契約書を管理・トラブル対応する 公開日:2026年8月12日 更新日:2026年8月12日

契約書の保管方法|紙・電子データを適切に管理する方法

契約書の保管方法|紙・電子データを適切に管理する方法

契約を締結した後は、契約書を保管して終わりではありません。契約期間中に内容を確認したり、更新・解約の判断をしたり、取引上の問題が生じたときに契約条件を確認したりするため、必要な契約書をすぐに取り出せる状態で管理しておくことが大切です。

契約書の保管方法は、紙の契約書と電子契約・PDFなどの電子データで異なります。また、税務上の保存義務がある契約書については、保存期間や電子帳簿保存法のルールにも注意が必要です。

このページでは、紙・電子データそれぞれの契約書の保管方法と、契約書を探しやすく安全に管理するためのポイントを順番に解説します。

契約書を保管するときの基本ポイント

  1. 紙と電子データを分けて保管方法を決める
  2. 契約相手・契約名・締結日を確認できるようにする
  3. 契約書と別紙・変更契約書をまとめて管理する
  4. 契約期間・更新日・解約期限も管理する
  5. 電子データは検索しやすいファイル名・保存場所を決める
  6. 紛失やデータ消失に備えてアクセス管理・バックアップを行う
  7. 法令上必要な保存期間・保存方法を確認する
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契約書は「保管」と「管理」を分けて考える

契約書をファイルやフォルダへ入れて保存するだけでは、必要なときにすぐ確認できないことがあります。

契約書管理では、単に契約書そのものを残すだけでなく、次のような情報も確認できる状態にしておくことが重要です。

  • 契約相手
  • 契約書の名称
  • 契約締結日
  • 契約開始日
  • 契約終了日
  • 自動更新の有無
  • 更新・解約の通知期限
  • 契約金額
  • 関連する別紙・仕様書
  • 変更契約書・覚書の有無
契約書は「必要なときに見つけられる状態」で保管することが大切です。
契約書が残っていても、どこにあるか分からなかったり、最新版がどれか判断できなかったりすると、更新・解約や契約条件の確認に支障が出る可能性があります。

紙の契約書を保管する方法

紙で契約を締結した場合は、契約書の原本を紛失・破損しない場所へ保管します。

契約件数が少ない場合は契約相手ごとのファイルでも管理できますが、契約数が増えると探しにくくなるため、社内で統一した分類方法を決めておくと管理しやすくなります。

紙の契約書を整理する代表的な方法

分類方法 向いているケース 管理するときのポイント
契約相手別 同じ取引先と複数の契約を締結する場合 会社名・氏名ごとにまとめる
契約種類別 業務委託契約、秘密保持契約など契約種類が多い場合 契約種類ごとにファイルを分ける
締結年度別 年間の契約件数が多い場合 年度の中でさらに相手先などに分類する
終了・有効契約別 更新・解約管理を重視する場合 契約終了後も必要な保存期間は保管を続ける

どの方法を選ぶ場合でも、担当者ごとに違う方法で保管するのではなく、社内で共通のルールを決めておくことが重要です。

契約書だけでなく関連書類も一緒に管理する

契約内容の一部として別紙、仕様書、料金表などが添付されている場合は、契約書本体だけを切り離して保管しないようにします。

契約締結後に覚書や変更契約書を締結した場合も、元の契約書と関連付けて保管します。

後から確認したときに、現在適用されている契約内容が分かる状態にしておくことが重要です。

電子契約・PDFなどの電子データを保管する方法

電子契約を利用した場合や、契約書をPDFなどの電子データで受け取った場合は、データの保存場所と管理方法を決めます。

パソコンのデスクトップや担当者個人のフォルダだけに保存すると、担当者の変更や端末故障などによって契約書を見つけられなくなる可能性があります。

会社で管理する契約書は、社内で決めた共有ストレージや契約管理サービスなど、管理場所を統一しておくと探しやすくなります。

ファイル名のルールを決める

電子データは、ファイル名だけである程度内容を判断できるようにすると管理しやすくなります。

例えば、次のような情報を組み合わせます。

  • 契約締結日
  • 契約相手名
  • 契約書名
  • 契約期間
  • 必要に応じて版番号・変更日

例えば「契約書.pdf」「最終版.pdf」「最新版2.pdf」といったファイル名だけでは、契約数が増えたときに内容を判断しにくくなります。

「2026-08-01_株式会社○○_業務委託契約書.pdf」のように、一定のルールで名前を付けると検索しやすくなります。

フォルダ構成も統一する

電子契約書についても、紙と同様に契約相手別、契約種類別、年度別などのルールを決めて整理します。

例えば、次のような構成が考えられます。

  • 契約書
  • 2026年度
  • 株式会社○○
  • 業務委託契約

重要なのは、どの担当者でも同じルールで契約書を探せることです。

電子データは「最新版」が分かるように管理する

電子データでは、契約締結までに複数の修正版を作成することがあります。

例えば、次のようなファイルが混在すると、どれが締結済みの契約書なのか分からなくなる可能性があります。

  • 契約書案.pdf
  • 契約書修正版.pdf
  • 契約書最終版.pdf
  • 契約書最終版2.pdf
  • 契約書確定版.pdf

契約締結後は、締結前のドラフトと締結済み契約書を分けて管理し、どのファイルが最終的に双方で合意した契約書なのか明確にしておくことが大切です。

変更契約書や覚書を締結した場合は、元の契約書を削除して置き換えるのではなく、変更履歴を追えるように関連付けて保存します。

電子契約書はアクセス権限も管理する

契約書には、契約金額、取引条件、担当者情報、秘密情報などが記載されていることがあります。

そのため、電子データを保存するときは、必要な担当者だけが閲覧・編集できるようにアクセス権限を設定することも重要です。

確認しておきたい管理項目

  • 誰が契約書を閲覧できるか
  • 誰がファイルを追加・変更・削除できるか
  • 退職・異動した担当者の権限が残っていないか
  • 誤って外部へ共有されない設定になっているか
  • 重要な契約書を担当者個人のアカウントだけで管理していないか

契約書の保存場所を社内で統一するとともに、閲覧・編集権限についても定期的に確認すると管理しやすくなります。

電子データはバックアップも考える

電子データは紙のような物理的な保管場所を必要としない一方で、端末故障、誤削除、アカウントへのアクセス不能などによってデータを失う可能性があります。

重要な契約書については、一つのパソコンだけに保存せず、利用しているシステムのバックアップ方法や復旧方法も確認しておきましょう。

クラウドサービスを利用する場合も、サービス上に保存されているから安心と考えるだけではなく、契約書を必要なときに取得できるか、退会・サービス変更時にデータを取り出せるかなどを確認しておくことが大切です。

電子帳簿保存法と契約書の保管

事業者が契約書を保存するときは、電子帳簿保存法についても確認が必要になる場合があります。

電子帳簿保存法では、国税関係書類の電子保存や、電子取引によって授受した取引情報の保存などについてルールが設けられています。

国税庁では、電子取引における「取引情報」に、注文書、契約書、送り状、領収書、見積書などに通常記載される事項が含まれるとしています。

電子データで受け取った契約書は、紙へ印刷しておけばよいとは限りません。
電子帳簿保存法上の保存義務者が電子取引によって契約書などの取引情報を授受した場合は、電子取引データの保存要件を確認し、対象となる電子データを適切に保存する必要があります。

具体的な保存要件は制度改正によって変更されることもあるため、実際に運用するときは国税庁の最新情報を確認してください。

紙の契約書をスキャンして保存する場合

紙で受け取った契約書をPDF化して検索しやすくすることもできます。

ただし、紙の契約書をスキャンしたからといって、税法上保存が必要な紙の原本を無条件に廃棄できるわけではありません。

国税関係書類について、紙の保存に代えて電子データを保存する場合には、電子帳簿保存法のスキャナ保存に関する要件を確認する必要があります。

そのため、紙の契約書をPDF化して社内検索用に利用する場合でも、原本を廃棄する前に、その契約書について紙での保存が必要なのか、スキャナ保存の要件を満たしているのかを確認しましょう。

契約書の保存期間は一律ではない

契約書をいつまで保管する必要があるかは、法人・個人事業者の違い、税務上の保存義務、契約内容、関係する法令などによって異なる場合があります。

法人税に関しては、国税庁は、法人が取引等に関して作成または受領した契約書などの書類について、原則としてその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があると案内しています。

また、一定の事業年度については、税務上の保存期間が10年間となる場合があります。

個人事業者についても帳簿や取引に関する書類の保存義務があり、書類の種類や申告方法などによって保存期間が異なります。

したがって、「契約終了から○年経ったから廃棄する」と一律に決めるのではなく、税務上の保存期間や契約に関係する法令、社内で必要となる期間を確認したうえで廃棄時期を決めることが重要です。

契約期間・更新期限も一緒に管理する

契約書を保管するときは、契約書そのものだけでなく、契約期間や更新期限も管理しておくと実務上便利です。

特に、自動更新条項がある契約や、解約するために一定期間前の通知が必要な契約では、契約書を保管しているだけでは期限を見落とす可能性があります。

契約書と一緒に記録しておきたい日付

  • 契約締結日
  • 契約開始日
  • 契約終了日
  • 自動更新日
  • 更新を断る場合の通知期限
  • 中途解約するときの通知期限
  • 料金変更などの適用日

契約終了日だけではなく、「いつまでに何をする必要があるのか」まで管理すると、更新忘れや解約期限の見落としを防ぎやすくなります。

契約書を廃棄するときの注意点

保存期間を過ぎた契約書についても、すぐに廃棄してよいとは限りません。

現在も契約が続いている場合、契約終了後に権利義務の確認が必要になる可能性がある場合、紛争や請求に関係している場合などは、引き続き保管が必要になることがあります。

廃棄する場合は、税務上の保存期間だけでなく、契約の状況や社内ルールも確認してください。

紙の契約書には機密情報や個人情報が含まれる場合があるため、廃棄時にはそのまま一般ごみへ出すのではなく、内容を読み取れない方法で処分することも重要です。

電子データについても、単に一覧から削除するだけではなく、バックアップや共有フォルダなどに同じファイルが残っていないかを確認したうえで、社内のデータ管理ルールに従って処理します。

契約書保管のチェックリスト

  • 紙・電子データそれぞれの保管場所を決めている
  • 契約相手・契約名・締結日から探せる
  • 締結前のドラフトと締結済み契約書を分けている
  • 別紙・仕様書も契約書と関連付けている
  • 変更契約書・覚書を元の契約書と一緒に管理している
  • 契約終了日・更新日・解約期限を確認できる
  • 電子データのファイル名・フォルダ構成を統一している
  • 閲覧・編集できる担当者を管理している
  • 電子データのバックアップ方法を確認している
  • 税務上必要な保存期間・保存方法を確認している
  • 電子取引データについて電子帳簿保存法の要件を確認している

よくある質問

紙の契約書はPDFにしておけば原本を捨ててもよいですか?

税法上保存が必要な国税関係書類については、単にPDF化しただけで紙の保存義務を満たすとは限りません。

紙の保存に代えてスキャンした電子データを保存する場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存に関する要件を確認してください。

また、税法以外の理由で原本の保管が必要になる場合も考えられるため、個別の契約について確認したうえで判断しましょう。

電子契約書を紙に印刷して保管すれば十分ですか?

電子帳簿保存法上の保存義務者が電子取引によって契約書などの取引情報を授受した場合は、対象となる電子取引データについて電子データの保存が必要です。

紙へ印刷したものを社内確認用として利用することとは分けて考え、電子データ自体の保存方法を確認してください。

契約書は何年間保存すればよいですか?

一律ではありません。

法人税上、法人が取引に関して作成または受領した契約書などは原則として7年間の保存が必要とされていますが、一定の場合にはより長い保存期間となります。

個人事業者の場合や、税務以外の法令が関係する契約では取扱いが異なる場合があります。契約の種類や事業者の状況に応じて確認してください。

終了した契約書は別の場所へ移してもよいですか?

契約中の契約書と終了済みの契約書を分けて管理する方法は、必要な契約書を探しやすくするうえで有効です。

ただし、契約が終了したからといって直ちに廃棄するのではなく、必要な保存期間が終わるまで保管します。

変更契約書は元の契約書と別に保管してもよいですか?

物理的・システム上の保存場所を分ける場合でも、元の契約書と変更契約書の関係が分かるようにしておくことが重要です。

元の契約書だけを確認して古い条件を現在の契約内容だと誤認しないよう、変更履歴を追える状態にしておきましょう。

契約書の保管方法をまとめると

契約書を適切に管理するためには、単に紙やPDFを保存するだけではなく、必要な契約書を探せること、現在有効な内容を判断できること、契約期限を確認できることが重要です。

  1. 紙・電子データの保管場所を決める
  2. 契約相手・契約名・締結日で整理する
  3. 別紙・変更契約書も関連付けて管理する
  4. 締結済みの最終版を明確にする
  5. 契約期間・更新・解約期限を管理する
  6. 電子データのアクセス権限とバックアップを管理する
  7. 法令上必要な保存期間・保存方法を確認する

契約件数が少ないうちから保管ルールを決めておけば、契約数が増えたときにも整理しやすくなります。

電子契約書をオンラインで管理する方法

電子契約を利用する場合は、契約締結から締結済み契約書の保管までをオンラインで管理する方法もあります。

マイサイン(mysign)では、PDFの契約書をアップロードし、契約相手へ署名を依頼できます。契約相手はマイサインへの会員登録やログインをする必要がなく、受け取った案内からスマートフォンやパソコンで契約内容を確認し、署名・同意できます。

契約締結後も、契約書と契約締結に関する情報をまとめて管理できるため、紙の契約書や担当者ごとのファイル管理から電子契約へ切り替えたい場合にも利用できます。

どの方法で契約書を保管する場合でも、契約書を残すだけではなく、必要なときに確認できる状態を維持することが大切です。

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