録音データ保存期間確認書とは?
録音データ保存期間確認書とは、電話代行サービスにおいて録音された通話データについて、保存期間、保存目的、削除方法、管理方法、提供方法などを委託者と電話代行事業者の間で確認するための書面です。電話代行では、オペレーターが顧客や取引先からの電話を受け、その内容を委託企業へ報告します。その際、応対品質の確認や受付内容の確認、トラブル発生時の事実確認などを目的として、通話内容を録音することがあります。
しかし、録音データを取得しているだけで保存期間や削除方法を明確にしていないと、
- 録音データがいつまで保存されるのか分からない
- 必要な録音データがすでに削除されていた
- 契約終了後も録音データが保存されていると思っていた
- 録音データを誰が確認できるのか分からない
- 委託者が録音データの提供を受けられる条件が不明確
- 個人情報を含む録音データの管理方法について認識が異なる
といった問題が生じる可能性があります。そのため、電話代行業務を委託する際には、業務委託契約書だけでなく、録音データの取扱いについて個別の確認書を作成しておくことが重要です。録音データ保存期間確認書を作成することで、録音データを何日間または何か月間保存するのか、保存期間経過後にどのように削除するのかなどを具体的に確認できます。
録音データ保存期間確認書が必要となるケース
録音データ保存期間確認書は、電話代行事業者が通話内容を録音する場合に活用できます。特に、次のようなケースでは作成を検討することが重要です。
- 電話代行サービスですべての受電内容を録音する場合
- クレームや問い合わせ対応の確認目的で録音する場合
- オペレーターの応対品質を確認するために録音する場合
- 委託企業から録音データの提供を求められる可能性がある場合
- 録音データに顧客や取引先の個人情報が含まれる場合
- クラウド型の録音システムを利用している場合
- 電話代行契約終了後の録音データの取扱いを明確にしたい場合
録音データは単なる音声ファイルではありません。電話の内容によっては、氏名、会社名、電話番号、問い合わせ内容などの情報が含まれる可能性があります。そのため、保存期間だけを決めるのではなく、利用目的、アクセスできる担当者、第三者への提供、契約終了後の削除なども併せて整理することが重要です。
録音データ保存期間確認書に盛り込むべき主な項目
電話代行向けの録音データ保存期間確認書では、主に次の事項を定めます。
- 確認書の目的
- 対象となる録音データ
- 録音データの利用目的
- 録音データの保存期間
- 保存期間の起算日
- 保存期間経過後の削除方法
- 保存期間を変更する場合の手続
- 録音データの管理方法
- 第三者への提供条件
- 録音データの利用制限
- 委託者からの確認・提供依頼への対応
- 契約終了時の取扱い
- 個人情報等の取扱い
- 再委託先での取扱い
- 漏えい等が発生した場合の対応
- システム障害等が発生した場合の取扱い
- 秘密保持
保存期間だけでなく、録音データの作成から削除までの流れを一通り整理しておくことがポイントです。
録音データの保存期間は具体的に定める
保存期間を明確にする
録音データ保存期間確認書の中心となるのが、録音データをどの程度の期間保存するのかという項目です。
例えば、
- 7日間
- 30日間
- 90日間
- 6か月間
- 1年間
- 甲乙が別途合意した期間
など、実際の電話代行サービスの仕様や利用目的に合わせて設定します。保存期間を単に「一定期間」としてしまうと、委託者と電話代行事業者の認識に違いが生じる可能性があります。できる限り具体的な期間を記載しておくことが重要です。
保存期間の起算日も決める
同じ「30日間保存」であっても、いつから30日を数えるのかによって実際の削除日は変わります。
そのため、
- 録音した日から起算する
- 録音した月の月末から起算する
- その他指定した日から起算する
など、保存期間の起算方法についても確認しておくと管理しやすくなります。
録音データの利用目的を明確にする
録音データについては、保存期間とともに、何のために録音データを利用するのかを明確にしておくことが重要です。電話代行業務では、例えば次のような目的が考えられます。
- 電話受付内容の確認
- 委託者への報告内容の確認
- オペレーターの応対品質の確認
- オペレーターの教育・研修
- クレーム発生時の事実確認
- 問い合わせ内容についての認識相違の確認
- 電話代行業務が適切に実施されたかの確認
利用目的を定めておけば、録音データが電話代行業務と関係のない目的で利用されることを防ぐための基準にもなります。また、実際にどの目的で録音データを利用するかはサービスによって異なるため、自社の運用に合わせて確認書の内容を調整する必要があります。
保存期間経過後の削除方法を確認する
自動削除か定期削除かを確認する
録音データの保存期間を定める場合には、その期間が経過した後の処理についても決めておきます。
例えば、
- 保存期間経過後にシステム上で自動削除する
- 一定期間ごとに事業者がまとめて削除する
- その他所定の方法により削除する
といった方法があります。利用している録音システムによって削除方法が異なる可能性があるため、実際のシステム仕様と確認書の内容を一致させることが重要です。
削除後に復元できない場合があることも確認する
録音データが削除された後、必ず復元できるとは限りません。委託者が後になって過去の通話内容を確認しようとしても、保存期間が終了していれば録音データが残っていない可能性があります。
そのため確認書では、
- 保存期間経過後は録音データが削除されること
- 削除後は復元できない場合があること
- 必要なデータについては保存期間内に提供依頼等を行うこと
などを確認しておくことが重要です。
保存期間を延長する場合のルールも決めておく
通常の保存期間とは別に、特定の録音データだけ長期間保存したい場合もあります。例えば、顧客とのトラブルが発生し、事実関係の確認のために録音データを一定期間保存しておく必要が生じるケースです。
このような場合に備えて、
- 保存期間延長の申請方法
- 延長できる期間
- 保存容量等に追加費用が発生するか
- システム上、個別データの長期保存が可能か
を確認しておくと、緊急時にも対応しやすくなります。
録音データへのアクセス範囲を整理する
録音データには、顧客や取引先との会話内容がそのまま記録されています。そのため、電話代行事業者のすべての従業員が自由に録音データを確認できる状態にするのではなく、本業務上必要な担当者にアクセス範囲を限定することが重要です。確認書では、電話代行事業者が録音データについて合理的な安全管理措置を講じることや、録音データを取り扱う担当者を必要な範囲に限定することなどを定めておく方法があります。特に、多数のオペレーターが勤務する電話代行会社では、録音データの閲覧権限や管理権限を適切に設定することが重要になります。
委託者が録音データの提供を受ける場合
電話代行サービスでは、委託者が特定の通話について録音データを確認したいケースがあります。例えば、顧客から「電話でこのように説明された」と問い合わせがあった場合です。この場合、対象となる通話を特定して録音データを確認することで、実際の応対内容を確認できます。
確認書では、
- 録音データの提供依頼方法
- 対象通話を特定するために必要な情報
- 提供可能なデータ形式
- 録音データの抽出に費用が発生するか
- 保存期間を経過した録音データは提供できない場合があること
などを整理しておくと実務上便利です。
録音データに含まれる個人情報にも注意する
通話内容によっては、録音データに氏名、電話番号その他の個人情報が含まれる場合があります。そのため、電話代行業務における録音データは、単純な業務記録としてだけではなく、含まれる情報の性質に応じて適切に管理する必要があります。
電話代行事業者が録音データを管理する場合には、
- 利用目的に応じた取扱い
- アクセス権限の管理
- 漏えい等を防止するための安全管理
- 第三者への提供に関する管理
- 保存期間終了後の適切な削除
などを考慮する必要があります。また、実際のサービス内容によっては、電話代行業務委託契約書だけでなく、個人情報の取扱いに関する特約や秘密保持契約などとの整合性を確認することも重要です。
クラウド型録音システムを利用する場合の注意点
電話代行会社自身の設備ではなく、外部事業者が提供するクラウド型の通話・録音システムを利用する場合もあります。この場合、録音データが外部サービスのシステム上に保存されることがあります。
そのため、
- どのサービスで録音データを保存するのか
- 外部サービス上での保存期間
- 録音データへのアクセス権限
- 契約終了後の削除方法
- 外部サービス障害時の対応
など、実際の運用状況を確認しておくことが重要です。確認書の内容と録音システムの実際の仕様が異なっていると、確認書に記載した保存期間どおりに管理できない可能性があります。そのため、確認書を作成する際には、使用するシステムの設定や運用方法も確認しておきましょう。
再委託先が録音データを取り扱う場合
電話代行事業者が業務の一部を別の事業者へ再委託する場合、再委託先が録音データを取り扱う可能性があります。その場合は、電話代行事業者だけでなく、再委託先においても適切な管理が行われることが重要です。確認書では、再委託先が録音データを取り扱う場合、電話代行事業者が当該再委託先に対して秘密保持や適切なデータ管理に必要な義務を課すことなどを定めておく方法があります。
録音データの漏えい等が発生した場合の対応
録音データの管理では、情報漏えい、不正アクセス、データの滅失・毀損などのリスクも考慮する必要があります。
万一事故が発生した場合に備え、
- 事故発生時の調査
- 被害拡大を防止するための対応
- 委託者への連絡
- 原因究明
- 再発防止策
などについて基本的なルールを定めておくと、事故発生時の対応を進めやすくなります。特に、録音データに顧客情報が含まれている場合には、情報漏えいが委託企業側にも影響する可能性があります。そのため、事故発生時の連絡方法や対応方針について事前に整理しておくことが重要です。
システム障害による録音失敗についても確認する
録音システムを利用している場合でも、すべての通話が必ず正常に録音されるとは限りません。
例えば、
- 通信障害
- 録音設備の故障
- クラウドサービスの障害
- ネットワーク障害
- 停電
- 災害
などによって、録音データが作成されなかったり、一部が欠損したりする可能性があります。そのため、録音データ保存期間確認書では、録音データの保存期間だけではなく、システム障害等によって録音や保存が正常に行われない場合があることについても確認しておくことが重要です。一方で、事業者側の故意や過失による問題まで一律に免責する内容とならないよう、責任範囲については実際の契約内容に応じて調整する必要があります。
電話代行契約終了時の録音データの取扱い
見落としやすいのが、電話代行サービスの契約が終了した後の録音データです。電話代行契約が終了したからといって、録音データが直ちに削除されるとは限りません。一方、契約終了後も無期限に保存されるとは限らないため、あらかじめルールを決めておく必要があります。
確認しておきたい事項としては、
- 契約終了と同時に削除するのか
- 通常の保存期間が終了するまで保存するのか
- 契約終了前に録音データを提供するのか
- 提供依頼の期限を設定するのか
- 削除後の復元に対応するのか
などがあります。特に、契約終了後に委託者が過去の録音データを必要とする可能性がある場合は、契約終了前に必要なデータを確認・取得できる運用にしておくことが重要です。
録音データ保存期間確認書と電話代行業務委託契約書の関係
録音データ保存期間確認書は、電話代行業務委託契約書そのものに代わる書類ではありません。
電話代行業務委託契約書では、一般的に、
- 委託する電話対応業務の内容
- 受付時間
- 報告方法
- 委託料
- 秘密保持
- 個人情報等の取扱い
- 再委託
- 損害賠償
- 契約期間
- 契約解除
など、電話代行業務全体について定めます。これに対して録音データ保存期間確認書は、通話録音データの保存・利用・削除などに焦点を当てた書面です。そのため、業務委託契約書、秘密保持契約書、個人情報の取扱いに関する特約などと併せて使用し、それぞれの内容に矛盾がないようにすることが重要です。
録音データ保存期間確認書を作成する際の注意点
録音データ保存期間確認書を作成する際は、次のポイントを確認しましょう。
- 実際の録音システムと一致した保存期間を記載する 設定できない保存期間を記載すると、書面と実際の運用に相違が生じるため注意が必要です。
- 保存期間の起算日を明確にする 「30日間」などの期間だけではなく、録音日から起算するのかなども確認します。
- 保存期間経過後の処理を定める 自動削除、定期削除など、実際の運用に合わせて記載します。
- 録音データの利用目的を明確にする 応対確認、品質管理、トラブル対応など、実際に利用する目的を整理します。
- 必要な録音データの取得期限を確認する 保存期間経過後に必要となってもデータが残っていない可能性があるため、提供依頼の方法を決めておきます。
- 個人情報等の取扱いを確認する 録音データに個人情報等が含まれる場合を想定し、関連する契約や社内ルールとの整合性を確認します。
- 電話代行業務委託契約書との整合性を確認する 保存期間、秘密保持、再委託、契約終了後のデータ処理などについて矛盾がないか確認します。
録音データ保存期間確認書を電子契約で締結するメリット
録音データ保存期間確認書は、電話代行業務の開始時だけでなく、保存期間や運用方法を変更した際にも作成する可能性があります。電子契約を利用すれば、委託者と電話代行事業者が離れた場所にいても確認書の締結を進めやすくなります。また、電話代行業務委託契約書、秘密保持契約書、個人情報取扱特約、録音データ保存期間確認書などの関連書類を電子データとしてまとめて管理することで、契約条件を確認する際にも便利です。録音データの保存期間を変更した場合には、新しい確認書を締結して記録を残しておくことで、どの時点からどの保存期間が適用されていたのかを確認しやすくなります。
まとめ
録音データ保存期間確認書は、電話代行業務で取得する通話録音データについて、保存期間や利用目的、管理方法、削除方法などを委託者と電話代行事業者の間で明確にするための書面です。
特に重要なのは、単に「録音データを保存する」と定めるだけではなく、
- どの通話を録音するのか
- 何のために利用するのか
- いつまで保存するのか
- いつから保存期間を計算するのか
- 保存期間終了後にどのように削除するのか
- 委託者がデータを確認・取得する場合の手続
- 契約終了後にデータをどう取り扱うのか
まで具体的に整理することです。電話代行では、録音データが応対内容の確認やトラブル発生時の重要な記録となる一方、保存期間が終了すれば確認できなくなる場合があります。電話代行業務委託契約書などの関連契約と併せて録音データ保存期間確認書を整備し、実際の録音システムや業務運用と一致した内容にしておくことで、録音データの保存・削除をめぐる認識相違を防ぎやすくなります。