

取引先が匿名での掲載だけを認める場合は、「都内の小売業者のWebサイト制作」のように情報をぼかすこともあります。ただし、所在地や案件の細部を組み合わせると取引先が特定される可能性があるため、匿名表現でも相手の事情を確認します。

制作画面とサムネイルは掲載する版を特定する

Webサイト全体のスクリーンショットには、制作会社が作成したデザイン以外に写真、イラスト、ブランド素材、文章などが含まれることがあります。掲載するのがトップページのみなのか、下層画面まで含むのか、PC表示かスマートフォン表示かも合意の対象として確認します。

公開済み画面を引用する場合の法律上の判断と、取引先との掲載許諾は別に整理します。画像に管理画面や顧客情報が写っていないかを確認し、加工が認められている場合も、実物と異なる印象を与える編集をしないことが望ましいでしょう。

売上・成果指標・コメントは出典と許諾を確認する

「問い合わせが倍増した」「売上が大きく伸びた」といった成果情報は、公開元が明確でなければ誤解を招きます。取引先が承認していない分析値や、実測値ではない推定値を実績として書くことは避けてください。

具体的な数値を載せる場合は、対象期間、指標、測定条件、誰が確認した数値かを記録します。取引先のコメントも、実際に本人が述べた内容と掲載に同意した文言を照合し、広告用の表現へ勝手に言い換えないようにします。

顔写真・個人情報・第三者素材を含む制作実績はどう確認する?

人物写真・第三者素材・外部制作者の権利確認項目

発注者が制作物の掲載に同意しても、写っている人や素材提供者の権利まで一律に処理できるとは限りません。ホームページの実績紹介では、人物や第三者制作の素材を含む画面を掲載しがちなので、別の確認が必要になります。

人物写真は個人情報と肖像権を分けて確認する

個人情報保護委員会は、本人を識別できる写真が一般に個人情報に当たる一方、個人情報保護法上の同意の要否は個人データに該当するかなどで変わると説明しています。法令上の第三者提供の規定に触れない場合でも、肖像権やプライバシーの侵害が問題になることがあります。

そのため、人物が識別できる制作画面、インタビュー写真、店舗の利用者が写る動画を再掲載するときは、必要に応じて被写体の承諾と利用目的を確認する方針が実務的です。顔をぼかせばすべて解決するわけでもなく、名前や周囲の情報から特定されないかも確認しましょう。

写真素材・イラスト・BGMの利用範囲を照合する

制作物に有料写真素材、ストック動画、フォント、音楽、モデル写真などが入っている場合は、元のライセンスが自社ポートフォリオでの再利用まで許すかを確認します。取引先サイトで使用できるライセンスが、制作会社の別サイトにも無条件で及ぶとは限りません。

素材が第三者から提供された場合、その提供元に利用権限があるかも別の論点です。許諾が不明な要素は無理に残さず、掲載画像の差し替えや掲載範囲の縮小を相談してください。第三者のロゴやキャラクターを含む場合も確認の対象に含めます。

共同制作・再委託があるときは制作担当者を整理する

社外デザイナー、撮影会社、ライターなどが関わる案件では、制作会社と取引先だけの合意で権利関係の確認が終わるとは限りません。誰がどの素材を作り、著作権の帰属や利用許諾がどの契約で定められたかを整理します。

実績ページで「当社がすべて制作」と表示すると、実際の担当範囲を超えて誤認させるおそれがあります。企画・デザイン・コーディング・撮影など実際に担当した範囲を明確にし、クレジット表記の合意も確認してください。

制作実績掲載の許諾には何を書く?確認しておきたい8項目

制作実績掲載同意書で決める対象・媒体・情報・公開時期・加工・期限など八項目

許諾内容は「掲載可」の二文字だけでなく、後から社内で再現できる単位で残すと役立ちます。許諾書を作る場合も、案件の規模と媒体に応じて必要な項目を選び、既存の制作契約やNDAと矛盾しないようにします。

対象成果物・掲載先・掲載目的を明確にする

最初に、どの制作物のどの部分を載せるか、公開先が自社サイトなのかSNSなのか、営業資料にも使うかを整理します。同じ画像をホームページの実績一覧とSNS広告に用いる場合は、利用目的や広がり方が異なるため、媒体ごとに承諾を確認する方法が考えられます。

掲載が許可された版をファイル名やスクリーンショットで特定しておくと、社内の担当者が変わっても運用しやすくなります。制作物の正式公開前なら、公開可能日または先方の承認連絡を待つ条件も記録します。

社名・加工・クレジット・掲載期限を分ける

取引先名を実名で出すのか、匿名表記にするのか、ロゴを用いるのかは一つずつ確認します。トリミングや画像のぼかし、文章の要約、制作者名の表示なども、元の作品とブランドの見せ方に関わるため、必要な範囲を決めます。

掲載期限を設けるか、継続掲載にするかも事前に決めておくと、取引終了後の相談がしやすくなります。許諾内容を後から変更するときは、担当者同士の口頭のやりとりだけに頼らず、変更した範囲を確認できる記録を残します。

削除・修正の連絡窓口と権利の留保を定める

掲載後に誤記や権利上の問題が見つかった場合に備え、修正・削除を依頼する窓口と対応手順を取り決めます。削除の要請があった際の調整方法や、二次利用に再承認が必要かについても整理すると実務に沿ったものになります。

掲載同意書は、一般に実績紹介という利用目的を確認するための文書です。既存の制作契約で定めた著作権の帰属を無断で変更するものではないと明確にし、第三者の権利処理が済んでいるかは別途確認する必要があります。

取引先へ実績掲載の許可をお願いするには?依頼文と確認手順

掲載案の準備から契約確認・承認依頼・保存までの五段階

掲載の依頼は、まず契約で認められる範囲を整理してから、見せたいページの草案と一緒に送る方法が考えられます。取引先が確認しやすい形にすれば、掲載可能な部分だけ承認を受ける運用にもつながります。

依頼前に掲載候補ページの下書きを用意する

先方に「制作実績として紹介したい」と連絡する前に、公開予定の画像、見出し、社名表示、実績説明文、公開日を一つの確認用資料にまとめます。掲載するスクリーンショットやサムネイルが最終版か、写ってはいけない情報がないかを社内でも点検します。

複数のSNSへ投稿したい場合は、公開先をすべて列挙するか、段階的に同意を求めます。先方が何も返答しない場合を「承諾」と扱わず、事前に承認を得る運用としておけば、確認漏れを防ぎやすくなります。

依頼文には許諾してほしい範囲を短く示す

文面例として、架空のA社との制作案件なら「貴社サイトのトップページ画面と、当社が担当したデザイン部分を、当社ホームページの制作実績として掲載したく存じます。社名の表示と添付プレビューの掲載可否をご確認ください」と具体的に伝えます。

この例は許諾を依頼するための参考文であり、あらゆる取引にそのまま使用できる法的な完成書式ではありません。既存NDAで取引事実の公表が禁止されている場合や、承認者が決まっている場合は、その手順を優先します。

承諾の返信が来たら範囲を照合して保存する

先方から「画像のみ可、社名は匿名で」「Webサイトは可、SNSは不可」など条件付きの回答が来ることがあります。社内の掲載担当者は、その条件を最終公開ページへ反映し、先方の回答と公開版を対応付けます。

承認のやり取りはメールや電子的な書面にまとめて案件別に保管します。画像だけ承諾されたのに文章を追加する、別媒体へ再利用するなど、許諾範囲を広げる場合は再確認する必要があります。

契約書に実績掲載条項がないときはどうする?

契約に実績掲載条項がない場合の権利確認と個別許諾の進め方

古い制作契約書では、著作権の帰属と秘密保持が定められていても、ポートフォリオへの掲載について触れられていないことがあります。条項が見当たらない場合の実務は、契約の読み直しから始めるのが合理的です。

まず著作権と秘密保持の条文を読み直す

実績掲載条項だけを探して終わらず、著作権譲渡、利用許諾、成果物の利用制限、契約の存在に関する守秘義務、秘密保持期間まで確認します。制作物の権利が誰にあるかに加えて、取引先名を出すことや案件情報の共有が禁じられていないかを見ます。

契約の解釈に争いがある場合は、書類の表題や一つの条文だけで結論を出さないようにします。契約書本文、個別発注書、別紙、メールでの補足合意を一組として確認し、必要に応じて専門家の見解を求めます。

掲載を希望する範囲だけ後から承諾を得る

契約で明確な規定がない場合でも、文化庁のFAQは、取引先から個別に実績掲載への同意を得る方法を示しています。公開対象を限定した同意書や合意メールで、後から許諾内容を確認できるようにする運用が考えられます。

ただし、著作権者以外の写真素材や肖像権まで発注者の承諾で一括処理できるわけではありません。完成画像のどの部分に第三者の権利が含まれるかも確認し、権利者の承諾が必要な素材を避ける対応を検討します。

引用という説明で無断の実績掲載を正当化しない

著作権法32条の引用は、公表された著作物について、公正な慣行に合致し、目的上正当な範囲で行うなどの要件があります。出典を書けば自由に作品画像を再掲載できるという一律の例外ではありません。

ポートフォリオは作品そのものを魅力的に見せることが目的になりやすいため、引用に当たるかを安易に決めるべきではありません。引用の法的判断に頼るより、対象と媒体を定めて許諾を得る方が実務上明確になる場合があります。

公開前の案件・SNSへの転載・匿名掲載はどう扱う?

実績の公開時期とWeb・SNS・匿名掲載を分ける確認表

制作物が完成しただけでは、取引先の情報公開スケジュールと一致するとは限りません。ホームページの実績一覧とSNSでの告知は、公開日や拡散範囲が異なるため、同じ許諾で扱えるかを改めて確認します。

取引先の正式発表より前に出さない

新商品やサービスのローンチ前に実績紹介を公開すると、取引先の広報計画を先に明らかにしてしまう場合があります。公開日が決まっているときは「先方が一般公開した後」という条件だけでなく、公開確認の担当者や時点も整理します。

公開前の制作過程を制作日記として発信したい場合も、未採用案や社内向け管理画面など、機密性の高い資料を含み得ます。契約上の公表条件と承認フローを優先し、情報公開前のプレビューを外部に置かない運用が安全です。

SNSへの再掲載は別の許可が必要か確認する

自社ホームページへの掲載を許可されたからといって、XやInstagramの投稿、広告への転用、動画配信サイトでの紹介まで許されたとは限りません。SNSはスクリーンショットや共有による拡散を完全に制御できないことも踏まえ、媒体を具体的に伝えます。

実績紹介ページへのリンクをSNSで知らせる行為と、制作画像自体をSNSへ転載する行為でも扱いが異なる場合があります。後者では写真素材やBGMの利用範囲が問題になることもあるため、予定する表現に合わせて確認します。

匿名掲載でも案件が推測できるか点検する

社名を伏せても、特徴的なロゴ、画面デザイン、場所、公開時期、業界を組み合わせると特定される場合があります。匿名公開が許されている案件では、特定につながる情報を削るだけでなく、説明文や画像の組み合わせを取引先と確認することが望まれます。

匿名化の目的が取引事実そのものを守ることにある場合は、実績紹介という形式を採らない方が適切なこともあります。公開を急がず、許諾の対象と制約を整理してから掲載の是非を判断しましょう。

掲載後に削除や修正を求められたらどう対応する?

制作実績の削除や修正依頼を受けたときの対応フロー

掲載時に承諾を得ていても、事情の変更や誤記、権利関係の指摘が生じることがあります。担当者の判断だけで論争を続けず、対象と問題点を確認して記録を残す運用が実務的です。

削除依頼の内容と根拠を確認する

「社名だけ消してほしい」「写真素材を差し替えてほしい」「ページ全体を非公開にしてほしい」など、依頼の内容を切り分けます。個人情報や秘密情報が漏れている可能性がある場合は、拡散防止や一時的な公開停止を優先して検討します。

法律上の削除義務があるかどうかは、権利の帰属、契約条項、実際の掲載内容によって異なります。相手の要望に応じることと法的責任を認めることは同じではないため、事実確認と対応方針を分けて進めることが重要です。

修正履歴と許諾の版を残す

公開中のページを変更したら、変更前の表示、先方の依頼、社内の判断、修正後の画面を必要な範囲で保存します。担当者が交代しても、どの許諾に基づいて掲載されているかが分かる状態をつくります。

公開ページを修正しただけで、SNSや外部の転載先、過去の営業資料が自動的に修正されるとは限りません。利用した媒体の一覧を作り、取引先との約束の範囲で対応します。

次回の契約に掲載承認の運用を反映する

同じ行き違いが続く場合は、制作開始時の契約書に実績掲載の選択肢を用意する方法があります。「不可」「事前承認」「一定の条件で可」を分け、公開時期や素材の範囲を後から調整できる仕組みを検討します。

ただし、過去案件の許諾条件を一方的に書き換えることはできません。新規契約への反映と既存契約の追加合意を区別し、個別の相手に適用される条項を管理します。

架空のWeb制作案件で実績掲載の判断をたどる

架空の採用サイト制作案件で著作権譲渡とNDAを踏まえて掲載許諾を確認する流れ

ここでは、架空の制作会社Bが、架空の企業Aの採用サイトを制作したケースを考えます。実在するマイサイン利用者や実績ではなく、判断手順を説明するための例です。

納品後に実績公開を希望したがNDAがある

B社はA社の採用サイトを納品し、自社サイトに制作実績を掲載したいと考えます。契約には著作権をA社へ譲渡する条項と、プロジェクト情報の秘密保持条項がありました。この場合、B社が制作に参加した事実だけでは、完成画面の再利用や案件名の公表を自由に行えるとは判断できません。

まずB社は、NDAと制作契約書の条文を確認し、採用サイトの公開日、掲載したい画像、担当した作業範囲を整理しました。公開したい範囲と権利関係が確認できるまで、実績ページを公開しない方針とします。

画像と社名の表示について個別の許諾を得る

B社はA社に、採用サイトの公開後にトップページのスクリーンショット一枚を実績ページへ掲載し、社名は匿名、SNSでの画像転載はしないという条件を提示します。A社はこの範囲に限定して承諾したと仮定します。

この例では、写真素材のライセンスにも再掲載の制限がないかを別途確認します。写真の利用条件が確認できない場合、B社は掲載画像の変更や該当部分の除外を相談します。A社の承諾だけで素材提供者の権利が自動的に処理されるわけではありません。

許諾内容と公開版を一組にして保管する

B社は承諾メール、掲載する画面の版、公開日、公開URLを案件ごとに保存します。後からSNS投稿を追加したい場合は、今回の承諾に含まれないため、別途相談することにしました。

重要なのは、許諾を得ること自体だけでなく「何を許されたか」を再現できることです。実務では公開ページの担当者が複数に分かれるため、法務・営業・制作のそれぞれが同じ承認版を確認できる状態を目指します。

マイサインで制作実績掲載同意書を使って許諾を記録する方法

口頭やチャットで済ませるより、掲載範囲を文書に残すと担当者が変わっても確認しやすくなります。マイサインには「制作実績掲載同意書」のひな型ページがあり、実務で確認したい項目を整理する際の出発点になります。

制作実績掲載同意書のひな型から確認項目を整理する

マイサインの制作実績掲載同意書では、対象成果物、掲載媒体、掲載できる情報の範囲、秘密情報、公開時期、修正・削除、掲載停止、第三者の権利などを扱っています。取引先と許諾する内容をすり合わせるための参考資料として利用できます。

ひな型を使う場合も、既存の制作契約やNDAと食い違う条文がないかを確認し、実際の許可対象に合わせて内容を調整してください。ひな型を利用するだけで、著作権や個人情報に関する問題がすべて解消されるわけではありません。

取引先との同意を通常契約で取り交わす

相手と文面が確定したら、マイサインの通常契約を使い、作成した同意書をメールで送ってオンラインで署名・同意を受ける方法があります。相手はマイサインのアカウント登録なしで手続きを進められ、締結後のPDFも管理できます。

ただし、電子契約にすることと、同意書の内容が法律や既存契約に適合していることは別です。送信前に対象画像、社名表示、許諾の範囲、署名する担当者の権限を確認してください。契約書の修正がある場合は最終版を確定してから送信します。

締結した同意書と実績ページの版をひも付ける

許諾書の締結後は、実際の掲載ページURLと掲載画像、承諾日、変更履歴を案件管理台帳へ記録すると実務上便利です。マイサインの書類管理は、締結済みの契約書やPDFの保管・検索に利用できます。

マイサインが実績ページの掲載内容を自動審査する機能を持つと説明するものではありません。公開前の最終チェックは利用者自身が行い、許諾した範囲に変更が生じた場合は再確認する運用が必要です。

制作実績を公開する前の最終チェックリスト

ホームページへの実績掲載は、公開後の訂正よりも公開前の確認が容易です。次の項目を制作担当者と取引先担当者で共有し、判断できないものは公開を保留して確認先を特定してください。

  • 制作契約書・個別発注書の実績掲載条項を確認した
  • 著作権の帰属と再利用の許諾範囲を確認した
  • NDAに取引関係や制作内容の公表制限がないか確認した
  • 掲載する成果物と画像の最終版を特定した
  • 社名・ロゴ・成果物・数値の掲載可否を個別に確認した
  • 写真・フォント・音楽等の第三者素材と人物写真を確認した
  • ホームページ・SNS・営業資料の許諾媒体を区別した
  • 取引先の正式公開日より前に掲載しない条件を確認した
  • 相手の承認者と承認記録を確認した
  • 掲載停止・修正の窓口と公開済みURLの管理方法を定めた

同意を得ていても、取引条件や素材ライセンスをすべて解消できるとは限りません。許諾された版と最終公開ページを照合し、条件付き承諾ならその条件が実際の表示へ反映されているかを確認してください。

制作実績のホームページ掲載に関するよくある質問

法律上の権利と契約上の条件は別々に検討する必要があります。特に相談が多い実務上の疑問を、一般的な考え方として整理します。

自分で制作したWebサイトなら実績に自由に掲載できますか?

自分が制作したという事実だけで一律に判断できません。著作権の帰属、制作契約の実績掲載条項、秘密保持義務、第三者素材の権利などを確認してください。文化庁の公式FAQでも、著作権が制作者にあっても守秘義務への注意が必要とされています。

取引先のWebサイトが公開済みならスクリーンショットを使えますか?

公開済みであっても、著作権の譲渡や利用許諾、取引先との約束、写真素材などの問題は残り得ます。公開されていることだけで転載が認められるとは限りません。

著作権を取引先に譲渡済みでも制作実績を紹介できますか?

原則として、作品画像を再掲載する場合には権利者の同意が必要になると文化庁の公式FAQは説明しています。制作実績として許可する条項や個別合意があるかを確認してください。

NDAがあると社名だけの掲載もできませんか?

契約の存在や取引関係が秘密保持の対象になっている場合、社名だけの紹介も制限され得ます。NDAの定義・例外・承認方法を確認し、必要なら個別に許諾を得てください。

メールで掲載許可をもらえば同意書は不要ですか?

掲載対象と媒体、期間、条件、承認者の権限が明確であればメールが合意の証拠になる可能性はあります。ただし、既存契約で変更方法などが指定されていないか確認してください。重要な取引では同意書に整理する方法もあります。

取引先のロゴや担当者の写真も一緒に載せてよいですか?

社名の掲載許可があることと、ロゴの利用や人物写真の利用が許されることは別です。ブランドガイドライン、肖像権、個人情報、素材ライセンス等を必要に応じて確認してください。

匿名なら取引先の許可を得ずに公開してよいですか?

社名を伏せても、画面や案件の特徴から取引先を推測できる場合があります。秘密保持義務があるなら匿名化だけで当然に解除されるわけではありません。公開内容と契約を照合してください。

実績掲載の許諾を撤回されたら必ず削除しなければなりませんか?

法的な扱いは許諾条件、契約、著作権その他の権利により異なります。権利侵害や情報漏えいの疑いがあれば早期の一時停止も検討し、依頼内容を記録して対応を判断してください。

まとめ:著作権と守秘義務を確認して許諾した範囲だけ掲載する

制作実績をホームページに掲載する前には、制作契約、著作権の帰属、NDAの守秘義務、掲載する情報の種類を照合することが基本です。著作権が自分にあっても秘密保持義務で公表が制限される場合があり、逆に取引先へ著作権を譲渡していれば、作品画像の再掲載に原則として権利者の同意が必要になります。

最初の実務として、掲載したい成果物の画像と説明文を一つにまとめ、社名・媒体・公開日・編集・削除の条件を明記して取引先へ確認してください。承認を得た版と公開URLを案件別に保存しておけば、営業担当者が変わっても実績紹介を管理しやすくなります。

参考にした一次情報とマイサインの関連記事

以下の公的資料で、成果物の実績紹介、著作権、営業秘密、個人情報・肖像に関する一般的な考え方を確認できます。実務で適用する際は最新情報と個別事情を照合してください。

取引に使用する文書を探す場合は、制作実績掲載同意書のひな型も参考にしてください。関連する実務解説として、秘密保持契約を結ぶ時期と商談前の注意点、契約書の修正依頼手順を紹介しています。

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