契約締結後に、料金、契約期間、業務内容、支払条件などを変更したくなることがあります。
このときは、一方的に「来月から条件を変更します」と連絡するだけではなく、現在の契約書を確認し、変更したい内容を整理したうえで、必要に応じて相手方と協議し、変更後の条件について合意することが重要です。
特に、「変更を提案・通知すること」と「変更後の契約条件が確定すること」は分けて考える必要があります。このページでは、契約条件を変更するときの相手への連絡から、協議、合意、変更契約書・覚書の締結までを順番に解説します。
契約条件を変更するときの基本的な流れ
- 現在の契約書と変更条項を確認する
- 変更したい条件と理由を整理する
- 変更後の条件・適用日を決める
- 相手方へ変更を提案・連絡する
- 相手方と変更内容を協議する
- 最終的な変更条件について合意する
- 変更契約書・覚書等を締結して記録を保管する
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契約条件は通知するだけで変更できる?
一般的な契約では、契約条件を変更したい一方の当事者が相手方へ通知しただけで、当然にその内容へ変更されるとは限りません。
民法第521条では、法令に特別の定めがある場合を除き、契約を締結するかどうかや契約内容を当事者が自由に決めることができることを基本としています。
また、民法第522条では、契約内容を示した申込みに対して相手方が承諾したときに契約が成立することが基本とされています。
契約条件の変更についても、元の契約書や法令に一方的な変更を認める特別な定めがある場合などを除き、双方が変更後の内容について認識を合わせることが重要です。
相手方の合意が必要な変更では、通知を送っただけで新しい条件が確定したと判断せず、相手方の回答と最終的な合意内容まで確認しましょう。
1.最初に現在の契約書を確認する
相手方へ条件変更を連絡する前に、締結済みの契約書を確認します。
確認したい条項
- 変更したい契約条件が記載されている条項
- 契約変更に関する条項
- 料金改定に関する条項
- 通知方法に関する条項
- 契約期間・更新に関する条項
- 中途解約・解除に関する条項
契約書によっては、「本契約の変更は双方が書面で合意した場合に限る」といった変更手続きが定められている場合があります。
一方、一定の料金改定や仕様変更について、あらかじめ契約書で変更方法・通知期間などを定めている場合もあります。
まず元の契約書にどのようなルールがあるかを確認したうえで、相手方への連絡方法を決めてください。
2.何を変更したいのか整理する
相手方へ連絡する前に、変更対象を具体的にします。
変更対象になりやすい条件
- 契約金額・報酬
- 単価
- 支払期限・支払方法
- 業務内容・業務範囲
- 成果物
- 納期
- 契約期間
- 自動更新条件
- 中途解約条件
- その他の取引条件
「契約内容を見直したい」とだけ伝えるのではなく、どの条件をどのように変更したいのかを整理しておくと、その後の協議を進めやすくなります。
3.現在の条件と変更案を比較する
相手方へ変更を提案するときは、現在の条件と変更後の条件を区別して整理します。
| 確認項目 | 現在の条件 | 変更案 |
|---|---|---|
| 契約金額 | 現在の料金・報酬 | 変更後の料金・報酬 |
| 業務内容 | 現在の業務範囲 | 追加・削除後の業務範囲 |
| 支払条件 | 現在の締日・支払期限 | 変更後の支払条件 |
| 契約期間 | 現在の満了日 | 変更後の満了日 |
相手方から見ると、変更によって何が変わるのかが最も重要です。
変更箇所が複数ある場合は、社内では変更前・変更後を一覧にしてから相手方へ提案すると確認しやすくなります。
4.変更理由も整理する
契約条件を変更したい理由も、相手方へ説明できるよう整理します。
変更理由の例
- 業務範囲が増えた
- 原材料・仕入価格等が変わった
- 取引量が変わった
- 業務体制が変わった
- 契約期間を延長したい
- 支払・請求の運用を変更したい
- 実際の取引内容と契約書が合わなくなった
変更理由を必要以上に長く説明する必要はありませんが、相手方が変更内容を検討できる程度に背景を伝えると協議を進めやすくなります。
5.変更後の条件をいつから適用するか決める
条件変更では、変更内容だけでなく適用日も重要です。
例えば料金を変更する場合、「今後の料金を変更する」だけでは、どの請求分から新料金になるのか分からないことがあります。
適用日について確認すること
- 変更後の条件を適用する日
- 変更日前の取引へ旧条件・新条件のどちらを適用するか
- すでに発注済みの業務の扱い
- すでに請求済みの料金の扱い
- 変更日前後をまたぐ業務の扱い
特に金額・単価・業務範囲の変更では、どの取引から新しい条件を適用するのかを明確にすることが重要です。
6.変更によって関連条項へ影響しないか確認する
一つの条件を変えることで、別の契約条件にも影響する場合があります。
例えば確認したい関係
- 契約金額の変更と支払条件
- 業務範囲の変更と納期
- 業務範囲の変更と報酬
- 契約期間の変更と更新拒絶期限
- 成果物の変更と検収条件
- 契約期間の変更と中途解約条件
相手方へ連絡する前に、変更対象の条項だけではなく契約書全体を確認してください。
7.相手方へ変更を提案する
変更案が整理できたら、相手方へ連絡します。
この段階では、相手方の合意が必要な変更については「決定事項の通知」ではなく、「変更提案・協議の依頼」として伝える方が適切な場合があります。
最初の連絡で伝えたい内容
- 対象となる契約
- 変更したい項目
- 現在の条件
- 変更後の希望条件
- 変更理由
- 希望する適用日
- 相手方に確認・回答してほしいこと
同じ取引先と複数の契約がある場合は、契約書名や締結日などを示し、どの契約について変更を提案しているのか分かるようにします。
8.相手への連絡はいつ行う?
契約条件の変更を提案する時期について、一般的な契約すべてに共通する一律の期限があるわけではありません。
契約書に料金変更や契約変更の事前通知期間が定められている場合は、その期限を確認します。
特別な期限がなくても、相手方が社内で検討・承認できる時間を考え、変更希望日の直前ではなく余裕を持って連絡することが重要です。
変更前に必要になりやすい時間
- 相手方の内容確認
- 条件交渉
- 双方の社内承認
- 変更契約書・覚書の作成
- 法務・担当部署の確認
- 署名・押印・電子契約等
契約更新と同時に条件変更する場合は、更新期限から逆算して早めに協議を始めましょう。
9.メールで変更を連絡する場合
契約書上メールによる連絡に問題がない場合や、変更協議の入り口として連絡する場合には、メールを利用する方法があります。
メールに記載したい内容
- 対象となる契約書
- 変更を相談したいこと
- 変更対象の条件
- 変更後の提案内容
- 変更希望日
- 確認・回答を希望する時期
「○月から変更します」と断定する前に、その変更が元の契約上、一方的な通知だけで可能なのか、相手方の合意が必要なのかを確認してください。
10.契約書で書面による変更を求めている場合
元の契約書に「契約の変更は書面による双方の合意による」などの定めがある場合は、その内容に沿って手続きを進めます。
メールで事前協議を行ったとしても、最終的には変更契約書・覚書などを締結する必要がある場合があります。
契約書の変更条項と通知条項の両方を確認してください。
11.通知先も確認する
契約条件変更について正式な通知が必要な場合は、正しい通知先を確認します。
- 契約書記載の住所
- 契約担当部署
- 指定メールアドレス
- 契約締結後に変更された通知先
普段連絡している担当者と、契約書上の正式な通知先が異なる場合があります。
12.重要な通知では相手方への到達も確認する
民法第97条では、意思表示は原則としてその通知が相手方に到達した時から効力を生ずると定められています。
そのため、契約条項に基づく料金改定通知など、通知そのものに法的・契約上の意味がある場合には、いつ送ったかだけではなく、相手方への到達についても確認する必要があります。
一方、条件変更への合意が必要な場合は、通知が届いたことだけではなく、相手方が変更案を承諾したかを別途確認します。
13.相手方から回答をもらう
変更案を送ったら、相手方の回答を確認します。
| 相手方の回答 | 次の対応 |
|---|---|
| 変更案に同意 | 最終条件と適用日を確認し、必要な変更書面を作成する |
| 一部のみ同意 | 合意できていない条件について再協議する |
| 別条件を提案 | 相手方の提案内容を確認し、双方で条件を調整する |
| 変更を拒否 | 現在の契約を継続するか、契約終了等を検討する |
| 回答なし | 契約書を確認し、必要に応じて再度連絡する |
相手方が「確認しました」と返信した場合も、その表現だけで変更内容への承諾まで含むのか判断しにくいことがあります。
重要な条件変更では、「変更後の条件に同意する」という意思が確認できる状態にしておくことが重要です。
14.相手から修正案が来た場合は再協議する
変更提案に対して、相手方から別の条件を提示されることがあります。
例えば、自社は月額20万円から25万円への変更を希望したものの、相手方から23万円での継続を提案される場合です。
この場合、最初に通知した25万円をそのまま確定条件として扱うのではなく、双方が合意できる条件を協議します。
再協議で確認する項目
- 双方の希望条件
- 最終的な金額・条件
- 新条件の適用日
- 関連する他の契約条件
15.相手が変更に同意しない場合
元の契約上、相手方の同意が必要な条件変更について合意できなかった場合は、一方的に新条件へ変更できるとは限りません。
その場合は、現在の契約条件を継続するのか、契約期間満了で終了するのか、中途解約が可能なのかなどを確認します。
確認する条項
- 現在の契約期間
- 自動更新
- 更新拒絶期限
- 中途解約
- 解除
契約終了を検討する場合は、変更協議とは別に必要な通知・手続きを確認してください。
現在の契約期間・更新・解約条件を確認し、変更できなかった場合にどの契約条件が継続するのか整理しましょう。
16.最終的な変更条件を確定する
協議がまとまったら、双方が合意した最終条件を整理します。
最終確認したい内容
- 変更対象となる元契約
- 変更する条項
- 変更前の条件
- 変更後の条件
- 変更の適用日
- 変更しない条件
交渉中に複数の変更案をやり取りした場合は、古い案ではなく最終合意版を双方が確認してください。
17.変更契約書・覚書を作成する
条件変更について書面等で合意を残す場合は、変更契約書・覚書・変更合意書などを作成します。
文書の名称よりも、元の契約と変更内容の関係が明確になっていることが重要です。
変更書面で確認したい項目
- 元契約の名称
- 元契約の締結日
- 契約当事者
- 変更対象の条項
- 変更後の内容
- 適用日
- その他の元契約条項の取扱い
18.変更しない条項をそのまま適用するか確認する
契約金額だけを変更する場合などは、その他の契約条件を元契約のまま継続することがあります。
その場合は、今回変更する事項を除いて元契約のその他の内容を継続することが分かるようにしておくと管理しやすくなります。
例えば、料金だけを変更しても、契約期間、秘密保持、解約条件、損害賠償等は元契約のままとするという整理です。
19.紙の変更契約書・覚書では印紙税を確認する
条件変更について紙の変更契約書・覚書を作成する場合は、印紙税の課税文書に該当するか確認します。
国税庁では、原契約で定めた重要な事項を変更する文書について、「覚書」「念書」などの名称であっても、内容に応じて変更契約書として課税文書になる場合があるとしています。
例えば、請負契約における契約金額の支払方法や納期など、元契約の種類によって「重要な事項」に該当する項目があります。
紙で変更書面を作成する場合は、書面タイトルだけで印紙税の要否を判断せず、元契約と変更内容を確認してください。
20.双方で最終版を確認して締結する
変更契約書・覚書が完成したら、双方が同じ最終版を確認してから締結します。
締結前の確認事項
- 元契約が正しく特定されている
- 変更後の条件が合意どおりである
- 適用日が正しい
- 契約当事者に誤りがない
- その他の契約条件の扱いが明確である
- 必要な社内承認が完了している
紙の場合は署名・押印等、電子契約の場合は利用するサービス上で予定している署名・同意等を行います。
21.変更通知・回答・変更書面を一緒に保管する
条件変更が完了したら、元の契約書と変更書面を関連付けて保管します。
保管しておきたい資料
- 元の契約書
- 過去の変更契約書・覚書
- 今回の変更契約書・覚書
- 変更案を通知したメール
- 相手方からの回答
- 最終条件を確認した記録
「どの条件をいつ変更したか」を後から確認できる状態にしておきましょう。
22.契約管理情報も更新する
変更契約を締結したら、契約管理表・請求システム・社内台帳なども変更後の内容へ更新します。
| 変更項目 | 更新する情報の例 |
|---|---|
| 契約金額 | 請求金額・単価 |
| 支払条件 | 締日・支払期限 |
| 業務内容 | 担当者・業務管理表・仕様書 |
| 契約期間 | 満了日・更新拒絶期限 |
| 連絡先 | 請求先・通知先・担当者 |
変更契約書だけ新しくして、請求や社内管理が旧条件のまま残らないよう注意してください。
契約条件を変更するときの通知チェックリスト
- 現在の契約書を確認した
- 契約変更に関する条項を確認した
- 一方的な通知で変更できる条件か、双方の合意が必要か確認した
- 変更対象となる条件を整理した
- 現在の条件と変更案を比較した
- 変更理由を整理した
- 変更の適用日を決めた
- 関連する他の条項への影響を確認した
- 相手方へ余裕を持って連絡した
- 対象となる契約を明確にした
- 変更案と適用日を明確に伝えた
- 相手方の回答を確認した
- 最終条件について双方が合意した
- 必要な変更契約書・覚書等を作成した
- 紙の場合は印紙税を確認した
- 双方が最終版を確認して締結した
- 元契約と変更記録を一緒に保管した
- 契約管理情報を更新した
よくある質問
契約条件はメールで通知するだけで変更できますか?
一律にはいえません。
元の契約書に一方的な条件変更を認める条項等がある場合を除き、相手方の合意が必要となる変更では、メールを送っただけで変更条件が当然に確定するとは限りません。
契約書の変更条項を確認し、必要な場合は相手方の承諾を得てください。
料金を変更するときは何日前までに連絡しますか?
一般的な契約すべてに共通する一律の事前通知期間があるわけではありません。
契約書に料金改定の通知期限がある場合はその期限を確認し、特別な定めがない場合でも相手方が検討できる時間を確保して早めに協議しましょう。
相手がメールで「了解しました」と返信すれば合意になりますか?
具体的なメールの内容や、それまでのやり取りによって判断が異なります。
重要な条件変更では、何の条件について、いつから、どの内容へ変更することに合意したのかを明確にしておくことが重要です。
相手が返事をしない場合は変更を承認したことになりますか?
返事がないことだけから、一律に変更へ同意したと判断することは避けた方がよいでしょう。
元契約の変更条項や具体的な取引関係を確認し、合意が必要な場合は相手方の意思を明確に確認してください。
相手が条件変更を拒否したらどうしますか?
現在の契約条件をそのまま継続するのか、別の条件を協議するのか、契約更新をしないのか、中途解約を検討するのかを確認します。
契約書の契約期間・更新・解約条件も合わせて確認してください。
契約条件の変更は口頭でもできますか?
一般的な契約では、法令に特別の定めがある場合を除き、契約成立に特定の方式を必要としないことが原則です。
ただし、元契約で変更方法を「書面による合意」などに限定している場合があります。また、口頭だけでは変更内容を後から確認しにくいため、重要な変更は書面・電子データとして記録することが大切です。
覚書を作れば契約条件を変更できますか?
双方が合意した変更内容を覚書として記録する方法があります。
文書の名称よりも、対象となる元契約、変更する条件、変更後の内容、適用日を明確にすることが重要です。
変更契約書には収入印紙が必要ですか?
すべての変更契約書について一律に必要というわけではありません。
紙の変更契約書・覚書が原契約の重要な事項を変更する課税文書に該当する場合は、印紙税の確認が必要になります。
変更条件はいつから適用できますか?
双方が変更後の条件と適用日について合意した内容によります。
「次回から」など曖昧にせず、具体的な日付や対象となる取引を明確にしておきましょう。
契約条件変更の通知から合意までをまとめると
契約条件を変更するときは、「新しい条件を相手へ伝えること」で終わらせず、元の契約書を確認し、変更案を提示し、相手方と協議したうえで、最終条件への合意を確認することが重要です。
- 元の契約書と変更方法を確認する
- 変更したい条件・理由・適用日を整理する
- 相手方へ変更案を連絡する
- 相手方の回答を確認する
- 必要に応じて条件を再協議する
- 最終的な変更内容について合意する
- 変更契約書・覚書等を締結し、変更記録を保管する
特に契約金額、契約期間、業務内容など重要な条件を変更する場合は、変更前後の条件と適用日を明確にし、双方が同じ最終内容を確認できる状態にしておきましょう。
変更契約書・覚書をオンラインで取り交わす方法
契約条件の変更について双方で合意した場合は、その内容を変更契約書・覚書などとして残す方法があります。
マイサイン(mysign)では、PDFの契約書をアップロードし、契約相手へオンラインで署名を依頼できます。契約相手はマイサインへの会員登録やログインをする必要がなく、受け取った案内からスマートフォンやパソコンで契約内容を確認し、署名・同意できます。
変更契約書・覚書を作成する場合も、元契約の名称・締結日、変更対象の条項、変更後の条件、適用日を明確にした最終版を双方で確認し、元の契約書と関連付けて保管しましょう。
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