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アニメ制作基本契約書

アニメ制作基本契約書は、アニメ制作会社と発注者が継続的に制作業務を行う際の基本条件を定める契約書です。制作範囲、個別発注、納品・検収、制作費、著作権、再委託、秘密保持、生成AIの利用、契約解除など、アニメ制作取引に必要な事項を整理しています。

契約書名
アニメ制作基本契約書
バージョン / ファイル
1.00/ Word
作成日 / 更新日
特徴
アニメ制作における継続取引を想定し、制作工程から著作権・権利処理まで基本的な取引条件を包括的に定めている。
利用シーン
アニメ制作会社へシリーズ作品の制作を継続的に発注する/元請制作会社が制作会社と複数案件に共通する基本条件を定める
メリット
案件ごとに個別契約を締結しながら、制作費、納品・検収、著作権、再委託などの共通ルールを統一できる。
ダウンロード数
7件
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アニメ制作基本契約書とは?

アニメ制作基本契約書とは、アニメーション作品の制作を継続的に発注・受注する当事者間で、制作業務に共通する基本的な取引条件を定める契約書です。アニメ制作では、企画、脚本、絵コンテ、キャラクターデザイン、レイアウト、原画、動画、背景美術、仕上げ、3DCG、撮影、編集、音響など、多数の工程が関係します。また、制作会社だけで完結するとは限らず、各工程を別の制作会社やクリエイターへ再委託するケースもあります。そのため、案件が発生するたびにすべての契約条件を一から決める方法では、契約手続が煩雑になるだけでなく、案件ごとに条件が異なってしまう可能性があります。

そこで、継続的な取引を予定している場合には、アニメ制作基本契約書によって、

  • 制作業務の基本的な範囲
  • 個別契約の成立方法
  • 制作スケジュール
  • 仕様変更への対応
  • 納品・検収
  • 制作費・支払方法
  • 再委託
  • 著作権その他の知的財産権
  • 著作者人格権
  • 第三者の権利処理
  • 生成AI等の利用
  • 秘密保持
  • 契約解除

などの共通ルールをあらかじめ定めておく方法が考えられます。そして、作品名、制作内容、納期、制作費など案件ごとに変わる条件については、個別契約、発注書、注文書等で定める構成にすることで、継続的なアニメ制作取引を管理しやすくなります。

アニメ制作基本契約書が必要となるケース

アニメ制作基本契約書は、特に同じ当事者間で複数の制作案件を継続して行う場合に利用しやすい契約書です。代表的な利用ケースとして、次のようなものがあります。

  • アニメ制作会社へ継続的に制作を発注する場合
    シリーズ作品や複数タイトルなど、継続して制作を依頼する場合に、共通する契約条件を基本契約としてまとめることができます。
  • 元請制作会社が他の制作会社へ工程を委託する場合
    原画、動画、背景、美術、撮影、3DCGなどの制作業務を継続的に外部へ依頼する場合に利用できます。
  • 企業が広告・プロモーション用アニメを継続発注する場合
    企業PV、Web広告、SNS動画、商品紹介アニメなどを継続的に制作会社へ発注する場合にも基本契約方式を利用できます。
  • 複数話・複数エピソードを制作する場合
    各話について納期や制作費などを個別に決めながら、知的財産権や秘密保持などの共通条件を統一できます。
  • 長期間にわたるアニメ制作プロジェクトを実施する場合
    制作期間が長期にわたる場合には、仕様変更、制作遅延、追加費用、権利処理などについて事前にルールを設定しておくことが重要になります。

基本契約と個別契約を組み合わせることで、すべての案件について長文の契約書を締結する必要がなくなり、個別案件では作品固有の条件を中心に定めることができます。

アニメ制作基本契約書に盛り込むべき主な条項

アニメ制作基本契約書では、一般的な業務委託契約の内容だけではなく、制作物や著作権を取り扱う取引であることを踏まえた条項設計が重要です。主な条項として、次の事項が挙げられます。

  • 契約の目的
  • 基本契約の適用範囲
  • 個別契約の成立方法
  • 委託業務の内容
  • 制作仕様・制作指示
  • 制作進行・進捗報告
  • 支給素材の取扱い
  • 仕様変更・追加作業
  • 納品・検収
  • 制作費・支払条件
  • 再委託
  • 成果物の知的財産権
  • 著作者人格権
  • 第三者の権利処理
  • 生成AI等の利用
  • 秘密保持
  • 個人情報の取扱い
  • 制作実績の公表
  • 契約内容への不適合
  • 損害賠償
  • 不可抗力
  • 契約解除
  • 中途終了時の取扱い
  • 反社会的勢力の排除
  • 契約期間
  • 準拠法・合意管轄

特にアニメ制作では、制作物そのものに著作権が発生する可能性があるため、成果物の利用と権利帰属について曖昧な状態を残さないことが重要です。

条項ごとの解説と実務ポイント

1. 基本契約と個別契約

アニメ制作基本契約では、まず基本契約と個別契約の関係を明確にします。基本契約には、知的財産権、秘密保持、再委託、損害賠償など、複数案件に共通して適用したい条件を定めます。

一方、個別契約では、

  • 作品名
  • 制作対象
  • 制作範囲
  • 仕様
  • 納期
  • 納品形式
  • 制作費
  • 支払期日

など、案件によって変化する条件を定めます。また、基本契約と個別契約の内容が矛盾した場合にどちらを優先するかも定めておくことが重要です。例えば、通常は基本契約の条件を適用しながら、特定作品についてのみ異なる著作権条件を採用する場合には、個別契約を優先させることで対応できます。

2. 委託業務の範囲

アニメ制作といっても、その業務内容は案件によって大きく異なります。企画から完成映像まで一括して委託する場合もあれば、原画や動画、背景、撮影など特定工程のみを委託する場合もあります。そのため、契約書では制作業務として想定される範囲を示したうえで、実際の委託範囲を個別契約で特定する方法が利用できます。業務範囲が曖昧だと、発注者が当然含まれると考えていた作業を制作会社が追加作業と判断するなど、制作費をめぐるトラブルにつながる可能性があります。

3. 制作仕様・制作指示

アニメ制作では、発注時の抽象的なイメージだけでは完成形を正確に共有できないことがあります。

そのため、必要に応じて、

  • 仕様書
  • 設定資料
  • キャラクター資料
  • 絵コンテ
  • 参考映像
  • 制作指示書

などを利用し、制作条件を具体化することが重要です。制作途中で認識の違いが判明すると、大規模な修正が必要になる可能性があります。制作会社側も、指示内容に疑義がある場合には確認する仕組みを契約上設けておくと、認識違いを防止しやすくなります。

4. 制作進行・スケジュール

アニメ制作は複数の工程が連続するため、一つの工程の遅延が後工程へ影響することがあります。そのため、単に最終納期だけを設定するのではなく、必要に応じて中間工程についてもスケジュールを設定することが考えられます。また、納期遅延のおそれが発生した場合には、制作会社が速やかに発注者へ報告するルールを設けておくことも重要です。早い段階で遅延を把握できれば、制作工程の変更、納品範囲の調整、人員追加などについて協議する余地が生まれます。

5. 支給素材

発注者から制作会社へ、原作、脚本、キャラクター設定、画像、映像、音声、楽曲、ロゴなどが提供されることがあります。こうした支給素材には、発注者や第三者の重要な知的財産が含まれる可能性があります。

そのため、契約書では、

  • 本業務以外の目的に使用しないこと
  • 無断で第三者へ提供しないこと
  • 必要以上に複製しないこと
  • 業務終了後に返還・削除・廃棄すること

などを定めておくことが重要です。

6. 仕様変更・追加作業

アニメ制作では、制作途中で演出やデザインなどの変更が発生する場合があります。問題になりやすいのが、その変更が当初の制作費に含まれる修正なのか、新たな追加作業なのかという点です。そこで、個別契約成立後に発注者が仕様変更を求める場合には、変更内容だけでなく、

  • 追加作業の内容
  • 追加制作費
  • 納期への影響

について協議する仕組みを設けておくことが重要です。変更指示を口頭だけで進めると、後から追加料金の認識が食い違う可能性があります。重要な変更については、発注書、変更合意書、電子メール等で記録を残しておく方法が考えられます。

7. 納品・検収

成果物が完成したら、制作会社が納品し、発注者が内容を確認します。

このとき重要になるのが検収です。

検収条項では、

  • 検収期間
  • 検収基準
  • 不備があった場合の通知方法
  • 修正方法
  • 検収完了の時点

などを整理しておくことが考えられます。また、当初の仕様に適合させるための修正と、発注者による新しい要望に基づく追加修正を区別することも重要です。後者については追加制作費や納期変更が必要になる場合があるためです。

8. 制作費・支払条件

制作費については、単に総額だけを定めるのではなく、支払条件まで明確にしておくことが重要です。

例えば、

  • 制作費総額
  • 着手金の有無
  • 中間金の有無
  • 検収後の支払額
  • 請求書の発行時期
  • 支払期日
  • 振込手数料の負担
  • 追加費用の取扱い

などを個別契約で定める方法があります。外部スタジオ費や特殊な制作費用などが発生する案件では、それらが制作費に含まれるのか、別途精算するのかについても確認しておくとよいでしょう。

9. 再委託

アニメ制作では、多数のクリエイターや制作会社が工程ごとに関与することがあります。そのため、再委託を全面的に禁止すると、実際の制作体制と契約内容が合わなくなる可能性があります。一方で、自由な再委託を認めるだけでは、秘密情報や知的財産の管理が難しくなる場合があります。そこで、再委託を認める場合でも、再委託先に対して秘密保持や知的財産権に関する必要な義務を負わせ、元の受託者が再委託先の業務について責任を負う仕組みを定めておくことが重要です。

10. 成果物の著作権・知的財産権

アニメ制作基本契約の中でも、特に慎重に定める必要があるのが知的財産権です。

成果物について、

  • 発注者へ著作権を譲渡するのか
  • 制作会社に著作権を残して利用許諾するのか
  • どの段階で権利が移転するのか
  • 著作権法第27条・第28条の権利を含めるのか
  • 既存素材の権利をどう取り扱うのか

などを明確にする必要があります。特に著作権を譲渡する場合には、著作権法第27条及び第28条に規定される権利を譲渡対象とするかについて契約上明確にしておくことが重要です。また、制作会社が契約締結前から保有していた制作素材、ツール、ノウハウ等についてまで一律に発注者へ移転する内容にならないよう、既存の知的財産について区別しておくこともポイントです。

11. 著作者人格権

著作権の譲渡とあわせて確認したいのが著作者人格権です。著作者人格権は著作者に認められる人格的な権利であり、著作権とは異なる取扱いが必要になります。そのため、成果物の利用、編集、改変等が予定される場合には、実際の制作関係や利用方法を踏まえて著作者人格権について適切な条項を設けることが重要です。さらに、制作会社が外部クリエイター等を制作に参加させる場合には、そのクリエイターとの契約における権利処理についても確認する必要があります。

12. 第三者の権利処理

成果物の中に第三者の素材が含まれている場合には、その利用権限が問題となります。

例えば、

  • フォント
  • 写真
  • イラスト
  • 映像素材
  • 音源
  • 効果音
  • 3D素材

などです。

誰が選定した素材なのかによって、権利処理を担当する当事者を整理することが重要です。

制作会社が独自に選定した素材については制作会社側、発注者から指定・提供された素材については発注者側が確認するなど、責任分担を契約上明確にしておく方法があります。

13. 生成AI等の利用

画像、映像、音声その他の制作工程において生成AI等を利用する可能性がある場合には、その取扱いについても事前に決めておくことが考えられます。

例えば、

  • 生成AIの利用を認めるか
  • 事前承諾を必要とするか
  • 利用可能な工程を限定するか
  • 秘密情報や未公開素材の入力を制限するか

などです。特に未公開のキャラクター設定、脚本、映像等を外部サービスへ入力する場合には、情報管理上の問題が生じる可能性があるため、制作方針と契約条件を一致させることが重要です。

14. 秘密保持

アニメ制作では、公開前の作品情報を取り扱うことが多いため、秘密保持条項も重要です。

秘密情報として、

  • 未公開作品の内容
  • 脚本・ストーリー
  • キャラクター設定
  • 絵コンテ
  • 制作途中の映像
  • 公開スケジュール
  • 取引条件
  • 制作費

などが対象になる可能性があります。秘密保持については、対象情報、利用目的、第三者への開示制限、法令等に基づく開示などを整理しておくことが重要です。プロジェクトで参照している契約書でも、秘密情報の定義、第三者開示、目的外利用、法令等に基づく開示といった事項が体系的に定められています。

15. 制作実績・ポートフォリオへの掲載

制作会社が完成作品を自社サイトやSNS、営業資料などで制作実績として紹介したいケースがあります。しかし、作品が公開前である場合や、発注者側の情報公開方針が定められている場合には、制作会社が独自に公表することが問題となる可能性があります。

そのため、

  • 制作実績として公表できるか
  • 公表できる時期
  • 使用できる画像・映像
  • 事前承諾が必要か

などについて整理しておくと、公開後のトラブルを防止しやすくなります。

16. 契約解除・中途終了

アニメ制作は長期間にわたることもあるため、制作途中で契約が終了する場合についても定めておく必要があります。特に重要なのが、途中まで制作された成果物や仕掛品の取扱いです。

契約終了時には、

  • 終了時点までの制作費
  • 完成済み成果物
  • 制作途中のデータ
  • 発生済みの外注費等
  • 成果物の引渡し
  • 著作権その他の権利関係

について整理する必要があります。単に解除できる旨だけを規定するのではなく、中途終了後の処理まで定めておくことで、制作途中の作品をめぐる紛争を防止しやすくなります。

アニメ制作基本契約書と個別契約書の違い

アニメ制作基本契約書は、継続的な制作取引全体に共通する条件を定める契約書です。これに対し、個別契約書は特定の作品や発注ごとの条件を定めるために使用します。

例えば、基本契約では再委託、秘密保持、損害賠償、契約解除などを定め、個別契約では、

  • 作品名
  • 話数
  • 制作工程
  • 納品物
  • 制作期間
  • 納期
  • 制作費
  • 検収期間

などを定める方法があります。この方式であれば、新しい案件が発生するたびに基本条件を交渉する必要がなくなり、案件固有の条件を中心に合意できます。

アニメ制作基本契約書を作成する際の注意点

アニメ制作基本契約書は、テンプレートをそのまま使用するのではなく、実際の制作体制や取引内容に合わせて調整することが重要です。

  • 制作範囲を明確にする
    元請として一括制作するのか、原画や背景など一部工程のみを受託するのかによって必要な条項が変わります。
  • 個別契約との優先関係を決める
    基本契約と個別契約で異なる内容が記載された場合に、どちらを優先するか明確にしておきます。
  • 修正と追加作業を区別する
    当初仕様に適合させる修正と、新しい要望による仕様変更を区別し、追加費用の発生条件を明確にすることが重要です。
  • 著作権の帰属を具体的に決める
    著作権を譲渡するのか利用許諾とするのかを明確にし、二次利用等が予定される場合には、その利用方法も踏まえて契約内容を検討します。
  • 外部クリエイターとの契約も確認する
    制作会社から発注者へ権利を移転する契約になっていても、制作に参加したクリエイターとの権利処理が適切でなければ問題が生じる可能性があります。
  • 支給素材と制作会社選定素材を区別する
    第三者素材について、誰が権利確認を行うのかを明確にします。
  • 生成AI等の利用方針を決める
    生成AIを利用する可能性がある場合には、利用の可否、対象工程、情報入力などについて制作方針を定めます。
  • 制作途中で終了した場合を想定する
    中途終了時の制作費、仕掛品、データ、知的財産権の取扱いについてあらかじめ定めておくことが重要です。

アニメ制作基本契約書を電子契約で締結する場合

アニメ制作では、発注者、制作会社、外部制作会社などが離れた場所で業務を進めることも多いため、基本契約や個別契約を電子的に締結・管理する方法も考えられます。特に基本契約を締結した後、案件ごとに個別契約や発注書を取り交わす運用では、契約関係が増えやすくなります。

そのため、

  • 基本契約
  • 個別契約
  • 発注書・注文請書
  • 仕様変更に関する合意
  • 追加制作に関する合意

などを案件単位で整理して保存しておくことが重要です。電子契約を利用する場合でも、どの基本契約に基づく個別発注なのかを明確にし、作品名や案件番号などによって契約関係を確認できるようにしておくと管理しやすくなります。

まとめ

アニメ制作基本契約書は、アニメ制作会社と発注者が継続的に制作取引を行う場合に、共通する取引条件を整理するための契約書です。アニメ制作では、複数の制作工程、外部クリエイターへの再委託、制作途中の仕様変更、納品・検収、著作権、第三者素材、秘密情報など、一般的な業務委託契約以上に確認すべき事項が多くなります。そのため、基本契約では共通ルールを体系的に定め、作品名、制作範囲、納期、制作費など案件固有の条件については個別契約で定める方法が有効です。特に、著作権その他の知的財産権、著作者人格権、第三者の権利処理、再委託、仕様変更、中途終了時の取扱いについては、実際の制作体制に合わせて具体的に定めることが重要です。

本ページに掲載するアニメ制作基本契約書のひな形および解説は、一般的な参考情報として提供するものであり、特定の取引・案件への法的助言を目的とするものではありません。実際の契約締結に際しては、専門家(弁護士等)への確認を強く推奨いたします。

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